桜に集う龍と獅子【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
20 / 38

獅子王の策士は

しおりを挟む

 夕方になりマンションに帰宅した桜也。マンション周辺やマンション内には獅子王の部下は居らず、雪と蒼太と居たホテルでもそれらしい者が居らず安堵した。

「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」

 疲れた時に櫻子の笑顔で迎えてもらうのはホッとする。部下達に囲まれていなければ安心出来なかった。

「お前達、もう今日はいいぞ」
「はい」
「お疲れ様でした」
「お嬢、失礼します」
「…………ははは……お嬢は止めて欲しい」

 夕飯を作っていたのだろう、エプロン姿が唆られる。

「いいにおいだ……何作ってた?」
「生姜焼きと卵豆腐のスープ作ってます」
「美味そうだ………着替えてくる」
「………はい」

 新婚夫婦の様な会話に、桜也が寝室に入る後ろ姿を見送ると、櫻子も照れ臭くなってくる。従兄だと分かったが、このままこの関係を続けて良いのか分からない。閉じたドアを眺めていると、直ぐにドアが開き、慌てて準備を再開する。

「クスッ………何やってんだ」
「…………べ、別に」
「寂しかったのか?今日一日居なくて」

 再びキッチンに入る桜也に背後から抱き着かれる櫻子。

「お、桜也!………準備出来ないんで、離れて下さい」
「…………敬語止めたら?……名前呼び捨てなのに、気持ち悪い」
「だ、だって……年上ですし……名前だって本当は『さん』付けでもいいと思ってますし」
「……………ふ~ん……なら、今日あった事話すのやめよ」
「今日、おじいさんに会いに行ったんですよね、昨日の報告」
「………あぁ、それと…………敬語だから言わない」

 桜也は敬語の会話を止めさせようとエプロンと服の間に手を滑り込ませ、ブラウスのボタンを外していく。

「お、桜也!!ご飯冷めちゃいます!!」
「こっち先に食べたくなった」
「わ、私はお腹空いてます!!」
「…………俺も腹減った………櫻を食いたい」
「私、食べ物じゃないですから!」

 敬語を崩さない櫻子。その櫻子のブラのホック迄外し、焦らすように蕾周辺だけに触れる。

「んっ………桜………也……」
「敬語無しに出来たら止める」
「………け……い……語無くし……たら、今日………の事話す……て……」
「…………あぁ、そうだった……飯食おう」

 櫻子が慌てて、ブラを着け直し、ブラウスのボタンを留めると、桜也はテーブルに料理を運び終わっていた。

「…………」

 そのさりげなさが櫻子には嬉しい。

「今日はもう出掛けませんか?……アルコール飲みます?」

 冷蔵庫の方へ、流し台から移動しようと、足を踏み出すと、下着がにちゃっ、とした感触がする。

「………っ」
「あぁ、ビー………櫻子、濡れたか?」
「!!」
「じゃぁ、さっさと食うぞ」
「!!………話たい事あったんじゃないんですか!!」
「…………話したいがいつまでも敬語なんでな」
「……………」

 ビールを冷蔵庫から出し、グラスとビールを桜也の前に出す櫻子。

「はい、ビール!飲んで!」
「…………プッ……」

 少々乱暴だが、ビールとビールグラスを置き、ダイニングテーブルに座った櫻子。

「いただきます」
「いただきます」

 食べ始めると桜也はポツポツと、今日の事を話す。

「え?お父さんとお母さんが?………連絡あったんですか?警察から」
「………らしいな」
「……………あ、会えるんですか?」
「連絡先は教えてもらったし、近々都合を付ける………獅子王が絡んできそうだしな」
「………ですよ…………ね………っ……やっ!」
「…………あぁ、やっぱり濡れてたな」
「あ、足で…………止め………」

 櫻子の足の間に、桜也は足を滑り込ませていた。

「そうだ、櫻…………弟妹も居るらしい」
「………え?………っんっ……」
「名前は、蓮24歳、菫21歳だと」
「………蓮………菫……」
「会ってはいないがな………櫻の事は話しているらしい」
「早く………会いたい……」
「早く入れてぇ…………てっ!」
「片付けしてから!!」

 桜也の足を抓り、椅子を引いた櫻子。燻ってしまった櫻子は、その後もデザートと称し、桜也に食べられたのは言うまでもない。

          ♤♤♤♤♤

「こっちこっち!!菫」
「あ!大和!!お待たせ!」

 とある居酒屋。大ジョッキに入るビールが半分ぐらい減ったテーブルに、櫻子の妹、菫が待ち合わせなのかそこに座る。………そう、櫻子の元恋人。

「今日、珍しく遅刻じゃん、先飲んでたよ」
「うん、ごめんなさい………ちょっと家がゴタついていて」
「何かあった?」
「…………びっくりしないでよ?」
「………うん……」

 菫は、キョロキョロと辺りを見回し、小声で大和に話す。

「私ね………生き別れたお姉ちゃんが居るの」
「……………うん」
「お姉ちゃんが見つかった、て警察から連絡あって………もうお父さんもお母さんも大騒ぎ!」
「………マジで?……生き別れ、て菫は会った事あるのか?」
「ない」
「…………それは、生き別れ、て言わねぇだろ」
「あ、そっか………私産まれる前だもん」

 居酒屋で誰もこの2人を不審がらない。ごく一般のカップルに見える。

「その姉さん、て菫からすりゃ赤の他人じゃね?」
「何で?お父さんとお母さんの間に産まれたから赤の他人じゃないじゃない」
「一緒に生活してないんだぞ?どれだけ迷惑な話だよ」
「…………でもお姉ちゃんかわいそうなんだよ……誘拐されてずっと行方不明だったんだから」
「………で?何で見つかったんだ?」
「少し前に銃撃事件あったじゃない、被害に遭ったレストランにお客で来ていたんだって………弁護士と一緒に来てて、弁護士からお姉ちゃんの母親を探して欲しい、て言われて、て言ってた」
「弁護士……ねぇ……」
「そういえば、お父さんもお母さんも弁護士さんの名前見て驚いてたわ」
「何て名前?」
「…………確かねぇ………纐纈………桜也?」
「……纐纈…………桜也?…………桜也……あぁ………アイツか……」
「大和?如何かした?」
「…………ん?いや何でもない」

 大和は何処までの事を望むのか、まだ獅子王組以外の者は知る由もない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼なじみとルームシェアする事になりました。

メロン箱
恋愛
幼なじみの真夜。 世間一般的な目で見るとしっかりした美少女。 幼なじみの俺から見ると天然な妹的な存在。 そんな2人が地元から離れた大学に進学しルームシェアを行う事に。 母親同士も親友。 2人をくっ付けたい親 そんな気持ちは無い2人 天然なヒロインと鈍感系の主人公 無意識にカップルになっている2人の物語 ※他の所でも公開しています!

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

君に恋していいですか?

櫻井音衣
恋愛
卯月 薫、30歳。 仕事の出来すぎる女。 大食いで大酒飲みでヘビースモーカー。 女としての自信、全くなし。 過去の社内恋愛の苦い経験から、 もう二度と恋愛はしないと決めている。 そんな薫に近付く、同期の笠松 志信。 志信に惹かれて行く気持ちを否定して 『同期以上の事は期待しないで』と 志信を突き放す薫の前に、 かつての恋人・浩樹が現れて……。 こんな社内恋愛は、アリですか?

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25) 「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」 ◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20) 「京都案内しようか?今どこ?」 再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。 「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」 「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

処理中です...