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父娘と合同パーティー
第224話 フルシェ遺跡ダンジョン その6
しおりを挟むおはようございます。
最後の見張りはタディさんだったようで 昨晩予想した通りの事態が起こっております。
「昨日ヴィオが言ってたのに そんな魔力切れ寸前になってるなんて 何を考えているのよ」
「いや、でも、俺たちは後ろから確認だけだろ? だったら魔力を使うことも……」
「それを ダンジョンに入るパーティーの 例えばポーターが言っても許されるのかしら?
彼らは後ろからついてくるだけよね?だから 体調が万全でなくとも良いとでも?」
朝食準備中 何時か見たようにテーアさんから叱られているタディさんの姿。
確かあの時は 訓練の手合わせをくじ引きする予定だったのを 無視して声をかけてきたのがきっかけだったかな。テーアさん 普段は淑やかな美人さんだけど、冒険者としては男前なお姐さんで、怒ると非常に怖いのです。
「さて、朝食の準備もできたし テーアもその辺で。今日は5階まで行くつもりなんじゃろう?」
「……そうね、あなたは回復薬を飲んでおいてね。自然回復もあるだろうから 低級で良いわ」
しぶしぶながら テーアさんが了承し、タディさんが お父さんに手を合わせてます。
そしてその間 子供達からのフォローは無し。前にケーテさんに聞いたら 下手に止めると とばっちりが来るから 放置しているとの答えが返ってきた次第。
時々やらかしているらしいタディさん、うん、頑張れ!
朝食後 もう一つのお部屋の魔獣を討伐したのは ケーテさんとガルスさん。
索敵はまだ練習中だけど 水魔法の索敵は出来るらしいので それで室内をチェック、四足歩行の魔獣が5体いることを確認してから入室した。
「外敵を防げ【ウォーターウォール】」
「敵の足止めを【アイビー】」
ケーテさんがウルフの後ろ3体を分断するように水の壁を作り、同時にガルスさんが ウルフたちの足を蔦魔法で絡めとり 動きを阻害した。
おぉ、無詠唱ではないけどかなり短い詠唱で行使できてるね。土壁は無詠唱だったから 多分慣れたら短い詠唱もいらなくなるだろうけどね。
ウゴウゴしているウルフ如きは 二人の敵ではなく 前の二体は直ぐに斬捨てられ、水の壁を解除したら直ぐに後ろの3体も斬捨てられた。
「今回は魔法を使うことにしたのね、良い判断だったと思うわ。ヴィオの影響ね」
テーアさんが二人を褒め、二人も嬉しそうだ。
それにしても 魔法を解除する必要はなかったのではなかろうか。ケーテさんは長柄武器だから そのまま攻撃できただろうし、ガルスさんの武器は長剣だから あの距離があればちょっと遠かったかもだけど、壁をもっと敵の近くにすれば攻撃できるよね。
それをお父さんに確認してたら タディさんに聞かれたので 実験したことを伝えたら驚いてた。
試そうと思ったこともなかったんだって。
「上の階で試してみることにしよう。
ケーテ、ヴィオからな 壁のこっちからも攻撃が出来るって事だ。俺もちょっとわからないから 上で見せてもらって お前たちでも試してみろ」
うん、本当によく分かってないんだろうね。
壁をひっくり返すという意味がそもそも解ってなかったっぽいし。お父さんも初めてやった時に 「どうなってる?」って言ってたもんね。
テーアさんからも 上の階の魔獣で一度見せて欲しいと言われたので とりあえず宝箱を確認してから4階を目指すことにした。
4階の階段へ続く通路の反対側、まっすぐな通路のど真ん中に ザ・宝箱 って感じの箱がある。
これを見て「わ~い!宝箱発見!オープーン!」となる人はどれだけいるのだろう。
どう見ても罠じゃない?
せめて突き当りに置くとか、この階だったら 部屋に置くとかじゃない?
あえてのこのスタイルって事は『宝箱を怪しむ癖をつけなさい』っていうダンジョン様の心遣いとしか思えん。
という事で【索敵】を宝箱にしてみれば う~ん、これなんだろうね。
「お父さん、宝箱の上の部分?うらっかわにモヤモヤがある。これなんだと思う?」
「おぉ!そういえば宝箱も見えるって言ってたな、俺もやってみるぞ」
タディさんが大興奮だけど、テーアさんと お父さんも ジッと宝箱を見つめているから 索敵を使っているんだと思う。
それを見ている兄妹は「早く私たちも索敵を使えるようになりたい」って言ってる。
「おぉぉぉ!凄いぞ、ヴィオ これは多分 ガスか煙だな。宝箱を開けたら 煙みたいなのがモヤモヤ出てくるってやつだ。
神経毒、麻痺毒、毒ガス、睡眠ガス、声が出なくなる煙、目が痛くて開けられなくなる煙、とにかく臭い煙、あとは……それくらいか、そんなんが出てくるやつだな」
おぉ、中々凶悪だね。それが上蓋に溜まっているんだね。タディさんの見立ては お父さんたちも同意だったらしく、中身も薬瓶だから 開けなくても良いと言い出した。
なんと勿体ないことを言うのでしょう。
「えぇ!ガス防ぐようにしてみるから 開けてみていい? なんなら タディさん達は ケーテさんの水の盾の向こう側に隠れてて良いから」
折角の罠がある宝箱だよ? 是非開けてどんな感じか見てみたいではないか。
お願いしたら まあやってみれば良いという事で やらせてもらえることに。
ケーテさんと ガルスさんは 念のため水の盾を張った向こう側にいるけど、テーアさん達は 間近で確認したいんだって。流石金ランクって感じ?
「【ウォーターウォール】」
水の壁を宝箱にフィットさせるよ。あぁ、フィットしすぎてて開けられないから 上は余裕を持たせましょう。
水の壁がグニグニ動き 箱の蓋が十分に開く空間を確保する。
「ほぉ、昨日の練習がこうして活かせるって事だな」
そうですそうです。
そのまま鞭から蔦を伸ばして 宝箱の蓋を持ち上げる。
鍵はかかってないようだね。
「蔦をそんな風に使うなんて 考えたものね。私だったら……槍で行けるわね」
テーアさんは意外と豪快なんですね。
蔦が持ち上げた蓋は 少し持ち上がったと思った途端 バ~ンと後ろに倒れ、中に入っていたと思われる煙がモクモクと立ち上がる。
「ちょっとでも開けたら 蓋が跳ねあがるって そっちの方が怖いかも」
ビックリしちゃうよね。
まあ 煙が出てきた!閉めろ!ってならないようにだろうけどね。
とはいえ水の盾の中でモクモクしているので 煙を消さないとだね。
「【クリーン】」
煙相手に効くのか?って思ったけど大丈夫だったね。壁とは違う水玉が煙を包み込んでグルグルッと回ったと思えば消えて 煙も消え去った。
壁を解除すれば 宝箱の中に 魔力回復薬の瓶が2本あった。
「これは、他の人がいる前じゃ使ったらダメな魔法ね」
「だが、覚えておくに越したことはないぞ。ケーテ、ガルス、魔力操作の訓練 これから毎晩頑張りなさい。私たちが後半の見張りをするから、お前たちは魔力切れになるまで練習すればいい」
「「はいっ」」
その後に寝れば 回復するもんね。
厳しいようで 優しいね。お父さんも スパルタだって言われてるけど ちゃんと初級から順番に強くなれるようにしてくれてるしね。
こういうところが サマニア村の冒険者が優秀になる所以なのかもね。
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