再婚相手は溺愛消防士!?二度と結婚しないと決めてたのに、どうしてこんなことに!

すずなり。

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真那の発作。

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ーーーーー



雪華さんのカフェにお邪魔させていただいた翌日。
朝8時に目を覚ました真那の頬が何だか赤く見えた私は、真那を抱っこしながら熱を測っていた。
触れてる体は熱く、なんだか息も荒い。

「真那?大丈夫?」
「ごほっ・・!ごほっ・・!」
「あー・・・喘息出ちゃったかな?」

ピピっと鳴った体温計の表示窓には37度2分の文字。
熱はそんなに高くないものの、このあと喘息が酷くなったら大変なことになる。

「とりあえず深田さんに連絡して病院を・・」

真那をお昼寝用の布団に寝かせ、私は前にもらった電話番号にかけた。

『はい、織浜消防署です。』
「あ・・すみません。三橋といいますが、子供が熱を出してしまって・・・」
『お熱ですか?何度でしょう?』
「37度2分で・・・」
『わかりました、医師に伝えておきます。こちらへは来れそうですか?』
「大丈夫です。抱っこして向かいます。」
『お気をつけて。』

電話の話し方から考えて、深田さんの言っていた通り消防署にお医者さんがいるようだった。

「吐いたらいけないから着替えを一式とビニール袋、あと母子手帳とお薬手帳とタオルと・・・」

私は必要なものを思いつく限りバッグに押し込み、真那を抱きかかえた。
もう10キロは超えてる真那を抱っこするのはキツいけど、熱がある真那はもっとキツい。

「真那?消防署に行くからね?そこに病院の先生がいるから診てもらおうね?」

そう言うと真那は咳込みながら私の服をぎゅっと握った。

「けーたん・・・?ごほっ・・ごほっ・・・!」
「え?・・・あぁ、圭吾さんもきっといるよ?」

圭吾さんのことを随分と気に入ってる真那。
消防署の人だし、懐いてもらうのは助かる。

「いい子で先生に診てもらってね?」

私は戸締りをし、真那を抱っこした状態で歩き始めたのだった。




ーーーーー



「え?真那が熱を出した?」

訓練を終えて署に戻ってくると、事務を担当してる人からそう告げられた。

「えぇ、娘さんが熱を出したみたいで医師に連絡しました。『向かいます』とおっしゃっていたのでそろそろ来ると思いますが・・・。」

その言葉に俺は事務員の記録を見た。
電話があったのは朝8時過ぎだ。

「今の時間は9時。ちょっと遅すぎじゃないか?」

那智の家からここまでは、俺の足で10分ほど。
那智でも15分あったら来れるはずだ。

「どした?長谷川。」

時計を記録を見てると雄大さんが覗き込んできたのだ。
この状況をどう見るか聞きたくて、俺はさっきの事務員の話をそのまま伝えた。

「・・・ちょっと遅いよな。30分はかからないだろ?」
「ですよね・・・。」
「熱があるなら真那ちゃんを抱っこしてるだろうから、もしかしたら途中でぐずって足止め食らってるとかかな。」

足止めをくらってるくらいならまだいい。
最悪なのは『抱っこしていて前が見えない』ことだ。
もしかしたら足を踏み外して溝にハマったり、田んぼに落ちてるかもしれないのだ。

「俺、ちょっと見てきます。」
「了解。俺も念のためにバックボード出しとく。」
「お願いします。」

俺は記録用紙を事務員に返し、そのまま署を出た。
那智の家までの最短ルートを走りながら、辺りも見回していく。
もしかしたら那智と真那がどこかにいるかもしれないから。

「喘息があるって言ってたよな。なら発作か?」

引っ越してきたときに聞いた持病。
那智は無いと言っていたけど、真那は喘息があると言っていたのだ。
もしかしたら熱を引き金に発作が出たのかもしれない。

「咳込んでるだろうから・・・どこかで足止め食らってる?」

そう考えた時、遠くで那智らしき人の姿を見つけた。
道にしゃがみ込んでるようだ。

「見つけた・・!」

近づくにつれてその人が那智であることを確信した俺は叫んだ。

「那智ーっ・・!!」
「!!・・・圭吾さん・・・!」

那智は大きなリュックを背負い、真那を抱いていた。
その真那はぐったりしていて、しゃがみ込む那智に抱かれていたのだ。

「大丈夫か!?」
「真那の熱が上がって来たみたいで・・・連れていきたいんですけど力が抜けちゃってて抱き続けれないんです・・・。」

那智は少しずつ歩いてここまで来たらしく、靴は泥でぐちゃぐちゃになってしまっていた。
しゃがみながらも少しずつ進んできたみたいだ。

「俺が連れていく。那智は歩けるか?」
「そ・・それはもちろん・・・」

那智から真那を受け取り、頭を支えながら抱きかかえた。
小さい真那は燃えるように熱く、熱が高いことが瞬時に窺える。

「行こう。」
「は・・はい・・・!」

真那を抱いて早歩きで歩き出す。
那智は俺の早歩きについてこれないのか、小走り気味になっていた。
今は真那を署に連れて行くのが先決のため、那智を気にしつつも進んでいく。

「大丈夫か!?」
「だっ・・大丈夫ですっ・・!それより真那をお願いします・・・!」
「わかった!ゆっくりでいいから追いかけて来い!」
「はいっ・・・!」

俺と那智の間に少しの距離ができた時、ちょうど前から雄大さんたちが駆けて来るのが見えた。
バックボードを持って追いかけてきてくれたようだ。

「長谷川!どうだった!?」
「真那は状態が悪いです!すぐ医者に・・・!」
「わかった!」

合流した俺たちはすぐに真那をバックボードに乗せて固定した。
そして雄大さんたちに真那を任せ、俺は那智のところに戻る。

「那智!真那は雄大さんたちが連れて行ってくれた!那智も早く・・・」

そう言った時、那智の服の色がおかしいことに気がついた。
履いてるズボンの膝のあたりが・・・色が濃いのだ。

「おまっ・・・!?ケガしてるのか!?」
「あ・・・ちょっと真那の力が抜けた時に落としそうになっちゃって・・・」

一番最初に熱が上がった時に真那の力が抜けて落としそうになり、那智は膝をついて耐えたそうだ。
その時のケガが原因で思うように進めなかったらしい。

「電話してくれたらいいのに・・・!」

そのための消防署であり、レスキューであるのだ。

「あ・・そうですね、ちょっとその考えは浮かばなかったです・・。」
「浮かばなかったって・・・・」

どうして浮かばないのか疑問に思ったけど、今はそんなことを聞いてる場合ではない。
俺は那智に背中を向けて膝をついた。

「ほら、乗れ。」
「へ・・・・?」
「その足じゃ満足に進めないだろう?治療は保護者の許可なく始められない。1秒でも早く真那を楽にしてやりたかったら・・・乗れ。」
「!!」

那智は状況がわかったらしく、俺の肩に手を乗せた。
背中にぴったりくっつく感覚がわかった瞬間、膝裏に手を回して立ち上がる。

「ふぁっ・・・!?」
「走るからな。しっかり捕まってろよ。」
「!?」

俺の言葉に那智は首に手を回してきた。
そして俺は、那智がしっかり掴まってるのを確認して、走り始めたのだった。






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