神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第1章 世界の終焉

第1話 目覚め

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◆目覚め

……眩しい。

カーテンの隙間から差し込む朝日が、視界をじんわりと焼く。
微かに冷たい空気が頬を撫で、布団の温もりとの温度差が心地よい。

「……朝か……」



ぼんやりと天井を見上げながら、思考が覚醒していく。
脇に置いた時計を確認すると、針は7時ちょうどを指していた。

水曜日――仕事の日だ。

頭では理解しているのに、体が布団から抜け出すことを拒む。
そんな俺の足元で、もふもふとした何かが蠢いた。

次の瞬間――ドスッ!

「ぐはっ……!?」

胸に衝撃が走る。
布団の上で跳ねた何かが、ダイブしてきたのだ。

「……お前らなぁ……」

もふもふの正体は、俺の愛猫たちだった。

茶色の長毛種で、ふさふさのメス――アイン。
艶やかな黒毛の短毛種で、長い尻尾を持つオス――シュタイン。

「にゃー!」
「にゃにゃ!」

ふたりとも、揃って俺の顔を覗き込み、朝食を要求してくる。
その熱意たるや、俺が二度寝する可能性を完全に潰しにきているレベルだ。

「……はいはい、わかったよ……」

しぶしぶ布団を抜け出し、朝のルーチンを始めることにした。

◆日常の朝

冷たい水で顔を洗い、歯を磨き、スーツに袖を通す。
時計を見ると、7時20分。いつもの時間通りだ。

アインとシュタインのために缶詰を開け、餌皿に分ける。
彼らは待ちきれない様子で、俺の足元にスリスリしてくる。

「お前ら、ホント食い意地張ってるな……」

そんな何気ない朝の光景。

だが、テレビのスイッチを入れた瞬間、流れ出したニュースが、俺の日常に小さな異変を投げ込んだ。

「続いてのニュースです――各地で未確認生物の目撃が急増しています」

またか……最近、妙にこの話題が増えている。

「また、フォースを利用した能力開発の議論も加熱しており――」

フォース――それは、世界を変えたエネルギー。

約30年前、世界が石油の枯渇によるエネルギー戦争に突入しようとしていたとき、日本が発見した新たなエネルギーだ。
フォースの発見により、各国の紛争は収束し、世界のエネルギー問題は劇的に改善された。

特に衝撃的だったのが、家畜を利用したフォース発電技術の確立だった。
家畜が生まれ持つフォースを強制的に解放し、それをエネルギーに変換することで、今や世界の電力の約8割がフォース発電に依存している。

しかし、最近はフォースを人間の能力開発に応用しようとする動きが活発になっていた。

「フォースを意図的に引き出すことで、人間の潜在能力を開花させる――」

そんな理想を掲げる研究者たちがいる一方で、

「脳を弄るなんて危険すぎる」

と倫理的な問題を指摘する声も大きい。

だが、俺にとって――この問題は、他人事ではなかった。

◆フォースと能力

なぜなら、俺は既にフォースを解放している側の人間だからだ。

世間で研究されているような「大脳辺縁系を刺激して強引にフォースを引き出す技術」とは違う。
俺は、誰の助けも借りず、自力でフォースを操る方法を確立した。

きっかけは、5歳の頃。

「フォースってなんだろう?」

そんな単純な疑問から始まり、小学生の頃には独学で研究を始めた。
父親に頼み込んでフォース研究所の見学に行ったのは、小学3年生の時だ。

そのとき、俺の中で何かが弾けた。

そして、試行錯誤を繰り返し、俺はフォースを操れるようになった。

だが、本当に苦労したのは能力の開発だった。

◆空間を掴むという発想

俺は走るのが好きだった。

陸上部に所属し、風を切る感覚を何よりも愛していた。

「もし、地面以外の場所を自由に走れたら?」

そんな単純な発想から、俺は風を操ることを試みた。
しかし、それは「走る」という感覚とは違った。

次に考えたのは、重力を操作すること。
だが、それもまた、本質的に求めているものではなかった。

そして――ある日、近所のデパートでパントマイムのショーを見たとき、俺は閃いた。

「もし、この空間に本当に見えない壁があったら?」

俺は、空間を「掴む」ことを思いついた。

そこから、ひたすら試行錯誤を重ねた。
最初は、ただ空気を叩いているだけだったが、やがて**“違和感”**を感じるようになった。

ある日、その違和感を頼りに、フォースを指先に集中させた。

すると――

「……ッ!?」

手に硬い何かが触れた。

鋼鉄のような感触――
俺は、初めて空間を掴んだのだ。

それから数年、俺はこの能力を磨き続けた。
そして、高校卒業を迎える頃、俺は新たな発見をする。

「空間は、歪めることができる」

その日から、俺は自分の能力に名をつけた。

空間干渉インターフェア

◆曇り空の朝

ニュースが終わり、天気予報が流れる。

「2255年10月10日、水曜日の天気は曇り時々雨。夕立にご注意ください。」

時計を見ると7時40分。

俺は鞄を持ち、傘を手に取る。
玄関を開けた瞬間、ひんやりとした空気が肌を包んだ。

空を見上げる。

雲が低く垂れ込め、まるで、この先に待ち受ける運命を暗示しているようだった。

――この日、俺の人生は大きく変わる。
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