桜に集う龍と獅子【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
4 / 38

龍の夢

しおりを挟む

 会話も無く夕食を済ますと、そのまま風呂に入れ、と言われてバスルームに押し込まれた櫻子。バスルームにスェットを用意しておくと言われ、男物ではあったがウエスト部分が調節出来る様なラフな物を用意されていた。監禁をされているにも関わらず、玄関と窓に部下は居るが、襲われる事はなかった。

「お先にお風呂ありがとうございます」
「いえ………そこの部屋で寝て下さい。疲れたでしょう」
「………あ、あの………」
「何でしょう?」
「本当に、私………あの人、私の祖父なんですか?」
「…………私はそう思ってますが?」
「………私……両親の記憶無いし……ただ名前だけは『櫻子』とだけ………」
「………寝酒でもしますか?……間違えであって欲しいなら、寝た方が良いと思いますけど?…………本当に貴女が我々が探す人なら、お話します」

 警告が鳴る。櫻子の中で、は聞くな、と言われている気がした。

「…………いえ……聞かせて下さい………関わってはいけないですよね………違っていたら」
「……………いい判断です……保育士さんなら、注意深く子供達を相手しなければならない………子供達だけでなく、注意深く見ていらっしゃる……それで
「おやすみなさい………お部屋、お借りします」
「…………おやすみなさい」

 高嶺は、ドアが閉まるのを確認すると、深いため息が出る。部下達の分も作っていたパスタはもう既に食べ終わっていて、片付け終わったキッチンから、酒を出した。

「お嬢のアパートの様子は?」
「…………が、躍起になって探しています」
「…………結婚式等挙げようとしやがって……龍虎会に恩でも売るつもりか?」
「…………かもしれませんね」
「若頭の俺の親父を殺し、雪お嬢も手に掛けてか?」
「…………頭……」

 高嶺はブランデーグラスを握り締める。パリンッとグラスが割れ、ブランデーと血が床に溢れた。

「頭、手当てを」
「………あぁ………久々にやっちまったな……頼む」

 カチャ。

「今、何か割れた音が………」

 櫻子も気になったのか部屋からリビングに来る。

「大丈夫です、グラスで少し手を切られただけですから………貴女はおやすみ下さい」

 部下が高嶺を手当てしていた。

「手を?大変!手伝います」
「大丈夫ですよ、よくやりますから」
「で、でも……」
「本当に………」
「……………っ………はい……失礼します」

 高嶺が殺気を纏わすと、櫻子には気付かれるようだ。

「………血かな?………極道の両親を持った血が分かるかもしれんな……」
「俺は、雪お嬢の事は知りませんが、そんなに似ていらっしゃるんで?」
「似ているな………父親も、俺の記憶違いでなければ、知っている男だ」
「その父親、てのは龍虎会の奴だったんで?」
「…………多分な」

          ♤♤♤♤♤

『桜!桜!………ねぇ、いい加減機嫌直してよ!!悪かったって反省してるでしょ!』
『反省している顔じゃねぇっす!お嬢』
『だって、あまりにも桜也が可愛くて、連れ回しただけじゃない!』
『いいですか!お嬢!貴女は龍虎会の跡取り!桜也は、俺の息子!まだガキだが、桜也はお嬢の壁になるんです!!貴女が壁になったんですよ!!抗争中だって言ってるのに、ふらふらと出歩いて!学校にさえ、行かせんのも怖いんですからね!!』
『桜太は心配症ねぇ………桜也、お父さん小姑だと思わない?』

 ガバッ!!

「ゆ、夢か………」

 高嶺が幼かった時に父親と雪とのやり取りを記憶した夢。高嶺がまだ5歳ぐらいの時の夢だ。年上の高校生ぐらいだった跡取り娘の雪のボディーガードだった高嶺の父、桜太。極道の父を嫌い、母は息子を産んで家を出た。まだ父親は20代前半だった筈。そんな父親に恋心を募らせていたのが雪だった。だが当時、抗争が激化し、高嶺の父親は亡くなる。雪はその後、極道を避け家を出て行った。

「お嬢…………貴女は今何処に………」

 高嶺には気になる事だった。雪と高嶺との関係や雪は子供を産んでいたのか、と。26歳の櫻子。雪は高校を中退し家を出たのが30年は前。生きていたら雪は47歳。産んでいるなら21歳だろう。なら高校中退した17歳から4年、何があったのかは分からない。四方八方探してみたが見つからなかったのだ。何処に居るのか分からないまま、30年は長い。
 ソファで眠っていた高嶺は、起きてカーテンを開ける。ネオンがまだ煌々と着いている街中で想いを馳せた高嶺だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】平凡OL(β)ですが、同期の末っ子御曹司(α)に溺愛されています

神無月りく
恋愛
日本外食産業の一翼を担う『川嶋フーズ』で秘書としてOL黒田鞠花(くろだまりか)は、同期で社長令息の川嶋隼人(川嶋はやと)に入社以来恋に似た憧れを抱いていた。 しかし、そもそもの身分が違う上に自分はβで、彼はα。 ただの同期以上の関係になれないまま、五年の月日が流れた。 ある日、Ωのヒートに巻き込まれて発情した彼を介抱するため一夜を共にし、それがきっかけで両思いだったことが発覚して交際がスタート。 意外に庶民的でたまに意地悪なスパダリ彼氏に溺愛され、順調にデートを重ねて幸せな日々を送っていた鞠花だったが、自分の母親からαの交際を反対されたり、彼の運命の番を自称するΩ令嬢が登場したりと、恋路を妨げる波乱に見舞われるように…… ※ムーンライトノベルズ(小説家になろう)様で同一作品を連載中ですが、こちらが若干先行公開となっております。 ※一応R18シーンには☆マークがついています。 *毎週土日および祝日の不定時に更新予定(ただし、1月1日~5日までは連日更新)。

俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る

ラヴ KAZU
恋愛
ある日、まゆは父親からお見合いを進められる。 義兄を慕ってきたまゆはお見合いを阻止すべく、車に引かれそうになったところを助けてくれた、祐志に恋人の振りを頼む。 そこではじめてを経験する。 まゆは三十六年間、男性経験がなかった。 実は祐志は父親から許嫁の存在を伝えられていた。 深海まゆ、一夜を共にした女性だった。 それからまゆの身が危険にさらされる。 「まゆ、お前は俺が守る」 偽りの恋人のはずが、まゆは祐志に惹かれていく。 祐志はまゆを守り切れるのか。 そして、まゆの目の前に現れた工藤飛鳥。 借金の取り立てをする工藤組若頭。 「俺の女になれ」 工藤の言葉に首を縦に振るも、過去のトラウマから身体を重ねることが出来ない。 そんなまゆに一目惚れをした工藤飛鳥。 そして、まゆも徐々に工藤の優しさに惹かれ始める。 果たして、この恋のトライアングルはどうなるのか。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。

楠ノ木雫
恋愛
 蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

龍の腕に咲く華

沙夜
恋愛
どうして私ばかり、いつも変な人に絡まれるんだろう。 そんな毎日から抜け出したくて貼った、たった一枚のタトゥーシール。それが、本物の獣を呼び寄せてしまった。 彼の名前は、檜山湊。極道の若頭。 恐怖から始まったのは、200万円の借金のカタとして課せられた「添い寝」という奇妙な契約。 支配的なのに、時折見せる不器用な優しさ。恐怖と安らぎの間で揺れ動く心。これはただの気まぐれか、それとも――。 一度は逃げ出したはずの豪華な鳥籠へ、なぜ私は再び戻ろうとするのか。 偽りの強さを捨てた少女が、自らの意志で愛に生きる覚悟を決めるまでの、危険で甘いラブストーリー。

処理中です...