弟を溺愛していたら、破滅ルートを引き連れてくる攻めに溺愛されちゃった話

天宮叶

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あいつにぴったりだしこれでいいだろ

「忘れるところだった。少し寄りたいところがあるがいいか?」

「お兄様が行きたいところは僕も気になります」

「それなら行こう」

 並んで大通りを進んでいく。ゼンの肩ほどの位置にフィーロの顔があり、下を向けばすぐに表情が見える。
 フィーロは十五歳でまだ成長期だ。伯爵家には背の低い男は居ないうえに、オメガのゼンですら体格がいい。きっとフィーロもすぐに大きくなる。
 悪役令息である彼は数々の罪を背負い結局十八歳で処刑されてしまう。
 だから成長しきった姿を知ることはできなかった。

(今世では見れるよな)

 大切にしたい推しであり弟。そんなフィーロの成長を見れるのも兄の特権だ。
 初めは最低最悪の兄に生まれ変わったことを恨んだけれど、いまはよかったと思える。
 しばらく歩くと、左の小道に入ってすぐの場所に装飾を売る店が見えてきた。こぢんまりとして古くも見えるが、しっかりとした作りの店だ。扉を開けると大量の装飾品が棚の上に無造作に置かれてあるのが見えた。
 高価そうなものがガラスのショーケースに入れられている。

「先程の装飾店とは雰囲気が違いますね」

「この店は魔具を扱っているんだ。魔術師を補助するための効果がついた装飾を売っている。だがよく見極めなければならない。マイナスの効果を持つ魔具もあるからな」

「マイナスの効果ですか?」

「持ち主から魔力を吸い取る呪いの品や、攻撃系魔術の威力を下げるものまである」

「怖いですね……。でもどうしてここに来たんですか?」

「一応誕生日は祝わないとな」

 ざっと店内を確認すると一点で目を止めた。
 一区画だけ厳重に管理されている鍵付きのショーケースの前へ向かう。

「どれも強い効果があるな」

「効果がわかるのですか?」

「鑑定魔術を使えばなんとなくだがな。魔具を制作したり売買する職人は皆、高度な鑑定魔術を扱える」

 アンクレットやネックレス。髪飾りに腰紐まである。その中に、少し特殊な効果を持つ指輪が置かれていることに気がついた。

 【持ち主に幸運をもたらし、一度だけ持ち主が死に至る攻撃を無効にする】

 非常に珍しい効果だ。値段もかなり高い。
 形はシンプルで色は薄いゴールド。ルーカスが着けていても違和感はなさそうに見えた。なにより騎士団長として常に命を賭けている彼には必要だろう。
 持ち主に幸運をもたらすという効果も祝にはぴったりだ。

「店主、これをもらう」

「お目が高いですね。こちらは幸運を引き寄せる指輪で──」

「効果は承知している。人に贈るから包んでくれ」

「これはこれは鑑定持ちの方でしたか。すぐにお包みいたします」

 支払いを済ませると、待たせていたフィーロのもとへ向かう。

「お兄様、本当にあれを贈るのですか?」

「? そうだが」

「……でも、あれは指輪ですよね?」

「なにか問題があるのか?」

「あ、その……お兄様が気になさらないのであればいいんです」

 歯切れの悪い返しをしてくるフィーロの様子は不思議に感じたが、気にしなくていいと言われたためこれ以上は尋ねなかった。

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