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魔導学園へ
第257話 学園の見学 昼食
しおりを挟むダンジョンや街道では 土魔法で机を作っちゃうんだけど、流石に学園の整えられた広場でそれは出来ません。
残念ながら今日はテーブル無しです。
だけど 摘まみやすいようなサンドイッチやから揚げ、卵焼きなどを用意してくれているので、大丈夫でしょう。
エミリンさんが私の分を、ブン先生が ドゥーア先生とお父さんの分を小皿に取り分けてくれています。
自分でできるけど エミリンさんが嬉しそうなのでお任せします。
その間に折角だから スープを準備。
マジックバックは持ってきているので 簡易火台をセットしてお湯を沸かして準備。
人数分のカップにフリーズドライスープの欠片をいれて、その上からお湯を注げば完成です。
「お味は一番人気のコンソメスープにしてみました。熱いから気を付けてくださいね」
はい、と渡せば お父さん以外が固まっております。
そういえばフリーズドライ魔法って内緒魔法だったっけ?
お父さんもちょっと笑ってるけど 忘れてたっぽい。まあ ドゥーア先生には魔法の内緒はないから ついでに説明しちゃえばいいよね。
「フリーズドライですか……。これは確かに 発表することは考えるべき魔法ですね。
お湯を注ぐだけで こんなに美味しいスープが飲めるとは、長期移動の野営中でも使えますし お湯さえあればいいのであれば それこそ馬車の車内でも食べることができますね。
冒険者であれば 相当な深層階に行くときでも荷物が減らせますし垂涎の魔法ですね」
私たちはダンジョン内では料理をするので、フリーズドライスープは 調味料として使うぐらいですけどね。
でも 先生もこの魔法を広める危険性は理解しており 発表する気はないと言った。
マジックバックが存在する世界だから 戦争とかにマジックバックを使用して食料、武器などを持ち運ぶのは今までにもあったけど、それでも時間を止める大容量のバックは少ないし、食糧不足は重要な問題。何より栄養が偏ってくるのも問題なんだろう。
フリーズドライスープは時間停止の必要もないし、嵩が低いからかなりの量を持ち運べる。
スープの時点で栄養バランスを考えておけば 肉串しか食べれない状況でもバランスを多少賄える。
良い利用をする人しかいないなら良いけど、そうじゃない人も多いのは歴史が語ってるからね。
転生者は勇者の前にも、勇者の後にもいるようだし、多分ダムを作った公爵様だってそうだろう。私もそうだし きっとこの先も現れる。
その人が発表するかもしれないので 私とドゥーア先生から発表しなければとを焦る必要はない。
まあ そうは言っても新しい魔法ですからね、ドゥーア先生とブン先生、二人とも覚えたいと言ってるので お屋敷に戻ったら練習しましょう。
皆でゆっくりランチを頂いたら 今度は東側の見学です。
こっちは建物が点在しており、そのすべてが 専門学舎だそう。
私たちがランチをした広場からも見えた壁際の建物は 植物栽培の温室と畑なのだそうで、薬草をはじめとした 調合で使う為の様々な植物が育てられているんだって。
「あの温室で育てた植物を使うことが多いので、手前の大きな建物は魔法薬学と植物学の教室となります。
植物学だけを専門に学ぶこともできますし、調合・調薬を専門に学ぶこともできます。
基本的にこちらの別館を使用するのは 3年生以上の専門コースを選んだ学生たちで、1・2年生の間は 同じ魔法薬学でも 本館の教室で基本を学ぶだけとなりますね」
専門コースが複雑すぎる……。
「確かに 色々な勉強が出来るようになっておりますが、基本のコースは4つから選択しますわ。
1・2年生は普通科のみですが、3年生からは普通科、貴族科、武術専門科、魔術専門科の4つから選択しますの」
5年生まで学校に通うことができるけど、留学生をはじめ 必須課程を終え卒業資格を得たら5年通わず卒業する人もいるらしい。
貴族科はリズモーニ王国の歴史の詳細を学び、領地経営などを学ぶことが出来るようで 唯一リズモーニ貴族しか選択できない。まあ他国の歴史を詳細に学んでもねぇ。
領地持ちの長男、スペアの次男、婿入りを願う領地持ちの長女、婿入り希望の領地持ちではない貴族達が選択するみたい。
魔術専門科は 魔法に関するあれこれを研究する人たちが選択するコースで、ドゥーア先生はこの専門科の先生である。
1・2年生の魔法授業を受け持つ先生もいるらしいけど、ドゥーア先生は3年生以上の専門科を受講した生徒しか教えてないんだって。専門的な話が多すぎて 知識が無い人に一から教えるのは面倒だそうです。
武術専門科には 騎士コースと冒険者コースがあって、それは訓練場の見学の時に説明した通り。
ダンジョン研修は武術専門科の生徒しか参加資格がないらしい。
貴族がダンジョンって 驚きだったけど、全員じゃないと分かってちょっと安心したよね。
という事は、こないだのフルシェ遺跡ダンジョンで会った貴族は武術専門科の生徒さんだったって事だね。
最後に普通科は、貴族との交流を目的とした人が集まる科で、商人や 嫁入り希望、婿入り希望だけの将来を特に決めていない生徒たちが入るらしい。
どの科に所属していても、専門の授業は選択することができるらしいけど、各科によって 必須の履修科目と卒業時に必要な合計点数が決められているので、一番緩い普通科を選んで 専門クラスを複数選んで受講する人も多いんだって。
「私が普段働いているのは 図書館棟の手前、あの大きめの建物だよ。
古代文字研究、魔法陣学、呪文学、聖属性と闇属性の魔法を学ぶ場所だね」
先生が指さす先には 横長の大きな建物が見える。魔法薬学の建物と同じくらいだね。
というかその先に見える図書館がでっか過ぎて 他の建物が小さく見える罠。
「聖属性と闇属性は特別棟なんですね」
「得意属性にない生徒は学べないからね。それに隠したがる生徒も多い。
闇属性はその名から 悪いことをしそうだと思われることが多くて隠したがる傾向にあるし、聖属性は教会に目をつけられる可能性が高いからね。
それでも皇国出身者で 国から逃げたいような子や、教会に目をつけられる程の能力はないけど 冒険者になって回復特化でやっていきたい。なんて子が受けに来るね。
だからこそ 他の学科と同じ建物にして どの授業を受けているか分からないようにしているんだよ」
おぉ、身バレ防止を考えてくれてるんですね。
1学年に2~3人しか受講する生徒はいないらしいけど、それが属性を持っているのがそれだけしかいないのか、それとも受けようとした人がそれだけしかいないのかは分からないんだって。
習える場所が少ないし、習っていることがバレることで変に目を付けられたくないなら 知らぬふりをするのも一つの手かもしれないもんね。
私は両方習うつもりですけどね。
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