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グーダン大山ダンジョン
第190話 グーダン大山ダンジョン その1
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人気ダンジョンの為 人が多いとは聞いていた。
だからこそ 入場者が最も多いと言われる 早朝を避けて かなりゆっくりな時間に来たのだから。
それでも それなりの人数が 受付に並んでいたのはびっくりだ。
「夜の食事処の人なんかは この時間から採集に来て 仕込みをするんじゃないかな」
そう言われて見てみれば、多くの人が 背負籠を持って 首から下げた木札のようなものを受付の人に見せている。そうじゃない人も ギルドタグは見せているので あれが受付なんだろう。
「次の人」
「2パーティーの合同で 入ります。ダンジョン泊の予定工程は来月の水の週の終わりまでです」
既に工程表は 書いてきているので それを提出しながら受付に出せば さらっと読んだ後 私と目が合って もう一度工程表に目を通した。
「えっと、サマニアンズは」
お兄ちゃんたち三人が手をあげる。
「では ヨザルの絆が……?」
「はいっ!」
手をあげて アピールしてみたけど 「はぁ?」って顔してる。
何か言われる前に ギルドタグと タグの隣の許可証を見せてみた。
「マジかよ……」
ボソリと呟いたのは 聞かせるつもりではなかったんだろうけど 聞こえてるからね。
お兄ちゃんが 例の丸められた用紙を出せば 受付さんもそれを受け取り 封蝋を割って中を読む。
眉毛がピクってなってるけど 読み終わったところで 納得したらしい。
「2パーティー合同でのダンジョン入場を認めます。工程表にある通り 最終日を過ぎても5日戻らない場合は捜索隊が入ります。
70ナイルの捜索費用が掛かりますのでご注意ください」
いつも通りの注意事項を伝えられ 受付は終了した。あの用紙は戻ってこなかったけど 何が書かれてたんだろうね。水戸のご老公様の印籠みたいな役割を果たしてくれたっぽいね。
多少時間はかかったものの 想定内という事で 早速ダンジョンに入場した。
入ったところで 振り返って見る。
「お父さん やっぱり入口は 違ったみたい」
「ん?おぉ 確かに。この角度じゃったら 受付も 準備しとったのも見える筈じゃからな」
お父さんと二人でキャッキャしてたら お兄ちゃんたちがどういうことかと聞いてきたので教えてあげた。
「ダンジョンって 外から見たら真っ暗で中が見えないでしょう? でも、中にいる時は 出口だって分かるようにお外が見えるじゃない?
今までは人がいないダンジョンばっかりで調べれなかったけど、見てみて、ここからだったら ダンジョンの受付の建物も、入口にいた筈の他の冒険者も 見えないとおかしいのに 見えないでしょう?
だから 見えている外っぽいのも 実は真っ黒と同じで 外に見せかけたナニかだったんだなって」
ここから見えるのは 明るい空と樹々が生えている姿だけだ。今までのダンジョンは 違和感がなかったけど ここは すぐそばにあるはずの受付の建物が見えないとおかしいのに ないから 作られた映像だということが分かる。
「確かに……。ヴィオ そんな事調べてたのか?何の為に?」
「ん?意味はないよ。なんでかな~って思ってただけ。
ダンジョンって不思議がいっぱいでしょう? そういうのをメモしておけば ダンジョンの不思議を調べている人に教えてもらえるかもしれないし、他のダンジョンとの違いも分かるかもしれないから 色んな所を見てメモしてるの」
「あぁ、休憩の時にノートに何か書いてたのって それ?」
「うん、あっ、でも 魔獣の事とかも 資料に書いてなかった事とかが分かったら追記してるから それだけじゃないけどね」
取るに足らないような “ナンデ?” は、メモしてないとすぐに忘れる内容でもあるからね。冒険者歴が長い人ほど『まあ それがダンジョンだから』 という言葉で流すらしいけど、それだけじゃつまらないからね。全てを解明するのは出来なくても 想像するだけでも楽しいのだ。
「ほれ、いつまでもそこにおったら 入ってくる人の邪魔になる、行くぞ」
「はぁ~い」
お父さんに促されて お兄ちゃんたちも歩き始める。
入ったところから 今までとは全く違うダンジョンだという事が分かる。
正に高原なのだ。
外に繋がる入口も 高原の途中に 土で出来た階段のようなものが数段だけあり、その上にポッカリと 穴が開いているような感じなだけ。
その後ろにも高原は続いている。くるりと振り返って見れば こちらも広大な高原で だだっ広い大地が続いている。
所々に モッサリした草むらがあり そこでは 鍬を持った人たちが 採集をしているようだ。
洞窟にポツンといるから目立っていたスライムも、広大な高原で あちこちに草むらがあるこの場所では パッと見 どこにいるのか分からない。
そして 採集している人たちの後ろには 小さな……じゃなくって 普通のホーンラビットが忍び寄っている。
「あの人たち大丈夫かな」
「あのサイズのホーンラビットなら ちょっとくらい突かれても かすり傷くらいだろ。薬草貼っときゃ治る」
クルトさん、それは 獣人冒険者だからこそではないでしょうか。
まあ あのサイズなら サマニア村に居るホーンラビット程の殺傷能力はないかな。
あまりに無警戒で採集している人たちに こちらがヒヤヒヤしてしまう。
索敵は既に展開している。高原エリアなので 地面から数センチだけの非常に低い範囲で広範囲に索敵をしているから セフティーゾーンも確認済みだ。
入口の後方に見えていた高原は カーテンの向こう側だったので “果て” だという事も分かった。あの果ての先が 2階層に続く場所の向こうにある果てなら 帰りは早そうだけど 違ったらどこに行くか分からないし 試すつもりはない。
「わ~!待て待て」
「お前そっちから回りこめ、俺はこっちで止めるから」
騒がしい声の方を見れば 少年二人が 棒を持って 走り回っている。よく見れば 足元にはホーンラビット。どうやらあれを追いかけているらしい。
「ホーンラビットのドロップアイテムって角だよね? わざわざ角を獲るのに追いかけてるの???」
「ああ、豊作ダンジョンは その名の通り 他のダンジョンのドロップアイテムと違うものが多いんだよね。例えばアレ、ホーンラビットは角を落とすこともあるけど 肉を落とすことの方が多い。
スネーク系もそうだね。牙や皮を落とすこともあるけど 肉の方が多い。魔石が時々なのは同じくらいの確立かな」
マジっすか。流石豊作だね。
じゃあ お肉の準備そこまで頑張らなくて良かったんじゃない? お父さんは その事を忘れていたらしく そういえばそうじゃったな、と呟いてた。
まあ、皆よく食べるから 作ってきた分は なくなるだろうけど、お肉がなくなる心配をしなくて済むのは非常に助かるね。
棒を振り回して追いかけていた少年たちは するりと足元をすり抜けられ、地団駄を踏んでいる。
サマニア村の子供達なら 余裕で捕まえられそうなチビ兎なのに あんなに苦労するなんて 彼らは獣人ではないのだろう。
「あ~、確かにあの子供は ヒト族っぽいけど、普通の町だったら獣人の子供でも大差ねえぞ。あの村が異常なんだって覚えとく方がいいぞ。
だいたい兄弟が居ても7歳以下で学び舎に行く奴らなんていねーしな」
「ハチと レンがあんなに魔法が使えるとかビックリしたからなぁ」
あぁ、午後の訓練場には 二人も時々参加してたもんね。そういえばあの二人も5歳から通ってるし、魔術の練習で魔力操作をメインで練習してたお陰で 土魔法と風魔法は凄く上手に扱う。
来年の洗礼式が待ちきれないって言ってたけど、これはウカウカしてたら 本当に 冒険者登録して直ぐに追いつかれてしまうかもしれないね。
そんな事を話しながら 1階エリアを歩いていれば 今夜の休憩地点となるセフティーゾーンに到着した。2階に下りる階段に一番近いセフティーゾーン。
1階で作業する人たちや 2階までしか行かない人たちは 大抵 日帰りで作業する人たちで、2階に行く人たちは 早朝から潜って この時間には 1階に戻ってきていないと 日帰りが厳しい。
もっと下まで行く人たちは 1階、2階は あまり採集が出来ないから 速足で通り過ぎることが多く 結果 1階のセフティーゾーンはガラガラである。
今夜は 他の冒険者を気にすることなく野営をすることが出来そうだ。
※ グーダン大山《たいざん》ダンジョンは その16 まで続きます ※
だからこそ 入場者が最も多いと言われる 早朝を避けて かなりゆっくりな時間に来たのだから。
それでも それなりの人数が 受付に並んでいたのはびっくりだ。
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「えっと、サマニアンズは」
お兄ちゃんたち三人が手をあげる。
「では ヨザルの絆が……?」
「はいっ!」
手をあげて アピールしてみたけど 「はぁ?」って顔してる。
何か言われる前に ギルドタグと タグの隣の許可証を見せてみた。
「マジかよ……」
ボソリと呟いたのは 聞かせるつもりではなかったんだろうけど 聞こえてるからね。
お兄ちゃんが 例の丸められた用紙を出せば 受付さんもそれを受け取り 封蝋を割って中を読む。
眉毛がピクってなってるけど 読み終わったところで 納得したらしい。
「2パーティー合同でのダンジョン入場を認めます。工程表にある通り 最終日を過ぎても5日戻らない場合は捜索隊が入ります。
70ナイルの捜索費用が掛かりますのでご注意ください」
いつも通りの注意事項を伝えられ 受付は終了した。あの用紙は戻ってこなかったけど 何が書かれてたんだろうね。水戸のご老公様の印籠みたいな役割を果たしてくれたっぽいね。
多少時間はかかったものの 想定内という事で 早速ダンジョンに入場した。
入ったところで 振り返って見る。
「お父さん やっぱり入口は 違ったみたい」
「ん?おぉ 確かに。この角度じゃったら 受付も 準備しとったのも見える筈じゃからな」
お父さんと二人でキャッキャしてたら お兄ちゃんたちがどういうことかと聞いてきたので教えてあげた。
「ダンジョンって 外から見たら真っ暗で中が見えないでしょう? でも、中にいる時は 出口だって分かるようにお外が見えるじゃない?
今までは人がいないダンジョンばっかりで調べれなかったけど、見てみて、ここからだったら ダンジョンの受付の建物も、入口にいた筈の他の冒険者も 見えないとおかしいのに 見えないでしょう?
だから 見えている外っぽいのも 実は真っ黒と同じで 外に見せかけたナニかだったんだなって」
ここから見えるのは 明るい空と樹々が生えている姿だけだ。今までのダンジョンは 違和感がなかったけど ここは すぐそばにあるはずの受付の建物が見えないとおかしいのに ないから 作られた映像だということが分かる。
「確かに……。ヴィオ そんな事調べてたのか?何の為に?」
「ん?意味はないよ。なんでかな~って思ってただけ。
ダンジョンって不思議がいっぱいでしょう? そういうのをメモしておけば ダンジョンの不思議を調べている人に教えてもらえるかもしれないし、他のダンジョンとの違いも分かるかもしれないから 色んな所を見てメモしてるの」
「あぁ、休憩の時にノートに何か書いてたのって それ?」
「うん、あっ、でも 魔獣の事とかも 資料に書いてなかった事とかが分かったら追記してるから それだけじゃないけどね」
取るに足らないような “ナンデ?” は、メモしてないとすぐに忘れる内容でもあるからね。冒険者歴が長い人ほど『まあ それがダンジョンだから』 という言葉で流すらしいけど、それだけじゃつまらないからね。全てを解明するのは出来なくても 想像するだけでも楽しいのだ。
「ほれ、いつまでもそこにおったら 入ってくる人の邪魔になる、行くぞ」
「はぁ~い」
お父さんに促されて お兄ちゃんたちも歩き始める。
入ったところから 今までとは全く違うダンジョンだという事が分かる。
正に高原なのだ。
外に繋がる入口も 高原の途中に 土で出来た階段のようなものが数段だけあり、その上にポッカリと 穴が開いているような感じなだけ。
その後ろにも高原は続いている。くるりと振り返って見れば こちらも広大な高原で だだっ広い大地が続いている。
所々に モッサリした草むらがあり そこでは 鍬を持った人たちが 採集をしているようだ。
洞窟にポツンといるから目立っていたスライムも、広大な高原で あちこちに草むらがあるこの場所では パッと見 どこにいるのか分からない。
そして 採集している人たちの後ろには 小さな……じゃなくって 普通のホーンラビットが忍び寄っている。
「あの人たち大丈夫かな」
「あのサイズのホーンラビットなら ちょっとくらい突かれても かすり傷くらいだろ。薬草貼っときゃ治る」
クルトさん、それは 獣人冒険者だからこそではないでしょうか。
まあ あのサイズなら サマニア村に居るホーンラビット程の殺傷能力はないかな。
あまりに無警戒で採集している人たちに こちらがヒヤヒヤしてしまう。
索敵は既に展開している。高原エリアなので 地面から数センチだけの非常に低い範囲で広範囲に索敵をしているから セフティーゾーンも確認済みだ。
入口の後方に見えていた高原は カーテンの向こう側だったので “果て” だという事も分かった。あの果ての先が 2階層に続く場所の向こうにある果てなら 帰りは早そうだけど 違ったらどこに行くか分からないし 試すつもりはない。
「わ~!待て待て」
「お前そっちから回りこめ、俺はこっちで止めるから」
騒がしい声の方を見れば 少年二人が 棒を持って 走り回っている。よく見れば 足元にはホーンラビット。どうやらあれを追いかけているらしい。
「ホーンラビットのドロップアイテムって角だよね? わざわざ角を獲るのに追いかけてるの???」
「ああ、豊作ダンジョンは その名の通り 他のダンジョンのドロップアイテムと違うものが多いんだよね。例えばアレ、ホーンラビットは角を落とすこともあるけど 肉を落とすことの方が多い。
スネーク系もそうだね。牙や皮を落とすこともあるけど 肉の方が多い。魔石が時々なのは同じくらいの確立かな」
マジっすか。流石豊作だね。
じゃあ お肉の準備そこまで頑張らなくて良かったんじゃない? お父さんは その事を忘れていたらしく そういえばそうじゃったな、と呟いてた。
まあ、皆よく食べるから 作ってきた分は なくなるだろうけど、お肉がなくなる心配をしなくて済むのは非常に助かるね。
棒を振り回して追いかけていた少年たちは するりと足元をすり抜けられ、地団駄を踏んでいる。
サマニア村の子供達なら 余裕で捕まえられそうなチビ兎なのに あんなに苦労するなんて 彼らは獣人ではないのだろう。
「あ~、確かにあの子供は ヒト族っぽいけど、普通の町だったら獣人の子供でも大差ねえぞ。あの村が異常なんだって覚えとく方がいいぞ。
だいたい兄弟が居ても7歳以下で学び舎に行く奴らなんていねーしな」
「ハチと レンがあんなに魔法が使えるとかビックリしたからなぁ」
あぁ、午後の訓練場には 二人も時々参加してたもんね。そういえばあの二人も5歳から通ってるし、魔術の練習で魔力操作をメインで練習してたお陰で 土魔法と風魔法は凄く上手に扱う。
来年の洗礼式が待ちきれないって言ってたけど、これはウカウカしてたら 本当に 冒険者登録して直ぐに追いつかれてしまうかもしれないね。
そんな事を話しながら 1階エリアを歩いていれば 今夜の休憩地点となるセフティーゾーンに到着した。2階に下りる階段に一番近いセフティーゾーン。
1階で作業する人たちや 2階までしか行かない人たちは 大抵 日帰りで作業する人たちで、2階に行く人たちは 早朝から潜って この時間には 1階に戻ってきていないと 日帰りが厳しい。
もっと下まで行く人たちは 1階、2階は あまり採集が出来ないから 速足で通り過ぎることが多く 結果 1階のセフティーゾーンはガラガラである。
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