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閑話
〈閑話〉メネクセス王国 29
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~ファイルヒェン視点~
大陸歴587年 風の季節
「あ~、クソっ、終わんねーじゃねえか」
「陛下、お言葉が戻っていらっしゃいましてよ」
書類の確認をしていれば、ミュゼットから注意を受ける。
テリューたちが持ってきてくれたのは証人だけではなく、証拠品が大量に入ったマジックバッグと、調査を手伝ってくれる人手だった。
今この特別執務室にいるのは、兄の嫁ミュゼット、父ナルツィッセ、元宰相リオネル、俺の補佐をしてくれるヨルクとクラリスの六人だけだ。
宰相のアーゴナスは通常執務があるから任せているし、ロデドロンがそれを見学しながら勉強中の筈だ。
内容が内容なだけに、あまり多くの人間を関わらせるわけにはいかない。だからこそ時間がかかっているんだがな。
「陛下、〔煉獄の砦〕のイデオン様がお越しになりました」
「通してくれ」
扉の前には衝立があるので、中で扱っている書類を見てしまうという事も無いようにしている。ノックの後に入ってきたのは、プレーサマ辺境伯閣下からお借りした〔煉獄の砦〕という冒険者たちだ。彼らは冒険者としては引退して、現在はプレーサマ辺境伯領都のギルドで指導員をしている。全員が40歳を超えても生存しているパーティーというのは、ある意味珍しい。
冒険者は若い頃には無茶をしがちで、メンバーが大怪我をして冒険者を辞めることになったり、強敵にトラウマを抱えて辞めたり、金を稼いで酒に溺れて身を崩すなんてことも多いのだ。
彼らは堅実にランクを上げ、常に慎重な行動をしていた事から引退を考えた頃に指導員としてスカウトされたという。戦い方はプレーサマ騎士団との手合わせに呼ばれるほどで、前辺境伯閣下お気に入りとして懐刀のような存在だったという。
今回、ヴィオが誘拐された時、直ぐに前辺境伯閣下が駆けつけたらしい。どんな関係があったのかは聞いていないが、閣下はヴィオの事を気に入っていたらしく、取り調べなどに人手が足りなくなるだろうからと彼らを寄こしてくれたのだ。
「どうだった?」
「はっ、影のトップだったと思われる人物を捕縛しました。色んな所に餌を撒いておいたんですが、侯爵のところに現れたのは、忠実というのかなんというのかって感じですな」
やっと見つかったか。
ガルデニア侯爵の影は王妃付きだった男を捕縛したところから調べていたが、本人たちもどれだけ実働部隊がいるか分からないという組織だった。
全てを取り仕切っている奴を捕まえない限り、全容が見えないが、そちらに手を割くことも出来なかった為、〔煉獄の砦〕の皆に依頼していたのだ。
「そうか、これで調査がさらに進む。ありがとう、助かった」
「コバエは良いんですかい?」
「ええ、彼らはガルデニアに弱みを握られて依頼を受けざるを得ない相手でしかありませんからね。その弱みも我々の知るところとなった今、彼らは脅威ではありませんからね。そのままで結構です」
リオネルが冷たく笑っているが、それもそうだろう。愚かな兄ラフターラ公爵、奴がやらかした事は処刑されて然るべきではあったが、あいつもガルデニアに踊らされていたともいえるからな。ある意味冤罪も吹っ掛けられていた事を思えば、怒りが湧くのだろう。
イデオンはブルリと震える身体を撫でつけて、リーダー格の尋問が必要なら手伝うと言って退室した。
「陛下、来月には出発でございますわよね?」
「ああ、そっちもあるからな。ガルデニアの尋問は春になるか……」
「――ファイルヒェン、ガルデニアの尋問は私に任せてもらえないか?」
ミュゼットから予定を確認されて、この書類調査が出発までに終わるのも難しいかと思い色々調整し直しが必要だと思い直していれば、父から尋問を任せて欲しいと言われた。同時にミュゼットも同席したいと。
「ガルデニアは父上が信頼していた相手ですよね? こう言っては何ですが、家族に甘すぎる判断しかできない父上やリオネルには難しいのではと思っていますが……」
「ああ、そう思われても仕方がないな。
祖父の苛烈な軍事侵攻に政略結婚、王位継承争いによる身内の暗殺それが当り前だった時代があった。
私の父が同じことを繰り返さぬようにと努力をし、今の平穏な王国を創り出してくれたからな。だからこそ私も出来るだけ争いごとは無いように、皆が仲良く平和に過ごせるようにと思っていたが、見えぬ場所でこの様な事が起きていたのだ。
ラフターラの時に甘い判断は誰のためにもならぬと理解したのだ。ガルデニア公爵とて、降格した時点で立ち止まることは出来たであろう。それをせずに行動に出たのだ、三度目はない」
その真剣な表情に、再会した時の甘ったれた面影はない。
これだけの証拠が見つかり、俺の母であり、自分の妻が病弱で会った原因も分かったんだから仕方がないと思う。
俺の母が病弱だったのはラフターラが持ち込んだ蜂蜜が原因とされていたが、それ以前から母の身の回りには毒物が多く仕込まれていた。
それは寝具や、室内着などの衣服、室内で使用されていた香、毎日使っていた化粧品のまで。ほんの少し、それだけですぐに体調を崩すような量ではなく、ただ長く使い続けることで身体に取り込まれ蓄積されるように使用され続けていた。
まさか王城のメイドや侍女にそのような事をする者が潜んでいるなど誰も想像していなかった筈だ。ラフターラの関係者であれば警戒しただろう、それらは実際王妃の他、王太子妃、第二王子妃の周辺にも殆ど居なかった事から分かる。
だが、当時騎士団長を務め、筆頭公爵家であったガルデニア公爵家の関係者にそんな奴がいるなど疑いようもなかったのだろう。それらは確実に息の根を止めたいというのでもなく、効果があれば良い。それくらいのものだったからこそ、提供していた者たちも理解していなかった可能性すらある。
実際にリズモーニから嫁いでいた王妃やミュゼットは地元の布製品が気に入っていたため、それらを取り寄せていたし、香やお茶もリズモーニから取り寄せたものを使っていたが、それが取り換えられるというようなこともなかった。だからこそ気付けなかったのだろう。
そして両親はトルマーレ辺境伯へ、そこにいる俺宛に、年に一度か二度は手紙を送っていたらしい。それらは一度も届いたことはなく、祖父の前辺境伯に確認したがやはり受け取ってはいなかった。
前辺境伯夫人が『陛下からのお言葉を直接頂戴できれば伝えてあげられるから』と言ったこともあるそうだが、前辺境伯としては地方の辺境伯でしかない自分たちの娘が王の側妃となっただけでもありがたいのに、そんな無茶なお願いは失礼だと伝えなかった。そして両親も伏せている息子の事を公の場で聞くことは出来なかった。
12歳まで届いていた筈の手紙はガルデニアの影、テリューたちが持ってきたマジックバッグから見つかった。手紙には、亡き母と父からの俺に宛てた言葉と、前辺境伯夫婦に宛てた言葉が綴られていた。何故これをガルデニアが持っていたのか、何が目的だったのかも尋問で確認するつもりだったが、父がそれを任せて欲しいと言う。
奴の本当の目的も確認すべきだろう。
これを機に王都に蔓延る膿を全て出し切る気で父は気合を入れ直している。
ミュゼットも、自分の息子たちが王位を継承した時に余計な者達が居ないように、腐り切った奴らは全て処分する気でいる。
シュクラーンが卒業するまで五年、卒業後立太子の儀を行い、国内の高等学校に二年通えば卒業と同時に王位継承することになっている。
ヴィオは生きていた。
だが、アイリスが死に、育ての親だったアルク殿までも失い、どれだけ失意の中で生きているのか分からない。今も保護者代りとなるものが側にいるようだが、早く側に行ってやりたい。
今更俺の存在なんていらないと思っているかもしれないが、それでも一目で良いからヴィオの姿をこの目で見たい。
その為にも早く片付けないといけない事が多すぎる。
これからの予定を組みなおし、シュクラーンが魔導学園に向かうのを見送った翌週、俺と〔土竜の盾〕の面々でルシダニア皇国へ出発した。
大陸歴587年 風の季節
「あ~、クソっ、終わんねーじゃねえか」
「陛下、お言葉が戻っていらっしゃいましてよ」
書類の確認をしていれば、ミュゼットから注意を受ける。
テリューたちが持ってきてくれたのは証人だけではなく、証拠品が大量に入ったマジックバッグと、調査を手伝ってくれる人手だった。
今この特別執務室にいるのは、兄の嫁ミュゼット、父ナルツィッセ、元宰相リオネル、俺の補佐をしてくれるヨルクとクラリスの六人だけだ。
宰相のアーゴナスは通常執務があるから任せているし、ロデドロンがそれを見学しながら勉強中の筈だ。
内容が内容なだけに、あまり多くの人間を関わらせるわけにはいかない。だからこそ時間がかかっているんだがな。
「陛下、〔煉獄の砦〕のイデオン様がお越しになりました」
「通してくれ」
扉の前には衝立があるので、中で扱っている書類を見てしまうという事も無いようにしている。ノックの後に入ってきたのは、プレーサマ辺境伯閣下からお借りした〔煉獄の砦〕という冒険者たちだ。彼らは冒険者としては引退して、現在はプレーサマ辺境伯領都のギルドで指導員をしている。全員が40歳を超えても生存しているパーティーというのは、ある意味珍しい。
冒険者は若い頃には無茶をしがちで、メンバーが大怪我をして冒険者を辞めることになったり、強敵にトラウマを抱えて辞めたり、金を稼いで酒に溺れて身を崩すなんてことも多いのだ。
彼らは堅実にランクを上げ、常に慎重な行動をしていた事から引退を考えた頃に指導員としてスカウトされたという。戦い方はプレーサマ騎士団との手合わせに呼ばれるほどで、前辺境伯閣下お気に入りとして懐刀のような存在だったという。
今回、ヴィオが誘拐された時、直ぐに前辺境伯閣下が駆けつけたらしい。どんな関係があったのかは聞いていないが、閣下はヴィオの事を気に入っていたらしく、取り調べなどに人手が足りなくなるだろうからと彼らを寄こしてくれたのだ。
「どうだった?」
「はっ、影のトップだったと思われる人物を捕縛しました。色んな所に餌を撒いておいたんですが、侯爵のところに現れたのは、忠実というのかなんというのかって感じですな」
やっと見つかったか。
ガルデニア侯爵の影は王妃付きだった男を捕縛したところから調べていたが、本人たちもどれだけ実働部隊がいるか分からないという組織だった。
全てを取り仕切っている奴を捕まえない限り、全容が見えないが、そちらに手を割くことも出来なかった為、〔煉獄の砦〕の皆に依頼していたのだ。
「そうか、これで調査がさらに進む。ありがとう、助かった」
「コバエは良いんですかい?」
「ええ、彼らはガルデニアに弱みを握られて依頼を受けざるを得ない相手でしかありませんからね。その弱みも我々の知るところとなった今、彼らは脅威ではありませんからね。そのままで結構です」
リオネルが冷たく笑っているが、それもそうだろう。愚かな兄ラフターラ公爵、奴がやらかした事は処刑されて然るべきではあったが、あいつもガルデニアに踊らされていたともいえるからな。ある意味冤罪も吹っ掛けられていた事を思えば、怒りが湧くのだろう。
イデオンはブルリと震える身体を撫でつけて、リーダー格の尋問が必要なら手伝うと言って退室した。
「陛下、来月には出発でございますわよね?」
「ああ、そっちもあるからな。ガルデニアの尋問は春になるか……」
「――ファイルヒェン、ガルデニアの尋問は私に任せてもらえないか?」
ミュゼットから予定を確認されて、この書類調査が出発までに終わるのも難しいかと思い色々調整し直しが必要だと思い直していれば、父から尋問を任せて欲しいと言われた。同時にミュゼットも同席したいと。
「ガルデニアは父上が信頼していた相手ですよね? こう言っては何ですが、家族に甘すぎる判断しかできない父上やリオネルには難しいのではと思っていますが……」
「ああ、そう思われても仕方がないな。
祖父の苛烈な軍事侵攻に政略結婚、王位継承争いによる身内の暗殺それが当り前だった時代があった。
私の父が同じことを繰り返さぬようにと努力をし、今の平穏な王国を創り出してくれたからな。だからこそ私も出来るだけ争いごとは無いように、皆が仲良く平和に過ごせるようにと思っていたが、見えぬ場所でこの様な事が起きていたのだ。
ラフターラの時に甘い判断は誰のためにもならぬと理解したのだ。ガルデニア公爵とて、降格した時点で立ち止まることは出来たであろう。それをせずに行動に出たのだ、三度目はない」
その真剣な表情に、再会した時の甘ったれた面影はない。
これだけの証拠が見つかり、俺の母であり、自分の妻が病弱で会った原因も分かったんだから仕方がないと思う。
俺の母が病弱だったのはラフターラが持ち込んだ蜂蜜が原因とされていたが、それ以前から母の身の回りには毒物が多く仕込まれていた。
それは寝具や、室内着などの衣服、室内で使用されていた香、毎日使っていた化粧品のまで。ほんの少し、それだけですぐに体調を崩すような量ではなく、ただ長く使い続けることで身体に取り込まれ蓄積されるように使用され続けていた。
まさか王城のメイドや侍女にそのような事をする者が潜んでいるなど誰も想像していなかった筈だ。ラフターラの関係者であれば警戒しただろう、それらは実際王妃の他、王太子妃、第二王子妃の周辺にも殆ど居なかった事から分かる。
だが、当時騎士団長を務め、筆頭公爵家であったガルデニア公爵家の関係者にそんな奴がいるなど疑いようもなかったのだろう。それらは確実に息の根を止めたいというのでもなく、効果があれば良い。それくらいのものだったからこそ、提供していた者たちも理解していなかった可能性すらある。
実際にリズモーニから嫁いでいた王妃やミュゼットは地元の布製品が気に入っていたため、それらを取り寄せていたし、香やお茶もリズモーニから取り寄せたものを使っていたが、それが取り換えられるというようなこともなかった。だからこそ気付けなかったのだろう。
そして両親はトルマーレ辺境伯へ、そこにいる俺宛に、年に一度か二度は手紙を送っていたらしい。それらは一度も届いたことはなく、祖父の前辺境伯に確認したがやはり受け取ってはいなかった。
前辺境伯夫人が『陛下からのお言葉を直接頂戴できれば伝えてあげられるから』と言ったこともあるそうだが、前辺境伯としては地方の辺境伯でしかない自分たちの娘が王の側妃となっただけでもありがたいのに、そんな無茶なお願いは失礼だと伝えなかった。そして両親も伏せている息子の事を公の場で聞くことは出来なかった。
12歳まで届いていた筈の手紙はガルデニアの影、テリューたちが持ってきたマジックバッグから見つかった。手紙には、亡き母と父からの俺に宛てた言葉と、前辺境伯夫婦に宛てた言葉が綴られていた。何故これをガルデニアが持っていたのか、何が目的だったのかも尋問で確認するつもりだったが、父がそれを任せて欲しいと言う。
奴の本当の目的も確認すべきだろう。
これを機に王都に蔓延る膿を全て出し切る気で父は気合を入れ直している。
ミュゼットも、自分の息子たちが王位を継承した時に余計な者達が居ないように、腐り切った奴らは全て処分する気でいる。
シュクラーンが卒業するまで五年、卒業後立太子の儀を行い、国内の高等学校に二年通えば卒業と同時に王位継承することになっている。
ヴィオは生きていた。
だが、アイリスが死に、育ての親だったアルク殿までも失い、どれだけ失意の中で生きているのか分からない。今も保護者代りとなるものが側にいるようだが、早く側に行ってやりたい。
今更俺の存在なんていらないと思っているかもしれないが、それでも一目で良いからヴィオの姿をこの目で見たい。
その為にも早く片付けないといけない事が多すぎる。
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