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閑話
〈閑話〉サマニアンズ 10
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~トンガ視点~
ドゥーア先生のお屋敷を出たのが秋の半ば、僕たちはアスランサブマスと一緒にケストネル公爵領地にある豊作ダンジョンに向かった。
「僕たちは行ったことが無い場所だね」
「サブマス、どんなところなんすか?」
「もうギルドは退職しましたからね、サブマスではありません。アスランと呼んでくれていいのですよ」
魔馬はそのまま使っていいと言ってもらえたものの、僕たちには『ウインドダッシュ』という技があるから、辺境伯にお返ししてきたんだよね。僕以外の三人が使えるお陰で、移動速度は非常に早い。
町に立ち寄ることもなく、野営をしながら進んでいる道中。ついついいつもの癖で“サブマス”呼びをしてしまうけど、名前呼びか~。
「アスランさんか~。呼び慣れねえけどそのうち慣れるか」
ルンガ、我が弟よ。お前のその順応力にお兄ちゃんはびっくりだよ。
慣れないと言いながらも、早速名前呼びをしている弟に驚きつつ、僕たちも名前呼びができるようになった頃、目的の上級ダンジョンに到着した。
「もっと大きな町だと思ったけど、意外と小さいな」
「うん、豊作ダンジョンって鉱山系よりも人気があるし、この公爵領って他も栄えてたのに不思議な感じだね」
「だからですよ。公爵領は他に沢山の金脈があります。だから豊作ダンジョンに頼る必要がありません。それにここのダンジョンは上級のBランクです。敵が強すぎますし、10階までは荒野ですから、一般的な豊作ダンジョンのような収穫物は見込めません」
「マジっすか」
今までに行った人気のダンジョンは、ダンジョンに出入りする人の量で町も栄えていた。その違いに驚いていたら、サブマ…じゃなくて、アスランさんが理由を教えてくれた。
「1階からそれなりの相手が出てきますから一般人も入れませんしね。多くの豊作ダンジョンの町が大きいのは、食堂関係の人が入ることができるからと言うのも大きいでしょう。ここは冒険者が採集してくるしかありませんからね。一般人が住むには山の近くは危険ですし、この公爵領はそれ以外に住みやすい場所が多いですから、無理に住む必要もないという事です」
アスランさんが詳しいのは、学生時代に来たことがあるからだという。豊作ダンジョンのわりに人が少なくて、荒野だし、それなりの敵が出てくるから魔法の練習に丁度良かったみたい。うん、無双している姿が容易に想像できるよね。
そんな訳で、ギルドで詳細を調べて潜ったダンジョン。30階層からなるダンジョンは、なかなか大変だった。
10階まではだだっ広い荒野が広がっていて、敵から姿を隠す場所がほとんど無かった。
まあ、僕たちは基本的に隠れずに突撃していくメンバーだから、いつも通りともいえるんだけどね。
ゴーレムにリザードと硬い相手が多くて、これが低層階から出るから上級のBランクになっているのがよく分かったよね。
「なるほど、【ウォータージェット】に【サンドカッター】は便利なものですね。裏の森ではそこまで使わずとも倒せる柔らかいのが多かったですからね。ここは練習に丁度いい」
笑いながら硬い相手を練習台にしていくアスランさんを見ていたら、ヴィオに惹かれている理由がよく分かったよね。幼女趣味なのかと疑ってた気持ちがほんの少しだけあったけど、やっと解消されたとクルトも言ってたから、僕だけじゃなくて良かったと思ったのは内緒だ。
11階からは森と高原になり、豊作ダンジョンらしくなった。
勿論10階までの荒野でも、それなりに採集することはできたけど、小麦やパテト、ジンセンなんかの一般的な素材が多くて、ヴィオが好みそうな新しい素材は見つからなかった。
だけど、11階からはフワフワの毛を落とす羊みたいな魔獣が出て来たし、手紙に書いてあったハズレ袋も見つかった。
「うわっ、この緑のハズレすっごい美味しい!」
「腐ってるかと思ったけど、すげえな」
「ヴィオのレシピ通りに作っただけだけど、この手軽さでこれは……、美味いな」
「野営でも器用だと思っていましたが、クルトだけでなく、トンガたちも料理が作れるのですね。これもアルクとヴィオさんの影響ですか?」
「この調理台とか、風呂は完全にヴィオの影響ですよ。父さんも最初は普通の火台を作ってたって言ってましたし」
クルトに比べれば、僕たちが作れる種類はたかが知れている。ヴィオは新しい素材を見つけては、新しい調理方法を思いつくんだから、本当に凄いと思う。
中層階では結構美味い肉が手に入ったし、新しいハズレ袋も見つかった。ここはヴィオも喜ぶだろうと皆も同じことを考えていた。
最後の深層階、21階からはアスランさんも入った事がない場所だった。森だけど、森よりも鬱蒼としているというか、ムシムシしていて、雨が時々降った。
「そういえば、天候が変わるダンジョンにも行ってみたいって言ってたよな」
「そうだね、昼夜があるダンジョンも楽しんでたし、より自然な環境っぽいのが楽しいんだろうね」
「けどよ、ここは流石に嫌がるんじゃね?」
ルンガが飛んできたレイントードを嫌そうに切って捨てながらそんなことを言う。
「まあな、ちょっと見た目が気持ち悪いのが多いしな。あと集団がうぜえ【エアバレット】」
クルトが木の上から木の実を投げてくるウッドモンキーに魔法を命中させながらそんなことを言う。
「だけど、ヴィオさんはグスコ周辺のフォレストモンキーの親分になったらしいですし、意外とここも楽しむのではないですか? ほら、あの水辺の大鼠なんて可愛いとすら言いそうではないですか?」
アスランさんはその大鼠、カッフィーラを完全無詠唱の【エアカッター】で倒しながらそんなことを言う。
まあ、僕たちがこのダンジョンに来たのも、ヴィオが好みそうな食材や素材を探しに来たから、ヴィオが苦手かどうかは大事だよね。
「でもさ、ガバ、モンギュ、アバカシ、バニャーニャって新しい果物も見つかったじゃん? これは絶対に来たいって言うと思うんだよね」
「いや、アバカシは魔草だっただろうが」
「けど、美味かったよな」
クルトのツッコミは健在だね。前に三人でいた時はそうでもなかったのに、ヴィオと一緒にいるようになってから、すっかりツッコミ担当になっちゃったよね。
「ええ、全体を考えれば、10階層ごとに違う環境、珍しい魔獣、美味しい肉、新しい果物、これは楽しんでもらえると思いますよ」
確かにそうかもしれないね。ウッドラースも平気だったヴィオだもの。きっとトードも平気だろうね。
ただ踏破するのが目的ではなく、新しい素材を探し、資料になかった魔獣や魔木などの情報は、ヴィオへの手紙に書くついでに情報提供料をもらう為にしっかりメモをして歩いた。
お陰で三か月弱という、かなりの長期間を要したんだけど、水生成魔法と調理技術があり、更に風呂に入りながら快適に過ごせた僕たちは、非常に健康的にダンジョンを踏破することができたんだよね。
ダンジョン踏破を終えた僕たちを待っていたのは、ドゥーア先生宅に届いたヴィオからの手紙で、今回はちゃんと送り先の情報も書いてあったんだ。
うっかり忘れていたって書いてあって、やっぱりねって笑ったのはしょうがないよね。
手紙は年末に届いていたらしくって、ヘイジョーにもその情報はドゥーア先生が連絡していたみたい。皇国からの帰りにヘイジョーに立ち寄るって言ってたから、フィルさんもこの情報は得ているという事だろう。フィルさんも手紙を書いたのかな?
あの二人が再会できるのは、こないだの王子様が卒業してからになるだろうから、あと五年は先って事か。会いたいだろうな、僕たちですらこんなに会いたいと思っているんだもの。
ドゥーア先生も手紙の返信は僕たちが戻るのを待っていてくれたみたいだ。
新しいダンジョンで見つけた魔獣、どうやらヴィオが探してほしいと言っていた魔獣と同じだと思う事も分かった。ただ、攻撃される前に倒してしまっていたから、美味しい素材を落とすかどうかは分からない。だけど、試食用として入っていた甘味はとても美味しくて、ドゥーア先生たちも皆が食べないようにマジックバッグに入れて保管してくれていたというのもよく分かった。
なので、もう一度エッケピに行くことを決めたんだ。前回は逃げるのを追いかけることまではしなかったけど、毛も最高の糸になるって書いてあるし、エミリンさんが欲しいって言ってるしね。
新しい果物はクルトが詳細を絵で描いてくれてるし、魔獣もそこまで詳細に気持ち悪さまで再現しなくてもってくらいに描いてるから、この時点で無理なら別のダンジョンを探せばいいよね。
アレコレ書いてたら、結局また小包くらいの量になっちゃったけど、次に連絡がいつ来るか分からないしね。
ドラゴンと勇者に鍛えてもらっているんだもの、僕たちも負けてられないからね。
ヴィオが帰ってきた時に「お兄ちゃんたち格好良い」って言ってもらえるように頑張らないとね。
ドゥーア先生のお屋敷を出たのが秋の半ば、僕たちはアスランサブマスと一緒にケストネル公爵領地にある豊作ダンジョンに向かった。
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町に立ち寄ることもなく、野営をしながら進んでいる道中。ついついいつもの癖で“サブマス”呼びをしてしまうけど、名前呼びか~。
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ルンガ、我が弟よ。お前のその順応力にお兄ちゃんはびっくりだよ。
慣れないと言いながらも、早速名前呼びをしている弟に驚きつつ、僕たちも名前呼びができるようになった頃、目的の上級ダンジョンに到着した。
「もっと大きな町だと思ったけど、意外と小さいな」
「うん、豊作ダンジョンって鉱山系よりも人気があるし、この公爵領って他も栄えてたのに不思議な感じだね」
「だからですよ。公爵領は他に沢山の金脈があります。だから豊作ダンジョンに頼る必要がありません。それにここのダンジョンは上級のBランクです。敵が強すぎますし、10階までは荒野ですから、一般的な豊作ダンジョンのような収穫物は見込めません」
「マジっすか」
今までに行った人気のダンジョンは、ダンジョンに出入りする人の量で町も栄えていた。その違いに驚いていたら、サブマ…じゃなくて、アスランさんが理由を教えてくれた。
「1階からそれなりの相手が出てきますから一般人も入れませんしね。多くの豊作ダンジョンの町が大きいのは、食堂関係の人が入ることができるからと言うのも大きいでしょう。ここは冒険者が採集してくるしかありませんからね。一般人が住むには山の近くは危険ですし、この公爵領はそれ以外に住みやすい場所が多いですから、無理に住む必要もないという事です」
アスランさんが詳しいのは、学生時代に来たことがあるからだという。豊作ダンジョンのわりに人が少なくて、荒野だし、それなりの敵が出てくるから魔法の練習に丁度良かったみたい。うん、無双している姿が容易に想像できるよね。
そんな訳で、ギルドで詳細を調べて潜ったダンジョン。30階層からなるダンジョンは、なかなか大変だった。
10階まではだだっ広い荒野が広がっていて、敵から姿を隠す場所がほとんど無かった。
まあ、僕たちは基本的に隠れずに突撃していくメンバーだから、いつも通りともいえるんだけどね。
ゴーレムにリザードと硬い相手が多くて、これが低層階から出るから上級のBランクになっているのがよく分かったよね。
「なるほど、【ウォータージェット】に【サンドカッター】は便利なものですね。裏の森ではそこまで使わずとも倒せる柔らかいのが多かったですからね。ここは練習に丁度いい」
笑いながら硬い相手を練習台にしていくアスランさんを見ていたら、ヴィオに惹かれている理由がよく分かったよね。幼女趣味なのかと疑ってた気持ちがほんの少しだけあったけど、やっと解消されたとクルトも言ってたから、僕だけじゃなくて良かったと思ったのは内緒だ。
11階からは森と高原になり、豊作ダンジョンらしくなった。
勿論10階までの荒野でも、それなりに採集することはできたけど、小麦やパテト、ジンセンなんかの一般的な素材が多くて、ヴィオが好みそうな新しい素材は見つからなかった。
だけど、11階からはフワフワの毛を落とす羊みたいな魔獣が出て来たし、手紙に書いてあったハズレ袋も見つかった。
「うわっ、この緑のハズレすっごい美味しい!」
「腐ってるかと思ったけど、すげえな」
「ヴィオのレシピ通りに作っただけだけど、この手軽さでこれは……、美味いな」
「野営でも器用だと思っていましたが、クルトだけでなく、トンガたちも料理が作れるのですね。これもアルクとヴィオさんの影響ですか?」
「この調理台とか、風呂は完全にヴィオの影響ですよ。父さんも最初は普通の火台を作ってたって言ってましたし」
クルトに比べれば、僕たちが作れる種類はたかが知れている。ヴィオは新しい素材を見つけては、新しい調理方法を思いつくんだから、本当に凄いと思う。
中層階では結構美味い肉が手に入ったし、新しいハズレ袋も見つかった。ここはヴィオも喜ぶだろうと皆も同じことを考えていた。
最後の深層階、21階からはアスランさんも入った事がない場所だった。森だけど、森よりも鬱蒼としているというか、ムシムシしていて、雨が時々降った。
「そういえば、天候が変わるダンジョンにも行ってみたいって言ってたよな」
「そうだね、昼夜があるダンジョンも楽しんでたし、より自然な環境っぽいのが楽しいんだろうね」
「けどよ、ここは流石に嫌がるんじゃね?」
ルンガが飛んできたレイントードを嫌そうに切って捨てながらそんなことを言う。
「まあな、ちょっと見た目が気持ち悪いのが多いしな。あと集団がうぜえ【エアバレット】」
クルトが木の上から木の実を投げてくるウッドモンキーに魔法を命中させながらそんなことを言う。
「だけど、ヴィオさんはグスコ周辺のフォレストモンキーの親分になったらしいですし、意外とここも楽しむのではないですか? ほら、あの水辺の大鼠なんて可愛いとすら言いそうではないですか?」
アスランさんはその大鼠、カッフィーラを完全無詠唱の【エアカッター】で倒しながらそんなことを言う。
まあ、僕たちがこのダンジョンに来たのも、ヴィオが好みそうな食材や素材を探しに来たから、ヴィオが苦手かどうかは大事だよね。
「でもさ、ガバ、モンギュ、アバカシ、バニャーニャって新しい果物も見つかったじゃん? これは絶対に来たいって言うと思うんだよね」
「いや、アバカシは魔草だっただろうが」
「けど、美味かったよな」
クルトのツッコミは健在だね。前に三人でいた時はそうでもなかったのに、ヴィオと一緒にいるようになってから、すっかりツッコミ担当になっちゃったよね。
「ええ、全体を考えれば、10階層ごとに違う環境、珍しい魔獣、美味しい肉、新しい果物、これは楽しんでもらえると思いますよ」
確かにそうかもしれないね。ウッドラースも平気だったヴィオだもの。きっとトードも平気だろうね。
ただ踏破するのが目的ではなく、新しい素材を探し、資料になかった魔獣や魔木などの情報は、ヴィオへの手紙に書くついでに情報提供料をもらう為にしっかりメモをして歩いた。
お陰で三か月弱という、かなりの長期間を要したんだけど、水生成魔法と調理技術があり、更に風呂に入りながら快適に過ごせた僕たちは、非常に健康的にダンジョンを踏破することができたんだよね。
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うっかり忘れていたって書いてあって、やっぱりねって笑ったのはしょうがないよね。
手紙は年末に届いていたらしくって、ヘイジョーにもその情報はドゥーア先生が連絡していたみたい。皇国からの帰りにヘイジョーに立ち寄るって言ってたから、フィルさんもこの情報は得ているという事だろう。フィルさんも手紙を書いたのかな?
あの二人が再会できるのは、こないだの王子様が卒業してからになるだろうから、あと五年は先って事か。会いたいだろうな、僕たちですらこんなに会いたいと思っているんだもの。
ドゥーア先生も手紙の返信は僕たちが戻るのを待っていてくれたみたいだ。
新しいダンジョンで見つけた魔獣、どうやらヴィオが探してほしいと言っていた魔獣と同じだと思う事も分かった。ただ、攻撃される前に倒してしまっていたから、美味しい素材を落とすかどうかは分からない。だけど、試食用として入っていた甘味はとても美味しくて、ドゥーア先生たちも皆が食べないようにマジックバッグに入れて保管してくれていたというのもよく分かった。
なので、もう一度エッケピに行くことを決めたんだ。前回は逃げるのを追いかけることまではしなかったけど、毛も最高の糸になるって書いてあるし、エミリンさんが欲しいって言ってるしね。
新しい果物はクルトが詳細を絵で描いてくれてるし、魔獣もそこまで詳細に気持ち悪さまで再現しなくてもってくらいに描いてるから、この時点で無理なら別のダンジョンを探せばいいよね。
アレコレ書いてたら、結局また小包くらいの量になっちゃったけど、次に連絡がいつ来るか分からないしね。
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