偽物の僕は本物にはなれない。

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大学に着いた頃奏多さんから連絡がきた。
それは今日ご飯にでも行かないか、という誘いで…。

「…まあ、特に用事もないし…」

いいですよ。と返せばじゃあ19時にそっちに迎えに行くよときて僕は目を見張る。…そっちって…大学に!?
流石にそれは…と思ったが、奏多さんの帰り道がこの大学の近くらしくその方が都合がいいという事で僕は了承せざるを得なかった。
結構強引だなぁと思いつつ、ふふっと小さく笑みをこぼした時ガシッと後ろから肩に手を回され「よっ!」と明るい声をかけられた。

「…彼方か。おはよ」
「なぁんでそんなに不満そうなんだよ~」
「そんな顔してないってば」
「あ、それよりさ!今日講義終わったら遊びに行かねー?実はさ…」
「ご、ごめん!今日は用事があるから、無理だ」

ゴソゴソと話しながら何かを探っている彼方を遮って断ればピタッと彼方の動きが止まった。…う、怒っちゃったかな。でも奏多さんとの約束を破る訳にはいかない。奏多さんとの約束が先だし。

「…用事って、何…昨日もそう言って帰ったけど」
「…?どうしたんだ…?別に、僕が何してても彼方には関係ないだろ?なんか、変だぞ」
「変って、関係ないってなんだよ!おれっ俺はお前を心配して…!」
「心配って、何に?…僕は彼方に心配されるような事してないよ」

なのにどうしてそんなに突っかかってくるんだ?
親友が自分を優先してくれないから?
じゃあ早くあの人を自分の側に置けばいいじゃないか。

本当に意味が分からなくて訝し気に彼方を見つめたらギロリと睨まれた。

「…もういい」
「え、ちょ、彼方…!?……なんなんだよ…意味わかんない…」

彼方は何に対して怒ってるの?
…気にしてても意味ないか。講義室に行こう。
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