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やるとは言ってないだろう!
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「そのまま的に向かって魔術を飛ばすんだ」
フィーロに指示を出すと、魔術が勢い良く的めがけて飛んでいく。けれど十メートルも到達しない位置でへにょへにょと落ちて消えてしまった。
「うぅ、だめでした……」
「初めてにしては上出来だ。これを続けていけばいい。ところでシャノン。お前はどうやら攻撃系魔術の才能がないようだな」
先ほどから魔術の弾を生み出そうとしているけれど一向に発現できないでいる。
「……そんな……」
落胆したように肩を落としたシャノンにかけてやれる言葉が見つからない。治癒魔術に特性があることを教えてやってもいいが、自然に気づかせることが大事だと思っているため戸惑ってしまう。
「人は誰でも魔術を使うための魔力を体内に宿していると言われているんだ。だから攻撃系魔術が苦手な人は治癒魔術に長けている人が多い」
黙っていたルーカスが近づいてきて、シャノンの手のひらに触れた。
唐突に小説内の挿絵を見せられたような光景に目を見開いてしまう。
「俺は治癒魔術はからっきしだめなんだ。でも魔力の使い方は攻撃系も治癒系も同じだと人から聞いたことがある。ほら、手のひらで俺の魔力を感じてごらん」
「……わぁ、温かいです」
ルーカスとシャノンの繋いだ掌の間に淡い光が発生している。
(いいぞいいぞ!これだよ!これこれ!)
二人の急接近にゼンは内心で歓喜の嵐を巻き起こした。
「シャノンから離れてください!」
けれどそれも束の間、フィーロがシャノンの肩を引っ張って自分の方に引き寄せた。そのせいで繋いでいた手が離れてしまった。
(ああああ!!フィーロなんてことを!?)
真顔のまま絶叫してしまう。
ようやくルーカスがシャノンに接近してくれたというのに……。
けれどフィーロを怒るわけにもいかない。それにフィーロはやけにシャノンのことを好いているように見えた。
シャノンの腰に手を回し、背後から一丁前にルーカスのことを威嚇している。
──なんだろうあの幸せ空間は……。俺は夢でも見てるのかな?
ルーカスはわざとシャノンに触れて、威嚇するフィーロをからかって笑っているし、シャノンは二人に挟まれて困った様子で視線を彷徨わせている。
そんな三人をゼンはただただ拝み倒していた。
ただこれ以上は止めてやらないとシャノンが可哀想だ。
「おい。ふざけるなら今日の練習は終わりだ」
「そんなっ!違うんですお兄様!」
フィーロが慌ててシャノンを離した。
振り返ったルーカスが手を伸ばしてきた。わけがわからず首を傾げると、腕を引かれて体がよろける。
「ご褒美はもらうね」
「は?」
ルーカスの色気を漂わせる艶やかな唇がゼンの頬に触れた。
驚きすぎて一瞬反応が遅れたけれど、すぐに意識を引き戻すとルーカスを突き飛ばして距離を取った。
体幹がしっかりしているルーカスは少しよろけたが、すぐに体勢を整えてゼンへニッコリと微笑みを向けた。
「なにをする」
真顔のまま硬い声で尋ねる。
「シャノン君に魔力の流れを教えてあげたからそのご褒美をもらっただけだよ」
「やるとは言っていない」
「もう、もらっちゃった」
必死に真顔に徹しているが、内心は動揺しすぎておかしくなりそうだった。
フィーロに指示を出すと、魔術が勢い良く的めがけて飛んでいく。けれど十メートルも到達しない位置でへにょへにょと落ちて消えてしまった。
「うぅ、だめでした……」
「初めてにしては上出来だ。これを続けていけばいい。ところでシャノン。お前はどうやら攻撃系魔術の才能がないようだな」
先ほどから魔術の弾を生み出そうとしているけれど一向に発現できないでいる。
「……そんな……」
落胆したように肩を落としたシャノンにかけてやれる言葉が見つからない。治癒魔術に特性があることを教えてやってもいいが、自然に気づかせることが大事だと思っているため戸惑ってしまう。
「人は誰でも魔術を使うための魔力を体内に宿していると言われているんだ。だから攻撃系魔術が苦手な人は治癒魔術に長けている人が多い」
黙っていたルーカスが近づいてきて、シャノンの手のひらに触れた。
唐突に小説内の挿絵を見せられたような光景に目を見開いてしまう。
「俺は治癒魔術はからっきしだめなんだ。でも魔力の使い方は攻撃系も治癒系も同じだと人から聞いたことがある。ほら、手のひらで俺の魔力を感じてごらん」
「……わぁ、温かいです」
ルーカスとシャノンの繋いだ掌の間に淡い光が発生している。
(いいぞいいぞ!これだよ!これこれ!)
二人の急接近にゼンは内心で歓喜の嵐を巻き起こした。
「シャノンから離れてください!」
けれどそれも束の間、フィーロがシャノンの肩を引っ張って自分の方に引き寄せた。そのせいで繋いでいた手が離れてしまった。
(ああああ!!フィーロなんてことを!?)
真顔のまま絶叫してしまう。
ようやくルーカスがシャノンに接近してくれたというのに……。
けれどフィーロを怒るわけにもいかない。それにフィーロはやけにシャノンのことを好いているように見えた。
シャノンの腰に手を回し、背後から一丁前にルーカスのことを威嚇している。
──なんだろうあの幸せ空間は……。俺は夢でも見てるのかな?
ルーカスはわざとシャノンに触れて、威嚇するフィーロをからかって笑っているし、シャノンは二人に挟まれて困った様子で視線を彷徨わせている。
そんな三人をゼンはただただ拝み倒していた。
ただこれ以上は止めてやらないとシャノンが可哀想だ。
「おい。ふざけるなら今日の練習は終わりだ」
「そんなっ!違うんですお兄様!」
フィーロが慌ててシャノンを離した。
振り返ったルーカスが手を伸ばしてきた。わけがわからず首を傾げると、腕を引かれて体がよろける。
「ご褒美はもらうね」
「は?」
ルーカスの色気を漂わせる艶やかな唇がゼンの頬に触れた。
驚きすぎて一瞬反応が遅れたけれど、すぐに意識を引き戻すとルーカスを突き飛ばして距離を取った。
体幹がしっかりしているルーカスは少しよろけたが、すぐに体勢を整えてゼンへニッコリと微笑みを向けた。
「なにをする」
真顔のまま硬い声で尋ねる。
「シャノン君に魔力の流れを教えてあげたからそのご褒美をもらっただけだよ」
「やるとは言っていない」
「もう、もらっちゃった」
必死に真顔に徹しているが、内心は動揺しすぎておかしくなりそうだった。
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