22 / 45
可愛いってどういうことだ!?
しおりを挟む
「お客様、お品物でございます」
「ありがとう」
ケースに入れられた指輪を受け取ると、指輪とゼンの顔を見比べているフィーロに声をかけて店を出た。
「お兄様はルーカス様のことをどう思っているんですか?」
「……危険人物だな」
いつ破滅ルートに引き込まれるかわからない地雷のような存在だ。
それぞれのキャラの関係性は少しずつ小説のストーリーとは違ってきている。それでもルーカスが角狼と遭遇したように、起こることは起こる。
だからもしもルーカスがゼンやフィーロにとって危険な存在になってしまった場合には──。
「お兄様は口ではいつもルーカス様のことを拒否するけど、僕には嫌っているようには見えません」
シャノンにも同じようなことを言われた。
前までのゼンはルーカスのことが嫌いだった。その感覚が胸の中にほんの少し残っているのは確かだ。けれど今のゼンはルーカスのことを本当の意味で嫌いではない。
「好きだろうと嫌いだろうとあいつに心を許すことは難しい」
「うーん……。それならなおさら指輪は……お兄様って可愛い人なんです」
「可愛い?」
どうしてそんなことを言われたのかわからなかった。
フィーロはクスクスと笑みを浮かべながら、少し前を歩いていく。その後ろ姿を見つめながら、ゼンは頭に疑問を浮かべながら軽く首を傾げた。
「フィーロ、俺が可愛いとはどういうことだ」
駆け足でフィーロの背を追いかける。
「そのままの意味ですよ」
「理解ができない。説明してくれ」
「うーん。きっとルーカス様が教えてくれます」
「ルーカスだと?なぜルーカスが出てくるんだ。おい、フィーロっ」
まったく教えてくれる様子のないフィーロは、笑みを浮かべながら真っ直ぐに大通りを進んでいく。
「ケーキを食べたいです。大きなチーゴが乗っているやつ」
「あ、あぁ……食べに行こう」
上手く話をそらされた気はするが、フィーロが楽しそうなので気にしないことにした。
スイーツの店に行くと、真っ赤なチーゴがふわふわの生クリームの上にたくさんのせられたケーキを注文した。
ゼンはあまりケーキを食べないため甘さ控えめのチーズケーキを頼んだ。
口いっぱいにケーキを頬張るフィーロはものすごく幸せそうに見える。
「うまいか?」
「とーーっても美味しいです!」
「それならよかった」
チーズケーキにフォークを通しながら、フィーロが嬉しそうにケーキを食べているのを眺める。
先程の可愛い発言はよくわからなかったが、基本フィーロは反応に気持ちが良く現れるためわかりやすい。
ゼンもしっとりとしたチーズケーキを味わいながら一息つく。
(ルーカスには贈り物を買ったから文句は言われないだろう)
そういえば最近はプライベートでルーカスと会っていない。彼も忙しいため伯爵家へ来られないのは仕方ないことだ。
ゼンもわざわざ会いに行くことはしない。
──あいつがいないとこんなに静かなんだな。
そんなことを思うようになった自分自身に驚いてしまった。
「お兄様は本当に結婚しちゃうんですか?」
フィーロに話しかけられて考えを止めた。
「そのうちあいつも飽きるだろう」
好きだと伝えられたことはある。けれど自分を拒否するゼンを茶化して楽しんでいるのかもしれない。
それにストーリーの強制力が働けば、いつかはシャノンと恋人になるかも……。
フィーロのこともあり二人がくっつくのは素直に喜べない。
どうせならまったく知らない誰かと結婚してくれればいいと思う。
「僕は飽きたりしないと思います」
真っ直ぐに目を見つめてくるフィーロを見返す。
なぜそんなことが言い切れるのかゼンにはわからなかった。
「お兄様はなんでもできてすごい方です。でも僕と同じで普通の人なんだって今日わかりました。お兄様のことを知ることができて嬉しかったです」
最後の一個のチーゴを頬ばりながらフィーロが幸せそうに笑みを浮かべた。
その笑みを見つめながら、ゼンはやっぱり言われている意味がわからず困り顔になってしまった。
「ありがとう」
ケースに入れられた指輪を受け取ると、指輪とゼンの顔を見比べているフィーロに声をかけて店を出た。
「お兄様はルーカス様のことをどう思っているんですか?」
「……危険人物だな」
いつ破滅ルートに引き込まれるかわからない地雷のような存在だ。
それぞれのキャラの関係性は少しずつ小説のストーリーとは違ってきている。それでもルーカスが角狼と遭遇したように、起こることは起こる。
だからもしもルーカスがゼンやフィーロにとって危険な存在になってしまった場合には──。
「お兄様は口ではいつもルーカス様のことを拒否するけど、僕には嫌っているようには見えません」
シャノンにも同じようなことを言われた。
前までのゼンはルーカスのことが嫌いだった。その感覚が胸の中にほんの少し残っているのは確かだ。けれど今のゼンはルーカスのことを本当の意味で嫌いではない。
「好きだろうと嫌いだろうとあいつに心を許すことは難しい」
「うーん……。それならなおさら指輪は……お兄様って可愛い人なんです」
「可愛い?」
どうしてそんなことを言われたのかわからなかった。
フィーロはクスクスと笑みを浮かべながら、少し前を歩いていく。その後ろ姿を見つめながら、ゼンは頭に疑問を浮かべながら軽く首を傾げた。
「フィーロ、俺が可愛いとはどういうことだ」
駆け足でフィーロの背を追いかける。
「そのままの意味ですよ」
「理解ができない。説明してくれ」
「うーん。きっとルーカス様が教えてくれます」
「ルーカスだと?なぜルーカスが出てくるんだ。おい、フィーロっ」
まったく教えてくれる様子のないフィーロは、笑みを浮かべながら真っ直ぐに大通りを進んでいく。
「ケーキを食べたいです。大きなチーゴが乗っているやつ」
「あ、あぁ……食べに行こう」
上手く話をそらされた気はするが、フィーロが楽しそうなので気にしないことにした。
スイーツの店に行くと、真っ赤なチーゴがふわふわの生クリームの上にたくさんのせられたケーキを注文した。
ゼンはあまりケーキを食べないため甘さ控えめのチーズケーキを頼んだ。
口いっぱいにケーキを頬張るフィーロはものすごく幸せそうに見える。
「うまいか?」
「とーーっても美味しいです!」
「それならよかった」
チーズケーキにフォークを通しながら、フィーロが嬉しそうにケーキを食べているのを眺める。
先程の可愛い発言はよくわからなかったが、基本フィーロは反応に気持ちが良く現れるためわかりやすい。
ゼンもしっとりとしたチーズケーキを味わいながら一息つく。
(ルーカスには贈り物を買ったから文句は言われないだろう)
そういえば最近はプライベートでルーカスと会っていない。彼も忙しいため伯爵家へ来られないのは仕方ないことだ。
ゼンもわざわざ会いに行くことはしない。
──あいつがいないとこんなに静かなんだな。
そんなことを思うようになった自分自身に驚いてしまった。
「お兄様は本当に結婚しちゃうんですか?」
フィーロに話しかけられて考えを止めた。
「そのうちあいつも飽きるだろう」
好きだと伝えられたことはある。けれど自分を拒否するゼンを茶化して楽しんでいるのかもしれない。
それにストーリーの強制力が働けば、いつかはシャノンと恋人になるかも……。
フィーロのこともあり二人がくっつくのは素直に喜べない。
どうせならまったく知らない誰かと結婚してくれればいいと思う。
「僕は飽きたりしないと思います」
真っ直ぐに目を見つめてくるフィーロを見返す。
なぜそんなことが言い切れるのかゼンにはわからなかった。
「お兄様はなんでもできてすごい方です。でも僕と同じで普通の人なんだって今日わかりました。お兄様のことを知ることができて嬉しかったです」
最後の一個のチーゴを頬ばりながらフィーロが幸せそうに笑みを浮かべた。
その笑みを見つめながら、ゼンはやっぱり言われている意味がわからず困り顔になってしまった。
1,009
あなたにおすすめの小説
悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る
桜城 寧
BL
処刑された記憶とともに、BLゲームに登場する悪役会計に転生したことに気付く。処刑されないために、チャラ男としての仮面を被り、生徒会長に媚び売ったり、どうにか能力を駆使したりして生きてたら、色々な人に構われる話。
白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです
まんまる
BL
フレア王国の第3王子シルティ(18歳.Ω)は、王宮騎士団の団長を務める、キーファ侯爵家現当主のアリウス(29歳.α)に、ずっと片想いをしている。
そんなシルティは、Ωの成人王族の務めとして、自分は隣国のαの王族に輿入れするのだろうと、人生を半ば諦めていた。
だが、ある日突然、父である国王から、アリウスとの婚姻を勧められる。
二つ返事でアリウスとの婚姻を受けたシルティだったが、何もできない自分の事を、アリウスは迷惑に思っていないだろうかと心配になる。
─が、そんなシルティの心配をよそに、アリウスは天にも登る気持ち(無表情)で、いそいそと婚姻の準備を進めていた。
受けを好きすぎて、発情期にしか触れる事ができない攻めと、発情期の記憶が一切ない受けのお話です。
拗らせ両片想いの大人の恋(?)
オメガバースの設定をお借りしています。ぼんやり設定です。
Rシーンは※つけます。
1話1,000~2,000字程度です。
悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
従者は知らない間に外堀を埋められていた
SEKISUI
BL
新作ゲーム胸にルンルン気分で家に帰る途中事故にあってそのゲームの中転生してしまったOL
転生先は悪役令息の従者でした
でも内容は宣伝で流れたプロモーション程度しか知りません
だから知らんけど精神で人生歩みます
冤罪で追放された悪役令息、北の辺境で幸せを掴む~恐ろしいと噂の銀狼将軍に嫁いだら、極上の溺愛とモフモフなスローライフが始まりました~
水凪しおん
BL
「君は、俺の宝だ」
無実の罪を着せられ、婚約破棄の末に極寒の辺境へ追放された公爵令息ジュリアン。
彼を待ち受けていたのは、「北の食人狼」と恐れられる将軍グリーグとの政略結婚だった。
死を覚悟したジュリアンだったが、出会った将軍は、噂とは真逆の不器用で心優しいアルファで……?
前世の記憶を持つジュリアンは、現代知識と魔法でボロボロの要塞を快適リフォーム!
手作りスープで将軍の胃袋を掴み、特産品開発で街を救い、気づけば冷徹将軍から規格外の溺愛を受けることに。
一方、ジュリアンを捨てた王都では、破滅の足音が近づいていて――。
冤罪追放から始まる、銀狼将軍との幸せいっぱいな溺愛スローライフ、ここに開幕!
【オメガバース/ハッピーエンド/ざまぁあり/子育て/スパダリ】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる