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新しい出会い
第403話 転生者の少女(他者視点)
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~元勇者 チアキ視点~
白雪から質問をされた直後に突然固まってしまったヴィオ。
カタカタと震え出したかと思うと顔色がどんどん悪くなっていく。
「おいっ、大丈夫か? ゆっくり息を吸え、聞こえてるか?」
声をかけるが全く反応がなく、俺の声が聞こえていないようだ。ヒューヒューと浅い息を繰り返しながら焦点が合わない目からは光が失われ、大粒の涙が溢れ出る。
「すまぬ、チャーキと話しておる時は普通じゃったから、前世の大人としての記憶がある故正気じゃと思っておったが、まだ父について聞くべきではなかったな……」
俺も転生者という事で盛り上がってしまったが、考えればこの少女はつい先程まで気を失い眠っていたのだ。という事は父と呼んでいた獣人と死別した直後という事だ。
あまりにもちゃんとしたやり取りが出来ていたからうっかりしていたが、まだまだ精神的に不安定なのだろう。俺もそうだったが、記憶が蘇ったとはいえ身体はその肉体年齢だし、身体に精神年齢は引っ張られることがある。成人した後は大分安定してきたが、7歳じゃまだまだ駄目だろうな。
ゆっくり顔を上げたヴィオに安心しかけたが、未だ焦点は合わず、何かをブツブツと言っているが小さくて聞こえない。
「白雪」
「うむ、どうやら幻覚を見ておるようじゃな。今回の事で母親と獣人の父というのが亡くなったのは自分のせいじゃと思っておるんじゃろうな」
「――――ごめんなさい」
ヴィオがそう呟いた途端、本人が出したと思われる水球に包み込まれた。
「なっ!?」
「これはまずい、多分自分の汚れを洗い流したいという気持ちで作り出した水魔法じゃろうが、このままでは溺死するぞ」
玉の中では水流が渦巻いており、確かに【クリーン】をしている時と似ているが、その水が消えそうにはない。まさか自分自身も洗い流して消えてしまいたいと思っているのか?
『ピュイ~~~ピュイ!』
緊急の指笛を鳴らせば、ベル坊を慰める為に出ていたルイスが戻ってきた。
「チャーキ様お呼びでっっ!? これは?」
「ルイス、このままでは恩人が溺死する。どうにか救い出してくれ」
「畏まりました!」
「ルイス、これを嬢の腕に着けよ。一時的な物じゃ」
水竜人族のルイスであれば、あの水流の中からでも救い出せるはずだ。白雪が慌てて持ってきたのは魔封じの腕輪だった。生まれた時から魔力が多い魔人族の子供や、原獣に近い獣人族の子供たちは魔力操作が上手くいかずに魔法を暴発してしまうことがあり、その予防の為に身に着けさせることが多い。
それをルイスに渡せば理解したらしく、直ぐに水球の中に竜化させた両手を突っ込み、その細い腕に腕輪を装着させた。
忽ち水球は消え去り、気を失ったヴィオは顔色を失ったままぐったりしている。
「白雪回復を」
「気力の方は時間がかかるぞ。ふむ、呼吸は浅いがしておるな。気を失った方が先じゃったから余計な水を飲まんで済んだんじゃろうな」
白雪が回復魔法をかけても顔色の悪さは然程改善されなかった。
俺に残された時間はあと十年もないだろう、だけど前世に縁があるこの少女をこのままにしておくわけにはいかない。どことなく婚約者だったルーチェにも似ている。
彼女の名前はヴィオルーチェ、愛称がルーチェだったが、この少女は愛称がヴィオでヴァイオレットが本名だ。二人とも名前が菫の花という共通点があるのもそうだが、ヴィオは何となくルーチェを思い出させる雰囲気がある。
ヴィオを救うことでルーチェを救えなかった贖罪をしたいと思っているだけかもしれないが、前世が同郷という彼女を闇落ちさせたくない。
「旦那様、少女のお着替えは終わりました。他に何かご用意はございますか?」
「ああ、助かった。今日はこのまま眠ることになるだろうから大丈夫だ、また頼むよ」
小間使いのミケが嬉しそうに尻尾を揺らしながら部屋を出る。
うん、ヴィオもモフモフが好きだと言っていたしな、グロンディールの獣人は子供の時以外は尻尾と耳以外にモフ成分は殆ど残っていない。進化によるものだというけれど、モフラーだった俺としては非常に物足りなかった。
それがどうだ、こっちのリルベルッティではゲーム世界で見たままの、まさに獣人という人たちが多かった。やろうと思えば大陸の獣人レベルまで人化できるらしいが、面倒だからと二本足の獣姿というかそれに近い感じで過ごす者が多いのだ。
つまりモフ成分が多い! 俺が翼人族を助けた後に戻らなかった理由は、ここがモフの楽園だったからだ。きっとこの国で過ごせばヴィオの心も癒えるだろう。モフセラピーは日本でもあったくらいだしな。
「チャーキはヴィオを助けるつもりなのじゃな? まだルーチェを想っておるのか?」
ミケと共にヴィオの様子を見に行っていた白雪が戻ってきた。少し寂しそうな顔でそんな事を聞いてくる。
「白雪、ヴィオを助けたいのはルーチェの事だけが理由じゃない。確かに彼女は俺の中での特別だけど、それは何もできなかった後悔があるからだ。ヴィオを助けるのは同郷だからというのと、お前たちの恩人だからだよ。
ある意味大陸から攫ってきたようなものだろう? きっと彼女を探している人もいる筈だし、聞けなかったけど実父の事も気になる。
だがきっと今大陸に戻せば、彼女は獣人の父親を亡くした後悔で押しつぶされてしまうだろう。だからしばらくはここで過ごしてもらって、俺が教えられる戦い方と生き方を教えるつもりだ」
白雪が人としての姿を保ち続けているのは俺の妻として一緒にいたいという希望からだ。俺としては白熊姿も最高の癒しだから、二人きりの時には敢えてその姿になってもらって毛皮に埋もれさせてもらう事もあるけれど、同じ姿で一緒に過ごしたいというのだ。
ルーチェを忘れることは一生無いが、この数十年一緒にいて女性として愛しているのは白雪だと言葉にして伝える。こんなこと昔の俺だったら恥ずかしくて悶死するところだけど、獣人は基本的にスキンシップが激しく、ちゃんと思っていることを言葉にする文化だからな。
恥ずかしがって寂しがらせるなんて馬鹿がすることだ。俺、成長した!
「チャーキはお人よしじゃからなぁ。あい分かった。それならば我もヴィオを育てることに力を貸そう。あの者の魂は随分綺麗な色をしておるし、あの能力を失くしてしまうのは惜しいからな」
「そうか、聖獣だとそんな事も分かるのか? だが助かる」
「チャーキと似ておるよ。もしかしたら転生者という他所から来た魂の色なのかもしれんな」
そうか、俺にはその色は見えんが、出会った時から白雪はそう言っていたからな。聖獣である白雪が味方になってくれるのであれば助かる。
白雪から質問をされた直後に突然固まってしまったヴィオ。
カタカタと震え出したかと思うと顔色がどんどん悪くなっていく。
「おいっ、大丈夫か? ゆっくり息を吸え、聞こえてるか?」
声をかけるが全く反応がなく、俺の声が聞こえていないようだ。ヒューヒューと浅い息を繰り返しながら焦点が合わない目からは光が失われ、大粒の涙が溢れ出る。
「すまぬ、チャーキと話しておる時は普通じゃったから、前世の大人としての記憶がある故正気じゃと思っておったが、まだ父について聞くべきではなかったな……」
俺も転生者という事で盛り上がってしまったが、考えればこの少女はつい先程まで気を失い眠っていたのだ。という事は父と呼んでいた獣人と死別した直後という事だ。
あまりにもちゃんとしたやり取りが出来ていたからうっかりしていたが、まだまだ精神的に不安定なのだろう。俺もそうだったが、記憶が蘇ったとはいえ身体はその肉体年齢だし、身体に精神年齢は引っ張られることがある。成人した後は大分安定してきたが、7歳じゃまだまだ駄目だろうな。
ゆっくり顔を上げたヴィオに安心しかけたが、未だ焦点は合わず、何かをブツブツと言っているが小さくて聞こえない。
「白雪」
「うむ、どうやら幻覚を見ておるようじゃな。今回の事で母親と獣人の父というのが亡くなったのは自分のせいじゃと思っておるんじゃろうな」
「――――ごめんなさい」
ヴィオがそう呟いた途端、本人が出したと思われる水球に包み込まれた。
「なっ!?」
「これはまずい、多分自分の汚れを洗い流したいという気持ちで作り出した水魔法じゃろうが、このままでは溺死するぞ」
玉の中では水流が渦巻いており、確かに【クリーン】をしている時と似ているが、その水が消えそうにはない。まさか自分自身も洗い流して消えてしまいたいと思っているのか?
『ピュイ~~~ピュイ!』
緊急の指笛を鳴らせば、ベル坊を慰める為に出ていたルイスが戻ってきた。
「チャーキ様お呼びでっっ!? これは?」
「ルイス、このままでは恩人が溺死する。どうにか救い出してくれ」
「畏まりました!」
「ルイス、これを嬢の腕に着けよ。一時的な物じゃ」
水竜人族のルイスであれば、あの水流の中からでも救い出せるはずだ。白雪が慌てて持ってきたのは魔封じの腕輪だった。生まれた時から魔力が多い魔人族の子供や、原獣に近い獣人族の子供たちは魔力操作が上手くいかずに魔法を暴発してしまうことがあり、その予防の為に身に着けさせることが多い。
それをルイスに渡せば理解したらしく、直ぐに水球の中に竜化させた両手を突っ込み、その細い腕に腕輪を装着させた。
忽ち水球は消え去り、気を失ったヴィオは顔色を失ったままぐったりしている。
「白雪回復を」
「気力の方は時間がかかるぞ。ふむ、呼吸は浅いがしておるな。気を失った方が先じゃったから余計な水を飲まんで済んだんじゃろうな」
白雪が回復魔法をかけても顔色の悪さは然程改善されなかった。
俺に残された時間はあと十年もないだろう、だけど前世に縁があるこの少女をこのままにしておくわけにはいかない。どことなく婚約者だったルーチェにも似ている。
彼女の名前はヴィオルーチェ、愛称がルーチェだったが、この少女は愛称がヴィオでヴァイオレットが本名だ。二人とも名前が菫の花という共通点があるのもそうだが、ヴィオは何となくルーチェを思い出させる雰囲気がある。
ヴィオを救うことでルーチェを救えなかった贖罪をしたいと思っているだけかもしれないが、前世が同郷という彼女を闇落ちさせたくない。
「旦那様、少女のお着替えは終わりました。他に何かご用意はございますか?」
「ああ、助かった。今日はこのまま眠ることになるだろうから大丈夫だ、また頼むよ」
小間使いのミケが嬉しそうに尻尾を揺らしながら部屋を出る。
うん、ヴィオもモフモフが好きだと言っていたしな、グロンディールの獣人は子供の時以外は尻尾と耳以外にモフ成分は殆ど残っていない。進化によるものだというけれど、モフラーだった俺としては非常に物足りなかった。
それがどうだ、こっちのリルベルッティではゲーム世界で見たままの、まさに獣人という人たちが多かった。やろうと思えば大陸の獣人レベルまで人化できるらしいが、面倒だからと二本足の獣姿というかそれに近い感じで過ごす者が多いのだ。
つまりモフ成分が多い! 俺が翼人族を助けた後に戻らなかった理由は、ここがモフの楽園だったからだ。きっとこの国で過ごせばヴィオの心も癒えるだろう。モフセラピーは日本でもあったくらいだしな。
「チャーキはヴィオを助けるつもりなのじゃな? まだルーチェを想っておるのか?」
ミケと共にヴィオの様子を見に行っていた白雪が戻ってきた。少し寂しそうな顔でそんな事を聞いてくる。
「白雪、ヴィオを助けたいのはルーチェの事だけが理由じゃない。確かに彼女は俺の中での特別だけど、それは何もできなかった後悔があるからだ。ヴィオを助けるのは同郷だからというのと、お前たちの恩人だからだよ。
ある意味大陸から攫ってきたようなものだろう? きっと彼女を探している人もいる筈だし、聞けなかったけど実父の事も気になる。
だがきっと今大陸に戻せば、彼女は獣人の父親を亡くした後悔で押しつぶされてしまうだろう。だからしばらくはここで過ごしてもらって、俺が教えられる戦い方と生き方を教えるつもりだ」
白雪が人としての姿を保ち続けているのは俺の妻として一緒にいたいという希望からだ。俺としては白熊姿も最高の癒しだから、二人きりの時には敢えてその姿になってもらって毛皮に埋もれさせてもらう事もあるけれど、同じ姿で一緒に過ごしたいというのだ。
ルーチェを忘れることは一生無いが、この数十年一緒にいて女性として愛しているのは白雪だと言葉にして伝える。こんなこと昔の俺だったら恥ずかしくて悶死するところだけど、獣人は基本的にスキンシップが激しく、ちゃんと思っていることを言葉にする文化だからな。
恥ずかしがって寂しがらせるなんて馬鹿がすることだ。俺、成長した!
「チャーキはお人よしじゃからなぁ。あい分かった。それならば我もヴィオを育てることに力を貸そう。あの者の魂は随分綺麗な色をしておるし、あの能力を失くしてしまうのは惜しいからな」
「そうか、聖獣だとそんな事も分かるのか? だが助かる」
「チャーキと似ておるよ。もしかしたら転生者という他所から来た魂の色なのかもしれんな」
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