ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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ウミユ遺跡ダンジョン 前半

第345話 ウミユ その12

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おはようございます。
ウミユのダンジョン3日目の朝も ゆっくり眠れたお陰でスッキリですよ。
ただ残念なのは 破落戸共がいるせいで ゆっくりお風呂に入れていない事。これだけが非常に残念でなりません。

「ヴィオ おはよう」

「おはよう オトマンさん、ネリアさん、二人が最後の夜番だったの?」

「ええ、魔力操作の訓練をしてたらあっという間だったわ。
この訓練はとっても良いわね、今までは 時間潰しを探すのが大変だったもの」

「見張り番ありがとうございます。
お兄ちゃんたちも 見張り番で訓練を繰り返して 凄く魔力消費量が減ったって言ってたから 良い練習になると思う。私も盗聴の練習頑張るね」

テントから出れば 既に二人が揃ってて テーブルに向かい合う感じでお茶を飲んでいた。
そういえば昨日はテーブルをそのままにしたんだったね。
まあ 他の冒険者が来なかったし いいかな?

「くわ~~~!よく寝た。おう、ヴィオおはよう。早いな」

「テリューさん おはよう、お父さんはもっと早いから 私は遅い方なんだよ? もうちょっと早起きしたいんだけどね」

「ははっ、ヴィオはまだまだ成長期じゃからな、身体が眠りを欲しとる時は眠る方がええ。
ダンジョンでは昼寝が出来ん分 夜はしっかり寝ておくべきじゃ」

大きなテントから ググっと伸びをしながら出てきたのはテリューさん。
まだ冒険者装備を身に着けていないラフな格好は まさに寝起きなんだね。ダンジョンでは夜寝る時間が早いんだけど、朝起きるのは 5時半くらい。お父さんは5時くらいには起きている筈なんだよね。
村にいる時より 大分早寝しているのに 起きるのは30分くらいしか早くないのは寝すぎな気がするけど、お父さん的には昼寝のかわりという事らしい。
成長はしたいので 甘んじて受け入れます。

テリューさんが出てきて直ぐ、皆もバラバラとテントから出てくる。
鉄板テーブルの下に薪を入れて着火。すぐに温まるので オトマンさん達がお茶を沸かしてくれる。
お父さんが手早くベーコンと卵を交互に鉄板に乗せていけば ジュージューという音と 油の匂いがふんわり漂ってくる。
いつの間にかヘラを持ったクルトさんが お父さんの隣に立っていて 焼けたベーコンと卵をひっくり返していく。何という連携作業!
パンは各自ある程度手持ちにあるという事なので 朝はそれを食べてもらってる。なくなれば焼けばいいだけだからね。

お父さんが朝食を作ってくれているので 私がテントを片付ける。
お兄ちゃんたちも同じだね。
温かい朝食を頂けば テリューさんから今日の予定を伝えられた。

「今日は午前の間に4階の後半まで行こうと思う。素材が変わるとしたら5階からだからな、例のポアレスがあるとしたら5階以降だろ?
だから昼食は4階の4つ目のセフティーゾーンを目標として歩くつもりだ。だけど もしヴィオがしんどいようなら急ぐ必要もないからな、無理はせずに言ってくれ」

おお!お米の魅力に早速嵌りましたか?
それは非常に嬉しいことだけど、そんな速さで移動したら 後ろの面々がついて来れなくないですか?

「まあ それも考えたんじゃがな、よく考えれば あいつらの為に儂らが合わせるのもおかしな話じゃろう? どうせ休憩時間もあるんじゃ、ついてくる気ならその時間に来ればええ」

「そうそう、だってあいつら干し肉だけだしさ、調理しないなら そんなに長い休憩はいらないでしょ?
そんな事より 早く5階以降に下りちゃった方が ヴィオも嬉しくない?」

お父さんと トンガお兄ちゃんの言葉に それもそうかと思い直す。
態々はぐれない様に ゆっくり行動して 襲いやすいようにしてあげるって よく考えたらおかしな話だよね。うん、良いと思う。

「うん、ポアレス以外も見つけたいけど、まずは 王都近郊でポアレスの確保が出来るかの確認だね。
10階までにあれば依頼も出しやすそうだもん。
ダンジョン様~~~、5階からポアレスが沢山生えていることを願います!美味しく食べるから 是非お願いします~~~!」

いつものように両手を組んで空を見上げる。
ダンジョン様がお空にいるのかは分からないけど どこにいても見えているだろう。

「「「ダンジョン様!お願いします」」」

お兄ちゃんたちも笑いながら 同じようにお願いしてくれたから きっと5階からはポアレス祭りになるはずだ。
私たちの突然の行動に 土竜の人たちが驚いてるけど、お父さんが説明してくれたことで納得してくれました。
一緒にお祈りしてくれてもいいんですよ?

という事で、破落戸は休憩時間と夜に追いついてもらう、もしくは はぐれても放置するという事に決まりました。
全員の準備が終わったところで今日の組分け。

お父さん、私、テリューさん、アンさん組
トンガお兄ちゃん、シエナさん、オトマンさん組
クルトさん、ルンガお兄ちゃん、ネリアさん、レスさん組

今日はシエナさんとネリアさんが夫婦コンビじゃなく動くらしい。
だけど基本的には伝令魔法が使える人が必ず入るように分けているんだって。

「んじゃ、僕たちは ちょっと別行動するから 昼食も別にするね。
夕食時間には戻るから気にしないで」

さて出発!というところで トンガお兄ちゃんからそんな事を言われた。
はぐれた奴らが街に戻るのか、遅れるだけでちゃんと追いつけるのかを確認しておきたいという事で 別行動をするらしい。
確かに今回は4階から5階まで行くつもりだし、階を越えての索敵は出来ないからね。
という事は 今日は干し肉が昼ご飯になるのかな?

「トンガ達には 昨日の夜のうちに 軽食を作っておるから大丈夫じゃ」

「というか このダンジョンで食うみたいな飯、普通は食えないからな。俺たち地元の町にいる時より余程良いもの食ってるくらいだぞ」

テリューさんから 呆れたように言われたけど、美味しいものを食べられるって嬉しいし幸せになるでしょ?
でも お父さんが軽食をお持たせしてくれてるなら安心だね。
では改めて、4階層に向けて出発進行~!
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