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俺様生徒会長、天王寺優生。笑っちゃうくらい俺様してそうな名前だが、先程見かけた見覚えのある男こそ前世で姉がどハマりしていたBLゲームの攻略対象だ。
『どうしようもなく君を』は鷹燿学院に、ある日転校生が現れるところから始まる。一貫教育学校のうえ私立名門の学院であるが故にこれまで転校生を受け入れた前例はなく、特異な存在である主人公は6人の攻略対象に面白がられ恋愛へと発展していくのだ。
正直話半分で聞いていたため、詳細は覚えていないが、あの小規模大名行列の1番後ろを歩いていた男は俺様生徒会長の天王寺優生で間違いないだろう。
そして天王寺の立ち位置からして今現在は生徒会長ではなく、他の役職を担っていると推測できる。主人公が転入してくる9月、ゲームでは既に生徒会長で学年は2年次だったはずだ。つまり約半年後に主人公がやってくることになる。
だがそんなことは何の問題でもない。主人公が転校してこようが、天王寺が俺様であろうが何ひとつとして関係がない。
なぜなら知っている限りではこのゲームに俺、藤崎千紘は存在しない、所謂モブキャラクターであるからだ。
主人公や生徒会が恋愛を繰り広げるゲームなのだから、モブの俺はさほど気にする必要はないだろう。
「大丈夫か?」
「え?」
急に声を掛けられ顔を向けると、俺の様子を窺うように下から覗きこまれていた。周囲を見渡すと大名行列は終了したのか、集まっていた生徒たちは各々自分の教室へと歩き始めている。
いつまで経っても動かずに呆然としていたからか、心配してくれたのかもしれない。
「あー!はい、少しぼーっとしちゃって」
「かっこいいよな、生徒会。俺も初めて見たときは見惚れちゃってたわ」
呆けていたのは生徒会が原因ではないし、若干そう思われたことは癪に障るが訂正が面倒だしそのままにしておこう。実際オーラに圧倒されたのは認めざるを得ないし。
それにしてもBLゲームだけあってか、声を掛けてくれた生徒は攻略対象ではないモブ仲間であるはずなのに無駄に端正な顔立ちをしている。
「俺2年だけど、新入生だよな?何組だった?」
「はい。3組でした」
「おっけー!暇だし1年の様子も見たいから送ってってやるよ」
「え!?いや、!」
「遠慮すんなって!ほら、行くぞ」
ぐいっと腕を引っ張られ半ば強引に案内してもらうことになった。悪い人ではなさそうだが、猪突猛進というか、相手のことを見ないというか、なんというか、うん。名前は瀬川琉猪というそうだ。名が体を表しすぎている。
「藤崎ってなんか大人びてるよな。1年ってもっとピチピチしてるもんじゃない?」
「ピチピチってなんですか?」
「え!?ピチピチわかんない!?これがジェネギャ…?1年の差で感じると心に来るな…」
「ジェネギャ…?あー、ジェネレーションギャップ?」
知らない言葉が飛び交い少し戸惑うも、省略されているものなら何となくわかる。
「藤崎って帰国子女?」
「はい。5歳のときからカナダに住んでました」
「あ~よかった!俺が時代遅れなのかと思ったじゃん!そっかそっか、妙に大人っぽいわけだな」
うんうんと首を縦に振りながら嬉しそうにする瀬川翁を横目で見ていると、その先にいた生徒に目が入った。数人で固まってキラキラした目をこちらに、というか瀬川に向けている。
生徒会然り、同性でもかっこいい人にはファンがつくんだな。男子校はそういうものなんだろうか。
そこでふと気づいた。瀬川は校章の下に橙色の宝石が埋め込まれたブローチをしているのに、群がる彼らは誰もしていない。周囲を見渡してもそうだ。鷹耀は格式高い印象が強いがほとんど校則がないため、生徒の中にはピアスを開けたり髪を染めたりしている者もいる。瀬川はそういうことに無頓着そうなイメージをこの数分で抱いていたが、意外にもオシャレ好きなのかもしれない。
『どうしようもなく君を』は鷹燿学院に、ある日転校生が現れるところから始まる。一貫教育学校のうえ私立名門の学院であるが故にこれまで転校生を受け入れた前例はなく、特異な存在である主人公は6人の攻略対象に面白がられ恋愛へと発展していくのだ。
正直話半分で聞いていたため、詳細は覚えていないが、あの小規模大名行列の1番後ろを歩いていた男は俺様生徒会長の天王寺優生で間違いないだろう。
そして天王寺の立ち位置からして今現在は生徒会長ではなく、他の役職を担っていると推測できる。主人公が転入してくる9月、ゲームでは既に生徒会長で学年は2年次だったはずだ。つまり約半年後に主人公がやってくることになる。
だがそんなことは何の問題でもない。主人公が転校してこようが、天王寺が俺様であろうが何ひとつとして関係がない。
なぜなら知っている限りではこのゲームに俺、藤崎千紘は存在しない、所謂モブキャラクターであるからだ。
主人公や生徒会が恋愛を繰り広げるゲームなのだから、モブの俺はさほど気にする必要はないだろう。
「大丈夫か?」
「え?」
急に声を掛けられ顔を向けると、俺の様子を窺うように下から覗きこまれていた。周囲を見渡すと大名行列は終了したのか、集まっていた生徒たちは各々自分の教室へと歩き始めている。
いつまで経っても動かずに呆然としていたからか、心配してくれたのかもしれない。
「あー!はい、少しぼーっとしちゃって」
「かっこいいよな、生徒会。俺も初めて見たときは見惚れちゃってたわ」
呆けていたのは生徒会が原因ではないし、若干そう思われたことは癪に障るが訂正が面倒だしそのままにしておこう。実際オーラに圧倒されたのは認めざるを得ないし。
それにしてもBLゲームだけあってか、声を掛けてくれた生徒は攻略対象ではないモブ仲間であるはずなのに無駄に端正な顔立ちをしている。
「俺2年だけど、新入生だよな?何組だった?」
「はい。3組でした」
「おっけー!暇だし1年の様子も見たいから送ってってやるよ」
「え!?いや、!」
「遠慮すんなって!ほら、行くぞ」
ぐいっと腕を引っ張られ半ば強引に案内してもらうことになった。悪い人ではなさそうだが、猪突猛進というか、相手のことを見ないというか、なんというか、うん。名前は瀬川琉猪というそうだ。名が体を表しすぎている。
「藤崎ってなんか大人びてるよな。1年ってもっとピチピチしてるもんじゃない?」
「ピチピチってなんですか?」
「え!?ピチピチわかんない!?これがジェネギャ…?1年の差で感じると心に来るな…」
「ジェネギャ…?あー、ジェネレーションギャップ?」
知らない言葉が飛び交い少し戸惑うも、省略されているものなら何となくわかる。
「藤崎って帰国子女?」
「はい。5歳のときからカナダに住んでました」
「あ~よかった!俺が時代遅れなのかと思ったじゃん!そっかそっか、妙に大人っぽいわけだな」
うんうんと首を縦に振りながら嬉しそうにする瀬川翁を横目で見ていると、その先にいた生徒に目が入った。数人で固まってキラキラした目をこちらに、というか瀬川に向けている。
生徒会然り、同性でもかっこいい人にはファンがつくんだな。男子校はそういうものなんだろうか。
そこでふと気づいた。瀬川は校章の下に橙色の宝石が埋め込まれたブローチをしているのに、群がる彼らは誰もしていない。周囲を見渡してもそうだ。鷹耀は格式高い印象が強いがほとんど校則がないため、生徒の中にはピアスを開けたり髪を染めたりしている者もいる。瀬川はそういうことに無頓着そうなイメージをこの数分で抱いていたが、意外にもオシャレ好きなのかもしれない。
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