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検査結果で………
しおりを挟む翌日、櫻子は慣れないベッドに早く起きた。だが、高嶺ざ起きる時間が分からないのに、物音を出しては、と思いベッドでゴロゴロしていた。
カチャ。
「起きてますか?」
「……………は、はい!」
「朝食出来てますから、食べましょう」
少しドアを開け、中を見ぬまま声を掛けられた櫻子。昨日もだが、紳士的な高嶺に何処迄接していいか分からないでいた。誘拐、監禁されているにも関わらず拘束はされず、マンション内なら自由にしていていい、と言う。しかも期限付きだ。DNA鑑定で、極道の者の血縁者でなければいい、と思っている。
「おはようございます」
「………おはよう」
「あ、あの職場への連絡させてもらえませんか?…………休みにはしますので」
「職場だけ?………休暇届けなら病院の看護師から連絡させました。お見舞いに来られても、意識不明で面会謝絶と伝えさせました。なので、ご安心を………検査結果次第で、直ぐにスマホも返し、職場に不審がられる事なくお返ししますよ」
「…………もし………もしですよ?血縁者だったら?」
高嶺が珈琲を一口飲み始めた時に、櫻子は聞いた。しかし、高嶺は櫻子の怯えた表情とは裏腹に、笑顔を見せる。
「血縁者だったら?嬉しいですね………血縁者だったら、どんなに親父が喜ぶか………貴女に別に極道を継げとは親父は言わないでしょう………孫として可愛がると思うし、娘である雪お嬢に龍虎会を継げとも言わなかった人だったですしね………だが、結婚相手には口を出すとは思いますよ?………それが極道が相手であれば」
「…………貴方が動いているのは、ただ会長の為?」
「……………それもあります」
「も?」
「複雑なんですよ」
カチャ。
「頭!!」
「……………騒々しいな」
「……………………」
部下が、高嶺に耳打ちする。すると顔色が変わった。
「あっちは確信があるのか?」
「分かりません………ですが…………」
「櫻子さん、マンションから出ないように……部下が居ますから逃げられませんが、寝室に鍵が着いています。内側から掛けて、自分の身を守って下さい。ベランダに出ても良いですが、ベランダには部下は居ますから」
「あ、じゃあ………食器は洗ってから部屋に戻ります」
流石に、高嶺以外の男とは話していないので、警戒心は解けない櫻子。慌しく出て行った高嶺。何があったのか聞きたかったが、部下も教えてはくれなかった。
夜遅く帰って来た高嶺。食事は作っておいたのだが、食べるかどうか分からず、部下と一緒に先に済ました櫻子。
「おかえりなさい」
「……………あ……ただいま……」
「一応、食事は作ってはありますけど、食べますか?温め直しますけど」
疲れた様子の高嶺に櫻子は声を掛ける。何故かその一言でホッと一息着けた様だ。
「戴きます………そういえば朝から食べ損ねましたから………」
「勝手に冷蔵庫漁ってしまいましたが、ビーフシチュー作ったんです………好き嫌い分からなかったし」
「…………助かりますよ」
「マンションの部下の方達はもう、召し上がってますから」
「……………貴女は強い人ですね……」
「え?」
「見知らぬ人間に囲まれているのに、行動も制限されているのに、今ある状況で自分が出来る事をしている………普通なら怖くて部屋から出ても来ないだろうし、暴れるだろうし、泣き叫ぶと思うんですけどね………」
「…………何かしていないと、私だって怖いですから……」
櫻子も一般社会に生きてきた人間だ。極道とは全く無縁に過ごしてきた人間に、怖くない筈は無い。
「…………着替えてきますから」
「は、はい」
リビングと寝室ではない部屋に入り、高嶺は着替えに行く。櫻子はそのままキッチンでシチューを温め直した。
櫻子はその後も、この生活を受け入れつつ、1週間程経った頃、DNA鑑定の結果が持ち込まれる。
「頭、結果が」
「………坂本か……来たか………親父には知らせたか?」
「いえ、まだ………頭から話た方が良いかと思いまして………そして、こちらの結果も」
「…………」
坂本と言われた高嶺の部下から、後から受け取った封筒を無言で開ける。暫く読み進めていた高嶺。すると、ホッとした表情を見せた。
「どっちでした?」
「……………良かった……俺と兄妹ではなかった……」
誰と高嶺が血縁なのかを調べたか分からない櫻子。そして、重要な方を開封した高嶺に固唾を呑んで見守る櫻子。
「…………電話」
「は、はい」
「……………あ、あの……」
「…………どうぞ……読まれた方が納得されるかと」
「…………」
高嶺から渡されたファイルを読み始める櫻子の目の前で、高嶺は電話を掛けた。
「親父………櫻子さんは雪お嬢の娘です」
「!!」
読むのと同時に目と耳で、事実を知る。
「念の為、俺とは兄妹の可能性は無いです…………えぇ、調べました……親父が死んで4年後に産まれてますけど、俺の親父と雪お嬢の肉体関係で出来た娘では無いです…………はい………本当にいいんですね?………えぇ、勿論その後は………はい………失礼します」
「……………わ………私のお母さんが……分かった………」
「………何故貴女が孤児院に預けられていたのかは、これで調べやすくなる………雪お嬢を……櫻子お嬢のお母様は探し出しましょう…………坂本、早急だ!探せ!」
「ま、待って下さい!!」
高嶺の命令で動き出す部下達。櫻子は怯えている。
「お嬢、何故です?母親に会いたくない、と?」
「……………怖いんです!孤児院で迎えに来てくれるのをいつまでも待っていました………でも産まれて来なかった方が良かった存在だったら如何するんですか!?」
「………そんな事は関係ないんですよ、お嬢……30年、親父は雪お嬢の帰りを待っていたんです………諦めてはいましたが、龍虎会に敵対する組の跡取りが、『櫻子』という名の娘と結婚する、と聞きましてね………貴女を調べさせてもらったんですよ………そうしたら、雪お嬢そっくりな貴女を見つけた……」
「………………」
「分かりますか?…………貴女の婚約者、東堂大和………アイツの本名は獅子王大和……獅子王組の跡取りで、両親は健在………孤児ではないんですよ、貴女の婚約者は」
「………………大和……」
櫻子は項垂れた。騙されているのではないか、と過ぎった。そして、大和が孤児院に来た時の事を思い出すが、いつから大和が孤児院に来たのか分からなかった。
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