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第2章 ギースの塔
第39話 拷問ショー
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◆地獄の開幕
――深い闇の中、意識がゆっくりと浮かび上がる。
薄暗い空間。腐食した鉄の匂い。かすかに聞こえる歓声のようなざわめき。
ぼんやりとした視界が徐々に焦点を結び、周囲の状況が理解できていく。
……まずい。これは……。
俺は目を覚ました途端、全身を襲う鈍痛に顔を歪めた。
手を動かそうとするが、ガチリと金属の拘束具が食い込むだけで、びくともしない。
首を動かせないまま、目線だけを下げると、冷たい鉄の椅子に押し付けられた自分の体が見えた。
そして――。
――足が、ない。
膝から下が完全に消失していた。
「無い」と認識した瞬間、焼けるような痛みが脳を貫き、思わず息を飲む。
「ぐっ……! クソッ……なんだこれ……!」
視界がぐらつく。意識が飛びそうになる。
どれだけの血を失ったのかも分からない。痛みと恐怖がないまぜになり、息が荒くなる。
「……おや? お目覚めですかな?」
突然、暗闇の中から甲高い声が響いた。
「てっきり、そのまま目覚めないかと思いましたよ……本当に、残念でしたね。カッカッカ!」
カツカツ、と規則正しい靴音が響く。
それはゆっくりとこちらへ歩み寄り、薄暗がりの中から白い何かが浮かび上がった。
――骸骨だ。
緑色の迷彩服に身を包み、顔には皮膚の欠片すらない。
頭蓋骨の奥の黒い窪みが、嗤うようにこちらを見つめていた。
「ま、魔物か……クソッ! 俺たちは、捕まったのか……!?」
「失敬な! 私は“人間”ですよ!」
骸骨は愉快そうに顎をカチカチと鳴らしながら笑った。
「ちょっとお前たちより肌が白くて、スタイルが良いだけですがね。カッカッカ!」
「……っざけんな……!」
こんな狂った状況で、茶化されてたまるか。
「……お前たち、俺をどうするつもりだ?」
俺は怒りを押し殺しながら問いかけた。
「決まっているではないか!」
骸骨は両腕を大きく広げ、観客へ向けるように宣言する。
「貴様らは敗者だ。我が領土に侵入し、我が兵を殺し、私の頭と胸に風穴を空けた」
「ならば当然の報いとして、貴様らを拷問し、陵辱し、蹂躙するのだ!」
――ドオオオオ!!!
その言葉と同時に、周囲から大歓声が巻き起こった。
◆狂気の劇場
――明るい光が一斉に灯る。
それまで暗闇に包まれていた空間が、一瞬にして見えるようになった。
俺たちがいたのは、30メートル四方の巨大な円形広場。
その四方を、何層にも連なる観客席が囲んでいた。
そこにいたのは、数千もの骸骨の兵士たち――。
血も、肉も、皮膚すらない。
彼らは歓喜に震えながら、俺たちを見下ろしていた。
天井から吊るされた巨大なスクリーンには、捕らわれた俺たちの姿が映し出されている。
……狂ってやがる。
この場所は、ただの処刑場じゃない。
これは――「拷問を楽しむための劇場」だ。
◆最初の犠牲者
「さて、今宵最初の犠牲者は……」
骸骨の男は、俺の仲間の方へ向きを変えた。
右手の骨の指が、ピタリとある男を指し示す。
「……この男だ!」
指を差されたのは、エリウスだった。
次の瞬間、エリウスの座る椅子がガタンと動き、中央へと押し出された。
「くっ……! ま、待て! 俺は……!」
必死に体を揺さぶるが、拘束具はびくともしない。
骸骨の男は、テーブルに置かれた鋭利なペンチを手に取り、ゆっくりと近づく。
「……お前には、まず私と同じ苦しみを味わってもらおうか。」
その言葉と同時に、エリウスの口がこじ開けられる。
「や、やめ――!!」
ブチブチッ!!!
肉が裂ける音が響いた。
「ア゛ァァァァァァ!!!」
エリウスの口から、血が噴き出す。
骸骨の男は、そのまま引き抜いたペンチをテーブルへ放り投げた。
そこに乗っていたのは――エリウスの舌だった。
「カッカッカ! いい悲鳴だ!」
観客席の髑髏どもが、歓喜に震える。
「さて、次は……」
骸骨の男は、テーブルの上からエリウスの愛用していたボウガンを拾い上げた。
そして、そのまま後方へと歩き出し、約10メートルの距離を取る。
「狙いはどこにしようかな……」
「やめろぉぉぉ!!」
ルークの悲痛な叫び声が響くが――
「バシュッ!」
短く音が鳴り響き、矢が放たれた。
エリウスの右腿に突き刺さる。
「う゛ぁぁぁぁぁ!!!」
叫び声。
観衆の歓声。
次の矢が装填される音。
「……次は、どこに当たるかな?」
◆絶望の夜は続く
矢が次々と放たれる。
エリウスの体に、赤い花が咲くように突き刺さる。
観客たちは、狂ったように歓声を上げていた。
――もう限界だ。
彼の意識が途絶えたのは、23本目の矢が突き刺さったときだった。
「……さて。」
骸骨の男は、満足げに腕を組み、次の獲物を物色する。
「やはり、皆お待ちかねの――」
次の瞬間、骸骨の観衆たちは一斉に立ち上がった。
「――女か!!!」
地鳴りのような歓声が、劇場を揺るがした。
俺は、歯を食いしばった。
――この地獄、終わらせなきゃならねぇ。
――深い闇の中、意識がゆっくりと浮かび上がる。
薄暗い空間。腐食した鉄の匂い。かすかに聞こえる歓声のようなざわめき。
ぼんやりとした視界が徐々に焦点を結び、周囲の状況が理解できていく。
……まずい。これは……。
俺は目を覚ました途端、全身を襲う鈍痛に顔を歪めた。
手を動かそうとするが、ガチリと金属の拘束具が食い込むだけで、びくともしない。
首を動かせないまま、目線だけを下げると、冷たい鉄の椅子に押し付けられた自分の体が見えた。
そして――。
――足が、ない。
膝から下が完全に消失していた。
「無い」と認識した瞬間、焼けるような痛みが脳を貫き、思わず息を飲む。
「ぐっ……! クソッ……なんだこれ……!」
視界がぐらつく。意識が飛びそうになる。
どれだけの血を失ったのかも分からない。痛みと恐怖がないまぜになり、息が荒くなる。
「……おや? お目覚めですかな?」
突然、暗闇の中から甲高い声が響いた。
「てっきり、そのまま目覚めないかと思いましたよ……本当に、残念でしたね。カッカッカ!」
カツカツ、と規則正しい靴音が響く。
それはゆっくりとこちらへ歩み寄り、薄暗がりの中から白い何かが浮かび上がった。
――骸骨だ。
緑色の迷彩服に身を包み、顔には皮膚の欠片すらない。
頭蓋骨の奥の黒い窪みが、嗤うようにこちらを見つめていた。
「ま、魔物か……クソッ! 俺たちは、捕まったのか……!?」
「失敬な! 私は“人間”ですよ!」
骸骨は愉快そうに顎をカチカチと鳴らしながら笑った。
「ちょっとお前たちより肌が白くて、スタイルが良いだけですがね。カッカッカ!」
「……っざけんな……!」
こんな狂った状況で、茶化されてたまるか。
「……お前たち、俺をどうするつもりだ?」
俺は怒りを押し殺しながら問いかけた。
「決まっているではないか!」
骸骨は両腕を大きく広げ、観客へ向けるように宣言する。
「貴様らは敗者だ。我が領土に侵入し、我が兵を殺し、私の頭と胸に風穴を空けた」
「ならば当然の報いとして、貴様らを拷問し、陵辱し、蹂躙するのだ!」
――ドオオオオ!!!
その言葉と同時に、周囲から大歓声が巻き起こった。
◆狂気の劇場
――明るい光が一斉に灯る。
それまで暗闇に包まれていた空間が、一瞬にして見えるようになった。
俺たちがいたのは、30メートル四方の巨大な円形広場。
その四方を、何層にも連なる観客席が囲んでいた。
そこにいたのは、数千もの骸骨の兵士たち――。
血も、肉も、皮膚すらない。
彼らは歓喜に震えながら、俺たちを見下ろしていた。
天井から吊るされた巨大なスクリーンには、捕らわれた俺たちの姿が映し出されている。
……狂ってやがる。
この場所は、ただの処刑場じゃない。
これは――「拷問を楽しむための劇場」だ。
◆最初の犠牲者
「さて、今宵最初の犠牲者は……」
骸骨の男は、俺の仲間の方へ向きを変えた。
右手の骨の指が、ピタリとある男を指し示す。
「……この男だ!」
指を差されたのは、エリウスだった。
次の瞬間、エリウスの座る椅子がガタンと動き、中央へと押し出された。
「くっ……! ま、待て! 俺は……!」
必死に体を揺さぶるが、拘束具はびくともしない。
骸骨の男は、テーブルに置かれた鋭利なペンチを手に取り、ゆっくりと近づく。
「……お前には、まず私と同じ苦しみを味わってもらおうか。」
その言葉と同時に、エリウスの口がこじ開けられる。
「や、やめ――!!」
ブチブチッ!!!
肉が裂ける音が響いた。
「ア゛ァァァァァァ!!!」
エリウスの口から、血が噴き出す。
骸骨の男は、そのまま引き抜いたペンチをテーブルへ放り投げた。
そこに乗っていたのは――エリウスの舌だった。
「カッカッカ! いい悲鳴だ!」
観客席の髑髏どもが、歓喜に震える。
「さて、次は……」
骸骨の男は、テーブルの上からエリウスの愛用していたボウガンを拾い上げた。
そして、そのまま後方へと歩き出し、約10メートルの距離を取る。
「狙いはどこにしようかな……」
「やめろぉぉぉ!!」
ルークの悲痛な叫び声が響くが――
「バシュッ!」
短く音が鳴り響き、矢が放たれた。
エリウスの右腿に突き刺さる。
「う゛ぁぁぁぁぁ!!!」
叫び声。
観衆の歓声。
次の矢が装填される音。
「……次は、どこに当たるかな?」
◆絶望の夜は続く
矢が次々と放たれる。
エリウスの体に、赤い花が咲くように突き刺さる。
観客たちは、狂ったように歓声を上げていた。
――もう限界だ。
彼の意識が途絶えたのは、23本目の矢が突き刺さったときだった。
「……さて。」
骸骨の男は、満足げに腕を組み、次の獲物を物色する。
「やはり、皆お待ちかねの――」
次の瞬間、骸骨の観衆たちは一斉に立ち上がった。
「――女か!!!」
地鳴りのような歓声が、劇場を揺るがした。
俺は、歯を食いしばった。
――この地獄、終わらせなきゃならねぇ。
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