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第2章 ギースの塔
第40話 絶望の檻
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◆絶望の檻
耳をつんざくような歓声と、容赦なく照りつける眩しい光が、私を意識の闇から引き戻した。
「――ヒャッ!? な、何……!?」
目を開けた瞬間、視界を覆うのは白い髑髏の顔――それは、奇怪な笑みを浮かべながら、私を覗き込んでいた。
「カッカッカ! お目覚めですかな? 随分と可愛らしい悲鳴ですな!」
顎の骨をカチカチと鳴らし、舐めるように私を観察する骸骨の兵士。
その背後では、数千もの骸骨の群れが、階段状の観客席にぎっしりと座り、まるで見世物を楽しむように目を爛々と輝かせていた。
私は、動こうとする――が、身体は椅子に縛り付けられ、手足を一切動かすことができない。
それどころか、着ているはずの服の感触がない。
下着だけの状態で拘束されていることに気がつき、羞恥と恐怖が一気に込み上げてきた。
だが、それ以上に目を覆いたくなる光景が目の前にあった。
「エ、エリウス……?」
部屋の中央、床には広がる血溜まり――そして、そこに座らされたまま、矢が無数に突き刺さったエリウスの姿。
「……嘘よ……こんなの、嘘でしょ……!!」
震える声が漏れる。
けれど、どれだけ否定したくても、彼の動かない体は揺るぎない現実だった。
その奥には、ルークとライオスもいた。
ルークは両足を失い、血まみれの状態で椅子に座らされ、ライオスは右腕を失ってぐったりと俯いている。
これが……現実なの?
「ルーク! ライオス!」
私は必死に彼らの名前を呼んだ。
ルークが顔を上げ、かすれた声で呟く。
「エニス……お願いだ……俺の命はくれてやる……だから、お前だけは、助かってくれ……」
「そんなこと言わないでよ!! いつもみたいに、余裕な顔で助けてよ!!」
私は叫んだ。
助けて欲しかった。
こんな悪夢のような現実を、どうにかして壊して欲しかった。
でも、ルークの視線は暗く沈み、ライオスも目を閉じたまま動かない。
「ふざけないでよ……! 私の仲間に、何をしたのよ!!」
恐怖を怒りに変え、私は魔力を込める。
「地獄より生まれし、灼熱の赤き炎よ――!」
だが――
何も起こらない。
「え……?」
魔力が、どこにも感じられない。
いくら意識を集中しても、炎の一欠片すら生み出せなかった。
「カッカッカ! 残念ながら、あなた方には魔力を封じる薬を打ってありますのでな!」
骸骨の男は楽しそうに笑う。
「そんな……っ!」
私は完全に無力だった。
◆地獄の始まり
骸骨の男は、観衆へと向き直り、大仰に手を広げた。
「さあ、皆の衆! こいつをどう料理しようか!? 皮を剥ぐか? 目をくり抜くか? それとも――」
「女を辱めろ!!!」
観客の骸骨たちが、一斉に咆哮する。
「そうだ! 我々は二千年も枯れていた!!!」
「女を思い出させろ!!!」
「脱がせろ!!! 触れさせろ!!!」
地響きのような歓声が響き渡る。
骸骨の男は嬉しそうに笑いながら、ゆっくりとナイフを手に取った。
「では、リクエストに応えて――凌辱を開始する!!!」
「い、嫌ぁぁあ!!!」
ナイフが私のブラジャーの中央に押し当てられた。
バチンッと音を立て、布地が切断される。
羞恥に顔が熱くなり、身体がガタガタと震える。
観衆の歓声が一層大きくなった。
骸骨の骨ばった指が、私の肌に触れ――
「な、なん……!?」
――その瞬間だった。
◆黒き裁きの者
――バシュッ!!!
何かが飛んできた。
気がついた時には、骸骨の男の腕が宙を舞っていた。
「グアアアアッ!!?」
骨の腕が床に落ちる。
観客たちが一斉に静まり返った。
――ドクン。
空気が重くなった。
暗い闇の中から、ゆっくりと歩く足音が響く。
「……これは、何の悪ふざけだ?」
深く、威圧感のある声。
血のように深紅の光が滲む剣を両手に持ち、漆黒の全身鎧をまとった巨躯――
その背には、黒く巨大な翼が広がっていた。
「何奴だ!!!」
骸骨の兵士たちが一斉に武器を構える。
だが――
「止めろ!!!」
骸骨の隊長が震えながら叫んだ。
「カ、カッカッカ!! これはこれは!! 超越者 様ではないですか!!!」
「お前たちは、何をしている?」
漆黒の鎧の巨人は、冷たく言った。
「……闘いに敗れた者に、生者はいらん。」
瞬間、巨大な剣が振り下ろされ――
ライオスの身体が、縦に両断された。
「そ、そんな……!」
私は絶叫した。
ルークの身体も、一瞬で頭部と胴が分かたれる。
血が噴き出し、床を赤く染める。
そして、私の前に――黒い悪魔が立ちはだかった。
「さらばだ、愚かなる者よ。」
巨大な剣が振り下ろされる。
◆怒りの黒髪
ガギン!!!
金属が砕ける音。
オーバーロードの剣が、何者かによって止められた。
「お前ら、何してんだ?」
その声は――
黒髪の男だった。
手に握られた剣が、オーバーロードの大剣を受け止めている。
「あんまり、胸くそ悪いことしてると――
――俺も、ブチ切れるぞ?」
どす黒いオーラが噴き上がり――
地獄の戦いが、幕を開けた。
耳をつんざくような歓声と、容赦なく照りつける眩しい光が、私を意識の闇から引き戻した。
「――ヒャッ!? な、何……!?」
目を開けた瞬間、視界を覆うのは白い髑髏の顔――それは、奇怪な笑みを浮かべながら、私を覗き込んでいた。
「カッカッカ! お目覚めですかな? 随分と可愛らしい悲鳴ですな!」
顎の骨をカチカチと鳴らし、舐めるように私を観察する骸骨の兵士。
その背後では、数千もの骸骨の群れが、階段状の観客席にぎっしりと座り、まるで見世物を楽しむように目を爛々と輝かせていた。
私は、動こうとする――が、身体は椅子に縛り付けられ、手足を一切動かすことができない。
それどころか、着ているはずの服の感触がない。
下着だけの状態で拘束されていることに気がつき、羞恥と恐怖が一気に込み上げてきた。
だが、それ以上に目を覆いたくなる光景が目の前にあった。
「エ、エリウス……?」
部屋の中央、床には広がる血溜まり――そして、そこに座らされたまま、矢が無数に突き刺さったエリウスの姿。
「……嘘よ……こんなの、嘘でしょ……!!」
震える声が漏れる。
けれど、どれだけ否定したくても、彼の動かない体は揺るぎない現実だった。
その奥には、ルークとライオスもいた。
ルークは両足を失い、血まみれの状態で椅子に座らされ、ライオスは右腕を失ってぐったりと俯いている。
これが……現実なの?
「ルーク! ライオス!」
私は必死に彼らの名前を呼んだ。
ルークが顔を上げ、かすれた声で呟く。
「エニス……お願いだ……俺の命はくれてやる……だから、お前だけは、助かってくれ……」
「そんなこと言わないでよ!! いつもみたいに、余裕な顔で助けてよ!!」
私は叫んだ。
助けて欲しかった。
こんな悪夢のような現実を、どうにかして壊して欲しかった。
でも、ルークの視線は暗く沈み、ライオスも目を閉じたまま動かない。
「ふざけないでよ……! 私の仲間に、何をしたのよ!!」
恐怖を怒りに変え、私は魔力を込める。
「地獄より生まれし、灼熱の赤き炎よ――!」
だが――
何も起こらない。
「え……?」
魔力が、どこにも感じられない。
いくら意識を集中しても、炎の一欠片すら生み出せなかった。
「カッカッカ! 残念ながら、あなた方には魔力を封じる薬を打ってありますのでな!」
骸骨の男は楽しそうに笑う。
「そんな……っ!」
私は完全に無力だった。
◆地獄の始まり
骸骨の男は、観衆へと向き直り、大仰に手を広げた。
「さあ、皆の衆! こいつをどう料理しようか!? 皮を剥ぐか? 目をくり抜くか? それとも――」
「女を辱めろ!!!」
観客の骸骨たちが、一斉に咆哮する。
「そうだ! 我々は二千年も枯れていた!!!」
「女を思い出させろ!!!」
「脱がせろ!!! 触れさせろ!!!」
地響きのような歓声が響き渡る。
骸骨の男は嬉しそうに笑いながら、ゆっくりとナイフを手に取った。
「では、リクエストに応えて――凌辱を開始する!!!」
「い、嫌ぁぁあ!!!」
ナイフが私のブラジャーの中央に押し当てられた。
バチンッと音を立て、布地が切断される。
羞恥に顔が熱くなり、身体がガタガタと震える。
観衆の歓声が一層大きくなった。
骸骨の骨ばった指が、私の肌に触れ――
「な、なん……!?」
――その瞬間だった。
◆黒き裁きの者
――バシュッ!!!
何かが飛んできた。
気がついた時には、骸骨の男の腕が宙を舞っていた。
「グアアアアッ!!?」
骨の腕が床に落ちる。
観客たちが一斉に静まり返った。
――ドクン。
空気が重くなった。
暗い闇の中から、ゆっくりと歩く足音が響く。
「……これは、何の悪ふざけだ?」
深く、威圧感のある声。
血のように深紅の光が滲む剣を両手に持ち、漆黒の全身鎧をまとった巨躯――
その背には、黒く巨大な翼が広がっていた。
「何奴だ!!!」
骸骨の兵士たちが一斉に武器を構える。
だが――
「止めろ!!!」
骸骨の隊長が震えながら叫んだ。
「カ、カッカッカ!! これはこれは!! 超越者 様ではないですか!!!」
「お前たちは、何をしている?」
漆黒の鎧の巨人は、冷たく言った。
「……闘いに敗れた者に、生者はいらん。」
瞬間、巨大な剣が振り下ろされ――
ライオスの身体が、縦に両断された。
「そ、そんな……!」
私は絶叫した。
ルークの身体も、一瞬で頭部と胴が分かたれる。
血が噴き出し、床を赤く染める。
そして、私の前に――黒い悪魔が立ちはだかった。
「さらばだ、愚かなる者よ。」
巨大な剣が振り下ろされる。
◆怒りの黒髪
ガギン!!!
金属が砕ける音。
オーバーロードの剣が、何者かによって止められた。
「お前ら、何してんだ?」
その声は――
黒髪の男だった。
手に握られた剣が、オーバーロードの大剣を受け止めている。
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――俺も、ブチ切れるぞ?」
どす黒いオーラが噴き上がり――
地獄の戦いが、幕を開けた。
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