ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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家族と合流

第157話 お兄ちゃんたちと魔法の練習 後半

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皆は 地べたにそのまま座っているけれど、私だけは お父さんが敷いてくれた シートの上に座ってます。もっと大きなシート持ってくれば良かったね。
お兄ちゃんたちが【索敵】の練習をしている間に 火起こしはしてたからね、沸かしたお茶を皆に配って ティータイム休憩です。

「ああ、ボス部屋は扉の魔力が凄いからか 中の様子はわからんが、その他の個室に関しては中に魔獣が詰まっとるパニックルームか、 少ない普通の部屋かも 分かったな。
儂らが入ったのが初級ダンジョンじゃし、狭い洞窟じゃったからというのもあるが 階の入り口で【索敵】を展開して マッピングしてから行動するっちゅうことができたから 道に迷うこともなかったな」

「それは パニックルームの危険性がかなり減るって事じゃない? 疲れてセフティエリア確保の為に開けた部屋がパニックルームだったら最悪だもん」

お父さんの言葉に反応したのは トンガお兄ちゃん、そんな体験があるって事かな? 凶悪な相手がいるダンジョンでそれは かなり危険だよね。

「ああ、そのパニックルーム対策も、ヴィオが安全な方法を思いついたんじゃ。
これは 他の冒険者に言うつもりもないが、お前らは覚えておってもええと思うぞ」

「パニックルームの安全対策???」

ギルマスたちにも説明したけど、索敵魔法と同じで 知人に教える分には良いけど ギルドで共有するつもりはないって言われたんだよね。
ギルド共有になると、善悪関係なくギルドに関わる人が誰でも知ることができる。それは 悪用する人にも知られるという訳で、その対策を考えられる可能性もあるという訳だ。

「こないだの森で ヴィオが水の盾を張ったじゃろう?あれと同じじゃ。
パニックルームの入り口全部を ひっくり返した壁ごと覆った状態で扉を開ける。
扉が開けば魔獣が飛び出してくるが 盾があるから出てこれん。勿論術者より 強い魔獣じゃと破られる可能性はあるがな。
盾が透明じゃと中も見える。実験したら 本人が張った盾じゃと 本人の魔法は貫通することが分かったからな、かなり安全に討伐できたぞ」

巨大ダンゴ虫の足が気持ち悪すぎて ファイアバレット打ち込み過ぎて 魔力切れを起こした記憶。二度と同じミスはしませんよ。今は鞭に魔力を通して攻撃しております。
ゴブリンくらいだと ひっくり返した壁にぶち当たって 瀕死になってたし、後ろから押し出される圧と、壁自体の攻撃で かなりの攻撃力になってると思うんだよね。

「それがちゃんと使えるようになったら、地図が無いダンジョンでもかなり楽になるね。
俺たちは三人、1階毎にマッピングを交代すれば 然程消費は考えなくて良さそうだ。
水生成も 毎回じゃなくてもいい、今まで通りある程度は持ち込みして 半分以下に減った夜に 追加しておけばいい」

「そうだな、パニックルームの壁だったら 俺か クルトの風の壁の方が良いんじゃねえか?土だと見えねえし。ヴィオ、その壁は他の奴の武器での攻撃も通るのか?」

ん? 魔法での実験はしたけど、武器はしてないね。鞭も通す部分は魔法武器だし。

「やってみる?」

って事でやってみることにしたよ。とはいえ ココは初心者の森。
私以上の強者しかいないからホーンラビットは隠れて誰も出て来やしない。という事で 丸太を使った実験です。生き物である必要もないしね。

「風の盾の方がいいよね?【ウインドウォール】」

丸太を包み込むように風の盾が出来る。風の旋毛は 内側に向けているので 風が当たる丸太の端っこがガリガリ削れてる。もう少し広くしたらよかったかな?
でも短剣だから、これくらいの距離じゃないとね。

腰から短剣を取り出し 壁の中にある丸太にサクっと突き刺す。
特に壁に遮られることなく 短剣は丸太に刺さった。

「通るみたい」

「よし、じゃあ 僕たちの武器が通るかも試してみよう」

魔法は弾かれたけど、武器は通るのかな?こっちはある意味内側だから いけるかな?
トンガお兄ちゃんが振りかぶった剣は 風の盾をすり抜けて 丸太を真っ二つに割った。通ったね。

「一応 私の普通の盾で お兄ちゃんの剣が防げるかも見てみよう」

お兄ちゃんが強すぎたせいで通っただけかもしれないし、普通の盾ではちゃんと防げるのかを実験してみよう。という事で、真っ二つになった丸太の片割れを取り出し、風の旋毛が外側になるように、通常の向きで 壁を作ってみた。

「じゃあ お願いします」

一つ頷いた トンガお兄ちゃんが さっきと同じように剣を振りかぶり 丸太に打ち下ろす。
ガキーン‼

「わわっ!」

お兄ちゃんの剣は 盾に遮られ 風圧でバランスを崩すくらい 弾かれた。

「風の盾としては大丈夫そうだね。って事は、内側からの攻撃は 味方だと通して大丈夫な攻撃だと判断されるって感じなのかな」

「そうかもしれませんね、これも面白い発見ですよ。
そもそも盾をひっくり返して使おうと思うことがありませんしね。やはりヴィオさんの旅にはついて行かねば……」

「はいはい、タキが昇進できたらな。まだまだ先だ」

「え?父さんどういうこと?」

「サブマスはヴィオの考える魔法が面白いらしくてな、柔軟な考え方で生み出される魔法を一緒に見てみたいと 旅について来たいと言うておるんじゃ。
まだサブマスの仕事をできる者がおらんから我慢しとるが、タキが仕事を覚えたら 本気で一緒にくるかもしれんな」

パニックルームの安全対策も練習できたし、盾の向きさえ間違えなければ 仲間が安全範囲から攻撃できることも分かった。
だったら 索敵をする人、パニックルームの壁を作る人、水生成魔法を使う人、其々 同日に必要になったとしても三人で分担することができるね。

休憩を挟んだ後、三人は盾をひっくり返して作る、攻撃をする。というのを順番にやってたよ。
その間に サブマスと ギルマスから フリーズドライ魔法について確認され、これも戦争の備蓄に使われるようになる危険性があるからという理由で、【索敵】と同じ扱いにされることになったよ。
うん、私もその危険性を考えたから そうしてもらえて安心しました。
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