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後悔先に立たず
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◇◇◇
フィーロとシャノンの練習の成果はあまり出ているとはいえなかった。
フィーロはまだ二十メートルほど弾を飛ばすのがやっとで威力も弱い。シャノンもやはり攻撃系魔術はからっきしで、治癒魔術も発現していない状態だった。
「お兄様ごめんなさい……」
フィーロに謝罪されて、ゼンは眉をハの字に下げた。シャノンも申し訳なさそうにフィーロの隣でうつむいている。
すぐに成果が出るとは思っていない。それに二人は頑張っている。そう言って励ましてあげたいけれど、そんな言葉は逆効果になる気がしてかける言葉が見つからなかった。
こんなときこそルーカスが居てくれればよかったが、彼も角狼の討伐会議で忙しくしているためここ二週間ほど顔を合わせていない。
「今日の練習は終わりにして、甘い物でも食べないか?」
「っ、僕はもう少し練習します」
強く拳を握りしめながらフィーロが言う。必死な姿を見ていると、休憩も必要だとは注意できず「わかった」と答えるしかなかった。
シャノンもそんなフィーロの様子をとても心配している。
「シャノン、フィーロのことを頼んだ」
今はそっとしておいてあげようと思い一人で訓練所を出た。
本当に心配でたまらない。小説内のフィーロも兄や周りと比べて実力が劣っていることをとても気にしていたし、それがきっかけで悪役令息の道に進んでいった。
(シャノンがいるから大丈夫だろう)
こういうときは兄よりも友達といるほうが心が休まるかもしれない。
なにもしてやれないことが悔しくて歯がゆかった。
部屋に戻ると、たまりかけている魔術協会関連の書類整理を行う。
魔術学会に提出する新薬の案と研究成果。新魔術に、今年から禁止されることになった魔術。他にも様々な事案の処理や確認が積み重なっている。
(最近サボってたからな~……)
弟を溺愛することに夢中で仕事なんて後回しにしていた。
ゼンはこういうところも抜かりがなく、性格に難はあっても仕事だけはきっちりこなす男だった。前世の記憶を思い出してから唯一悪影響を及ぼしているのは書類整理だ。
こういう細々したことが前世は本当に苦手だった。
記憶を取り戻すまではこなしてきていたため出来なくなったわけではない。けれど効率は下がっている。
「あー……フィーロを抱きしめてやればよかった……」
心配するな。お前ならできる。そう言って慰めてやればよかったと少しだけ後悔してしまう。
後悔を募らせながらとりあえず仕事を再開し始めた。
ドンドン!と部屋の扉がすごい勢いでノックされたのが聞こえてきたのは、書類整理を始めてから四時間は経過した頃だった。
「何事だ」
手を止めたゼンが扉を開けると、慌てた様子の使用人が息を切らしながら立っていた。
「フィ、フィーロ様が訓練所で怪我をっ!」
その言葉を聞いた瞬間、ゼンは勢い良く部屋を飛び出した。
フィーロとシャノンの練習の成果はあまり出ているとはいえなかった。
フィーロはまだ二十メートルほど弾を飛ばすのがやっとで威力も弱い。シャノンもやはり攻撃系魔術はからっきしで、治癒魔術も発現していない状態だった。
「お兄様ごめんなさい……」
フィーロに謝罪されて、ゼンは眉をハの字に下げた。シャノンも申し訳なさそうにフィーロの隣でうつむいている。
すぐに成果が出るとは思っていない。それに二人は頑張っている。そう言って励ましてあげたいけれど、そんな言葉は逆効果になる気がしてかける言葉が見つからなかった。
こんなときこそルーカスが居てくれればよかったが、彼も角狼の討伐会議で忙しくしているためここ二週間ほど顔を合わせていない。
「今日の練習は終わりにして、甘い物でも食べないか?」
「っ、僕はもう少し練習します」
強く拳を握りしめながらフィーロが言う。必死な姿を見ていると、休憩も必要だとは注意できず「わかった」と答えるしかなかった。
シャノンもそんなフィーロの様子をとても心配している。
「シャノン、フィーロのことを頼んだ」
今はそっとしておいてあげようと思い一人で訓練所を出た。
本当に心配でたまらない。小説内のフィーロも兄や周りと比べて実力が劣っていることをとても気にしていたし、それがきっかけで悪役令息の道に進んでいった。
(シャノンがいるから大丈夫だろう)
こういうときは兄よりも友達といるほうが心が休まるかもしれない。
なにもしてやれないことが悔しくて歯がゆかった。
部屋に戻ると、たまりかけている魔術協会関連の書類整理を行う。
魔術学会に提出する新薬の案と研究成果。新魔術に、今年から禁止されることになった魔術。他にも様々な事案の処理や確認が積み重なっている。
(最近サボってたからな~……)
弟を溺愛することに夢中で仕事なんて後回しにしていた。
ゼンはこういうところも抜かりがなく、性格に難はあっても仕事だけはきっちりこなす男だった。前世の記憶を思い出してから唯一悪影響を及ぼしているのは書類整理だ。
こういう細々したことが前世は本当に苦手だった。
記憶を取り戻すまではこなしてきていたため出来なくなったわけではない。けれど効率は下がっている。
「あー……フィーロを抱きしめてやればよかった……」
心配するな。お前ならできる。そう言って慰めてやればよかったと少しだけ後悔してしまう。
後悔を募らせながらとりあえず仕事を再開し始めた。
ドンドン!と部屋の扉がすごい勢いでノックされたのが聞こえてきたのは、書類整理を始めてから四時間は経過した頃だった。
「何事だ」
手を止めたゼンが扉を開けると、慌てた様子の使用人が息を切らしながら立っていた。
「フィ、フィーロ様が訓練所で怪我をっ!」
その言葉を聞いた瞬間、ゼンは勢い良く部屋を飛び出した。
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