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エフタの谷
第502話 お料理教室とダンジョンの報告
しおりを挟むチアキさん達を見送った後は、お料理大好きな人たちと一緒に料理教室をやってます。
カボスはモフッコから手に入れるしかなく、竜人族の人達が近寄れば逃げる一択になるので、タニアさんがエルフの里から仕入れをしている。
売るほど大量にある訳ではないけれど、それなりの量はあるし、甘いものが大好きという訳でもないのでチョコレートは足りなくても大丈夫そうだ。
それでも好きな人もいるので、シンプルなチョコ、ナッツなどを入れたチョコなどを教えた。
チョコよりも人気だったのは生クリームで、ロールケーキはちょっと危険な感じになった。
「果物は好きだからね。ロールケーキは生クリームもたっぷり食べられるし、フルーツも詰め放題でしょう? 私も大好きよ」
詰め放題とは……。
丸いケーキは色々準備が必要だからとロールケーキを作ったのが始まりだけど、そういえばチアキさんも隙間なく果物を敷き詰めていたよね。
クリームを食べたいのか、果物を食べたいのか、ケーキを食べたいのか。
「あれよ、勝手巻きと同じ。あれもお米と魚と一緒に食べるでしょう? あれもすっごく楽しかったし、美味しかったわ。流石に海苔が見つからないから勝手巻きは披露してないんだけどね」
タニアさんの言葉にしばらく考える。
もしかしてそれは、海苔がスポンジケーキの部分で、生クリームが酢飯で、果物が海鮮という事でしょうか。
確かに重ねて丸めて食べるというのは同じかもしれないけれど、それを同じだと思ったことは無いですよ。
食事は魔素量があってナンボの人達だからこそ、チマチマ料理をするのはエンタメ性を求めるのだろうか。だとしたらそれこそチマチマした和食の飾り切りとかを教えるよりは、闇鍋とかを教えた方が楽しかったりする?
お料理教室で教える内容を考え直した方が良いかと思ったけれど、とりあえず今のままでいいと言われたのでいいかな。
ヘッジホッグから手に入れた生姜とワサビ、ガリは数名が非常に気に入って、大きな瓶で大量に作っていたよ。
今までは新しい種類の酒を作ろうと思っていなかったけど、こないだの米、葡萄、麦を見ていて興味が湧いたらしい。
「この生姜などでも作ってみたらどうだろう」
「面白そうだわ、やってみましょう」
生姜はジンジャエールっぽいのが出来そうだと期待するけど、ワサビとハバネロのお酒って罰ゲームにしかならない気がするんですけど大丈夫?
ハバネロは私が持っていなかったので、竜人族の人がエルフの里までひとっ飛びしてもらいに行ってましたよ。どんだけヤル気満々なんだろうか。
一日目と二日目は日帰りで戻ってきたチアキさん達。
「出来たばかりだからか10階までの浅いダンジョンのようだ。5階からフィールド変化があったぞ」
「浅いところは蟹とか貝類だったね。遠浅の海だから魚は流石に出てこなかったよ。あ、海苔はあったからお土産ね」
「おぉ! 海苔があったんですね。これでいつでも海苔の仕入れは出来そうですね。ありがとうございます」
たった二日で5階まで進んでいるのは凄いというのか、この人達なら当然というのかって感じですね。
それにしても海苔が確実に手に入るダンジョンが見つかったというのは朗報ではないですか?
タニアさんも嬉しそうだね。勝手巻きが教えられなかったのは海苔がないからって言ってたもんね。
甲殻類は出てきてくれたようで、海老と蟹がお土産で大量でした。
酒樽のお姉さんは蟹の足をそのまま齧り、硬いし美味しくないと捨て置いたらしいので、蟹の美味しい食べ方を教えておきました。
蟹足グラタンを非常に気に入ってくれたんだけど、多分お姉さんはベル君と味の好みは似ているかもですね。
ハバネロ酒を楽しみにしている面々はエビチリを気に入ってくれていたので、こちらは翼人族の皆さんと仲良くなれるのではないでしょうかね。
「明日からは5階以降に下りるから、泊りで行こうと思う。大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。明日はお兄さん達と一緒に海釣りに行く予定なんです。お外だったら精霊ちゃん達も一緒に行けるので楽しんできますね」
「海釣りって、海の魔魚相手に大丈夫……だね。うん、気を付けてね」
海苔が手に入ったら海鮮丼が食べたいよねって話になったのですよ。普段のドラさん達は海の魔魚を食べたいときは、海の上を低空飛行し、影に釣られて攻撃しに飛び出してきた魔魚をガバっと掴んで持ち去るという豪快なモノらしい。
あれです、鷹とか鷲とかが魚を獲る時の感じです。
流石にそれは出来ないけれど、タニアさんがスワンプの森での釣りを覚えていたので、それをやればいいんじゃないと言ってくれたのだ。
なので、海のど真ん中でやる豪快な釣りではなく、砂浜から釣り糸を投げる釣りをやるのです。
「そうか、それは楽しそうだな。だが砂浜も多少敵は潜んでいるからな、気を付けるんだぞ」
「はぁい。美味しい魚が釣れるように頑張りますね。チアキさん達もお泊りダンジョン気を付けて行って来て下さいね」
お互いにそれなりに危険な場所な筈だけど、竜人族という最強が側にいるからか心配はしていない。
いや、竜人族がいなくても勇者と賢者の組み合わせで危険はないだろうけどね。
危険があるとしたら私の方だけど、まあこっちはそれこそ竜人族が数名ついて来てくれるというし安全確保はばっちりです。
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