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父娘と合同パーティー
第223話 フルシェ遺跡ダンジョン その5
部屋の主だったビックボアを倒した後、野営準備を始めます。
室内なので 通路程の警戒をする必要はなく、かといって 他の冒険者が来ないとは言い切れないので 警戒は怠らずって感じだね。
いつも通り テントの準備を始めたのはお父さん。
【アースポール】で支柱を立てて テントを括りつければ完成だ。
ふと見れば テーアさん達のテントは既に設置済み、どうやら テーアさんの鞄からそのまま取り出したようだ。
お兄ちゃんたちが話してた テントそのまんま入れている冒険者が こんな近くにいるとは驚きだったね。
けど その隣では ガルスさんが カンカンコンコンしながら 普通にテントを準備中。
「ガルスさんは別のテントなの?」
「今は家族で行動しているけど ケーテのランクが上がれば 俺はソロでしばらく行動することになるし、テントとかできるだけ慣れておきたいからね」
そっかぁ。ケーテさんが何才になってから辺境伯の元に行くのか分からないけど、その後にはソロで活動をするって事なら 慣れておくに越したことはないよね。
三者三様のテント準備が終われば タディさんが火台を作ると言ってくれたんだけど……、ああ、夜営の為にも火は必要だからお願いしちゃおう。
私は鉄板用の石のテーブルを準備して、テーブルの中央のくぼみに燃料となる薪を投入。鉄板をお父さんにセットしてもらってから タディさんの準備してくれた火台でスープを作り始める。
お父さんは 鉄板で 採れたてのボア肉を調理してくれているので、お部屋に美味しい匂いが充満し始めました。
うん、通路ではできないやつだね。
「くっくっく、はっはっは、昼も思ったが お前ら親子 おかしいからな?
もうちょっと知らない冒険者の前では取り繕えよ?
特にヴィオ、お前見た目がまだちっこいんだから こんな簡単に テーブル作ったり 料理の時 火加減調整したりするなよ?
火の調整なんか 完全無詠唱でやってるし、それ 普通じゃないからな」
我慢できないとばかりに タディさんが大爆笑し始めました。
テーアさんからは ダンジョンで料理をすること自体 まだまだイレギュラーだと言われてしまいましたが、周辺の大人2組が料理する人たちなので 止めるつもりはありません。でも気を付けるようにします。
ケーテさん達も やっとリラックスした様子になり、全員でテーブルに着いてお夕飯タイムとなりました。
「学び舎の時も思ったけど、ヴィオの魔法って不思議よね。そんな風に使うなんて考えた事が無かったような使い方をするじゃない?
私 壁に足場を作る魔法と 土壁くらいしか ダンジョンで使ってなかったけど、テーブルにするなんて考えたこともなかったわ。 でも確かにあると便利よね」
「だけど まずは【索敵】ね。あれはダンジョンに潜るなら絶対だわ。
私 容量も多い鞄だったから 水を作る魔法も覚える予定はなかったけど、調理道具を持ち歩くなら 少しでも荷物を減らしたいもの。
このダンジョン攻略中に 索敵と水生成は覚えたいわ」
おぉ、もしや水樽を大量に持ち運んでいらっしゃった?
そしてテーアさんも ダンジョン調理の楽しさに同調してくれる感じです?
熱々のお料理って美味しいもんね。元気になるし良い事尽くめですよ。
トカゲ獣人の種族特性として水が得意属性だという事で、二人も水の索敵は使った事があるという。
だったら 水の生成魔法も然程難しくないだろうし、生成魔法が出来るようになれば 魔力散布の感覚がつかめるだろうし 直ぐに覚えられると思う。
という事で 夕食後は 魔法のお時間となりました。
お父さん指導の元 大人組は 水生成魔法を、子供二人は私と一緒に魔力操作の訓練をすることになったよ。
二人とも水魔法が得意だから お水を使った訓練です。
「 まずはお水をつくりましょう 【ウォーター】」
「「【ウォーター】」」
三人の手元に フヨフヨと水の玉が浮いています。
「では水の形を変えてみましょう、ん~と、お父さんにしよう!」
お水に魔力を注げば 水の玉がグニグニと動き出し 丸い形から 縦長の棒に変わり、更に膨らんだり細くなったりを繰り返し お父さんの全体像が出来上がった。
透明なお父さん、中々いいね!
「「え???」」
さあできたかな?って思ったのに 二人の手の上には丸いままの水の塊が。
「いやいや、なんで そんなに形が変わったのか分からないんだけど……」
ガルスさんにそんな事を言われたけど、変えたいと思ったからとしか言えない。
「んっと、お水って形が無いでしょ?
今出してるのは丸い感じだけど 器に入れたらその形になるし、そもそも 水は流体でしょう?
【ウォーターランス】は槍の形だし、【ウォーターアロー】は矢の形になるでしょう?
それはその形で想像してるからだよね?
だったら ただの水も作り変えることは出来ると思うの。
魔力を流しながら 細かく造形を作ろうと思うと 結構集中する必要があるからね、操作の練習には凄く良いと思うよ。
慣れたら こんなこともできるの」
そう言いながら 透明なお父さんを 空中で走らせてみる。勿論エアランニングだけど。
バク転させたり 徒手空拳もしてもらえるよ。手のひらサイズのお父さんがチョコチョコ動くのは非常に可愛い。
「す、すごいわ、そこまでするには練習が必要ね。
まずは 母さんの……いや、人の顔は難しそうだから ホーンラビットで再現してみるわ。散々倒してきたから 細かいところまで覚えているもの」
ケーテさんが メラメラしてるよ。
そして そんな妹を見て 負けてられないと お兄ちゃんも頑張るようです。
うんうん、水魔法は危険性が少ないからね 是非練習してね。そのうち二人が作る魔獣同士で戦わせるとかも楽しそうだね。
「ほぉ、面白いことを考えるな。確かに それなら練習にも良さそうだ。夜営の見張り中は退屈だったが 良い時間つぶしになりそうだな」
お兄ちゃんたちも 見張り番の時に楽しんでるようですから 良いと思います。
ただ、お兄ちゃん達みたく 最後の人は魔力ギリギリってならないようにした方がいいと思うけどね。
まあ、金ランク冒険者だもの その辺は大丈夫だと思います。
皆の練習が盛り上がっている中、私は就寝タイムでございます。
このダンジョンでも 見張り番は不要と言われたので 有難くしっかりお休み時間を確保させていただきますね。
では、おやすみなさいませ。
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