再婚相手は溺愛消防士!?二度と結婚しないと決めてたのに、どうしてこんなことに!

すずなり。

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散策。

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ーーーーー


翌朝、朝食を済ませた私は真那と一緒に家を出た。
手を繋ぎながら、町の中を散策していく。

「あ、ほら真那?田んぼに稲が植わってるよ?大きくなったらお米になるんだよー?」
「おこめ?」
「真那のご飯だね。」
「!!・・ごはん!」

目の前に広がる景色は都会では見ることができない景色。
私自身も久しぶりな光景に、心が安らいでいくのを感じる。

「真那?喉、しんどくない?」

普段からずっと咳込んでるわけではないけど、一日に数回は咳をする姿を見てきていた。
でも昨日からこの町の空気を吸ってる真那は咳をしてないように思ったのだ。

「へーき!」
「平気?本当?」
「うん!」

ご機嫌に歩いて行く真那は自然たっぷりの景色が面白いのか、小さな水の流れを見たり蝶々を見たりするのに一生懸命だった。
そんな姿は都会では見れる姿ではなく、ここに決めてよかったかもと思わせてくれる。

「お弁当でも作って来ればよかったかな?まぁ、今度でもいっか。」

また時間が取れるときにでもお弁当を持って散歩しようと思ったとき、一つの大きな建物が目に入って来た。
四角い造りから考えて、あれは・・・消防署だ。

「あ・・あそこが昨日の・・」

教えてもらった通り沿いの消防署はとても目立っていた。
近くまで行くと消防車や救急車が並んでるのが見える。

「ふぁ・・!しょうごうしゃ!!」

大きくて真っ赤な消防車を始めて間近で見た真那は、興奮気味に駆けだしてしまった。

「あっ・・!真那待って!」

消防署の敷地内に入ってしまった真那を追いかけていくと、建物の中からオレンジの服を着た人が出てくるのが見えた。
あれは・・・深田さんだ。

「あれ?三井さん?どうしました?」
「あ・・・すみません、娘が消防車に興奮してしまって・・・」
「しょうごうしゃー!」
「真那、消防車ね?」

消防車から少し距離をあけて見てる真那は両手をぎゅっと握りしめて興奮状態。
お邪魔にならないうちに消防署から出たいところだけど、真那が言うことを聞いてくれるかが不安だ。
ここで機嫌を損ねると、抱っこで帰らないといけないから・・・。

「真那、ほら、お邪魔になるからお散歩の続きしよ?いつでも消防車は見れるし、ね?」
「や!」
「消防士さんたち、お仕事できないよ?」
「や!」
「真那ー・・・。」

抱っこしながら出ようかと思ったとき、深田さんが真那に向かって手を伸ばした。

「真那ちゃん、消防車、乗ってみる?」
「!!」

その言葉を聞いた真那は目を輝かせながら深田さんを見たものの、すぐに私の後ろに隠れてしまった。

「あー・・すみません・・・。」
「嫌われちゃったかな?うちの子は男の子だからちょっと扱いがわからないなぁ・・・」
「男の子・・・!」
「そう。三人いるんだけどやんちゃ盛りだよ。」
「三人も!?すごい・・・」

一人でいっぱいいっぱいなのに三人もいる家なんて想像がつかなかった。
食費もかかりそうだけど、賑やかそうで羨ましくも思う。

「おいくつなんですか?」

二つずつ違うと考えても結構大きいお子さんがいそうだ。
でも・・・私の予想とは全く違う答えが深田さんの口から返って来た。

「三つ子なんだよ。今年五歳。」
「・・・三つ子!?え!?」
「驚くでしょー。俺より奥さんの方が大変なんだけどさ、まぁ・・楽しいよ。」

そう言うと深田さんは消防署の右側を指さしだした。

「この向こう、ずーっと言ったところにカフェがあるんだけど知ってる?」
「いえ・・・」
「そのカフェ、うちの奥さんがしてるからさ、暇なときにランチでも行って?味は保証する。」
「経営者なんですか!?三人もお子さんいるのにすごい・・・。」
「子供たちもカフェにいるから真那ちゃんの遊び相手になるかもよ?大人ばっかりの中じゃかわいそうだしね。」

そう言われ、私はふと真那のこれからを考えた。
小学校からは同い年の子供たちの中に入るとしても、それまでの間は大人の中で育つことになる。
私と二人っきりで過ごすことが殆どな中で社会性が身につくかが不安だ。

「そう・・ですね。近いうちに行きたいですね。」
「おっけ、伝えとく。・・・真那ちゃん?消防車、乗らなくていいのかな?」

もう一度手を出して身を屈めた深田さん。
真那は首を横に振りまくって拒否していた。

「えー・・俺、子供ウケいい方なんだけど・・・」

深田さんがそう言ったとき、誰かが消防署の敷地に入って来たのが見えた。
大きな段ボールを抱えた・・・ご年配の女性だ。

「雄大くーん!ほら、うちで取れた野菜たち、みんなで持って帰りなー!」

その言葉に深田さんはそのご年配の方に駆け寄っていった。

「わ・・!こんなにいいんですか?」
「もちろん。いつも手伝ってもらって助かるよ。」
「あまり出動もないですし、手伝うことくらいなんてことないですよ。」

楽しそうに話される会話を聞きながら消防署を後にしようと思ったとき、そのご年配の女性がふと私の存在に気がついた。

「おや?そちらの方は?」

そう言われ、私は軽く頭を下げた。

「昨日越してきた三井と申します。娘の真那と二人なのですが・・・よろしくお願いします。」

旦那がいないことに変に勘繰りをいれられないかと考える私だったけど、このご年配の人はニコッと笑った。

「そうかいそうかい!新しい人かい!どれ、真那ちゃんはばーちゃんの野菜、食べてくれるかな?」

そう言って女性は段ボールの中から玉ねぎを一つ取り出して真那に差し出した。

「なまねぎ!」
「ははっ、『たまねぎ』だよ。これ、好きかい?」
「すき!すーぷ!」

スライスした玉ねぎをあめ色になるまで炒めてから煮込むスープが大好きな真那。
あれは面倒くさい上に玉ねぎが大量にいるから大変なのだ。

「スープ?オニオンスープかい?」

真那の言葉にメニューにピンときた女性が私に聞いて来た。

「あー・・・はい。前に作ってあげたらすごく好みだったみたいで・・・」
「あれは一つじゃ無理だろう?」

そう言った瞬間、消防署の敷地にぞろぞろと人が入ってくるのが見えた。
みんな年配の方で、手に段ボールを持ってる。

「おや、ちょうどよかったね。」

そう笑いながらいう女性は手を挙げた。

「おーい!新しい移住者に分けてやってくれよ!」

女性の声を聞いた人たちはぞろぞろ集まってきて、私と深田さんをぐるっと囲んでしまった。

「おやおや珍しいねぇ、こんな田舎町に若い人なんて。」
「まぁ!かわいい子だこと!お名前は?」
「どこに越してきたんだい?あの上の空き家かい?それとも川の側の家かい?」
「えーっと・・・」

一体何から答えたらいいのかわからずに困ってると、深田さんがパンパンっ!・・と、手を叩いた。

「はいはい!みなさん、俺が説明しますから!」

そう言って私と真那のことを紹介し始めた深田さん。
こんな大勢の前での紹介なんて恥ずかしいとも思ったけど、一度にご挨拶できるのは利点だった。

「わからないことも多いのですが、よろしくお願いします。」

真那と一緒に頭を下げた私はこの後みなさんからたくさん野菜を頂いてしまった。
持ちきれないわけではなかったけど、玉ねぎにじゃがいもにと重たいものが多く、どうやって持って帰ろうか悩んでしまう。

「うーん・・・真那、一人で歩いてくれる?一回おうちに帰ろうか。」

皆さんが帰ったあとの空いた段ボールにもらった野菜を詰めて立ち上がると、真那の手を繋ぐ余裕はなかった。
車通りはない町だから通行面の心配はないけど、真那が田んぼに落ちてしまわないかが心配だ。

「あ、誰か呼んでくるからちょっと待ってて?」
「へ・・・?」

走って消防署の中に行ってしまった深田さんの後姿を見てると、中から誰かを連れて戻って来るのが見えた。

「ちょうど長谷川が空いてたから連れて行っていいよー。荷物持ちにさせて?」
「へ!?」
「じゃ、長谷川、三井さんを家までよろしくなー。」
「リョーカイです。」

長谷川さんは私が持っていた段ボールをひょいと取り上げた。

「溝は危ないんで、手を握ってあげてくださいね。」
「・・・あ・・はい・・・。」
「行きましょう。」

スタスタと歩いて行ってしまう長谷川さんの背中を追いかけるようにして、私は真那の手を引いて歩き始めたのだった。



まさかこれがきっかけであんなことになるなんて、この時の私は思っても見ないのだった。











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