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雪華の過去。
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ーーーーー
「もー、圭吾さんたちにわがまま言わないでよね、真那。」
消防署まで迎えに行った帰り、真那の手を繋いで歩きながらそう言った私、那智。
消防車に乗せてもらったとのことで、真那は満足げに歩いてる。
「・・・ママ、まなのパパ、どこ?」
上機嫌で歩いていると思ったら突然聞かれ、私は困った。
今まで真那に父親のことを聞かれたことがなかったからだ。
「えっと・・・真那のパパは遠いところにいるの。」
「とおい?」
「うん。もうちょっと真那が大きくなったら、パパが遠いところに行った理由を話すから・・・それまで待っててね?」
「うん・・・。」
納得できたのか納得できていないのかわからないけど、真那はそれ以上聞いてくることはなかった。
3歳児がどこまで理解できるのかはわからないけど、嘘は言いたくない。
嘘を言ってしまうと、どこかで辻褄が合わなくなってしまうから・・・。
(ごめんね、真那・・・。)
自分の選択が間違っていたのかもしれないと思いながら、私と真那は帰宅したのだった。
ーーーーー
その翌週。
幼稚園からもらってきた書類を持って、私と真那は二回目の体験入園にやってきていた。
先週と同じで夫婦で参加されてるところが多く、真那が少ししゅんとしてるのがわかる。
「・・・真那、今日は帰りにカフェに寄る?スクールバスじゃなくて普通のバスに乗ればカフェに寄れるよ?」
そう聞くと真那の顔が急に明るくなり、うれしそうに頷いた。
「いくっ!!」
「ふふ。じゃあ楽しんでおいで。」
「はぁい!」
真那を教室に預け、私は説明会の部屋に向かう。
そこで書類を提出し、今度は入園に必要なものを細かく説明されたのだ。
『水筒はコップタイプのものをご用意下さい。かばんはリュックタイプ以外でお願いします。ハンカチはループリボンが付いているものでーーーー』
もらった資料に細かく書き込みながら、私は説明会を必死に聞いていた。
用意しなくてはいけないものは、あの町では手に入らない。
大きな街に買いにいかないといけないのだ。
(できれば一回で買い物は終わらせたい。買い忘れをしないように、ちゃんとメモしないと・・・。)
真那を連れて何度も買い物に行くのは大変だ。
車があれば話は変わってくるかもしれないけど、ないものはない。
寒くなる前に用意をすべて終わらせてしまおうと思ったのだった。
ーーーーー
「そらくーん!」
体験入園を無事に終えた私と真那は、約束通り雪華さんのカフェにやってきた。
大喜びで三つ子ちゃんのいる部屋に向かった真那を見て、雪華さんが驚いた顔をしている。
「あれ・・・!?今日、スクールバスじゃなかった!?」
「あー・・・真那が『空くんに会いたい』っていうので、帰りの便はキャンセルしたんです。で、普通のバスに乗って帰ってきました。」
「!!」
私の言葉に、雪華さんは慌ててスマホを取り出して電話をかけ始めた。
(?)
一体どこにかけているのかと思ったそのとき・・・
「あ、雄大さん?那智さんと真那ちゃん、うちに寄ってくれたからバスは行かないから。・・・うん、わかった。ありがとう。」
その言葉に、私は気づいた。
前回同様、深田さんと圭吾さんが消防署の前で立っているかもしれないことを。
「すっ・・・すみません!勝手な行動をしてしまって・・・・!」
思わず謝ると、雪華さんはきょとんとした顔で私を見ていた。
「あっ・・!違うの!あの人たちが勝手にしてることだから気にしないで?バスが消防署に行かなかった時点でこっちに電話をくれただろうし。」
「すみません・・・。」
「ただ心配してるだけなのよ、那智さん、いい人だし・・・真那ちゃんもかわいいしね。」
「・・・。」
そう言っていただけるのはありがたいことだけど、申し訳ない気持ちがあった。
かといって、すべてを連絡してどこかにいくのもどうかと思い、頭を悩ませる。
「ふふ、飲み物は紅茶でいい?私も休憩するし。」
「あっ・・・、お願いします。」
「はーい、座っててねー。」
私は子供たちが見えるように、三つ子ちゃんたちの部屋の近くに座った。
そのとき、いつもいる従業員の人の姿が見えないことに気がついたのだ。
「あれ?雪華さん、いつものお団子の女性は今日お休みなんですか?」
少し大きめの声で聞くと、雪華さんは嬉しそうに笑いながら・・・
「今日は弟のユキが帰ってきるから、二人で出かけたの。」
「弟さんがいらしてたんですか!・・・え、でも二人で出かけるって・・・?」
「ふふ、なかなかくっついてくれないんだけどね、今日はいい報告を聞けるかなーって?」
「!!」
その言葉に、私は二人がどんな関係なのかがわかった。
『くっついてくれない』ということは、お互いに想ってはいるけどまだ付き合っていない段階のようだ。
「・・・いいですね、好きな人のことを考える時間があるって。」
そう呟いたとき、雪華さんは紅茶が入ったマグカップをテーブルに置いた。
ティーカップじゃない入れ物で出てきたときは、お代はいらないという証なのだ。
「あ、いつもすみません・・・。ありがとうございます。」
「いいのよー?それより・・・前も聞いたけど再婚する気はないの?那智さん。まだ若いんだし・・・一人で育てるのは大変なときもあるでしょう?」
「それは・・・そうなんですけど・・・。」
たしかに、一人では大変なときもある。
それは主にどっちかの体調不良のときだ。
真那が風邪を引いたりすると、どうして抱っこして連れて行かなければならない。
そうなると荷物を持つことが困難になってしまうのだ。
そして、私の体調が悪くなったときは真那の世話ができない。
食事なんかもちゃんと作れないし、外に食べに行くこともできないのだ。
うつしてしまうかもしれないという心配事もある。
「でも、前の夫は真那のことを見向きもしませんでした。真那ができたきっかけが悪かったのかもしれないですけど、それでもあの人とでは上手くやっていけないと思います。」
「そうね。」
「あの人が・・・雪華さんの旦那さんみたいな人だったら話は違ったかもしれません。もっと真那に関心がある人だったら・・・。」
雪華さんの旦那さんの深田さんは、本当に子煩悩だ。
子供たちのことを大切に想っていて、それでいて雪華さんのことも気にかけてる。
優しくて頼れて・・・二人は理想の夫婦なのだろう。
「あー・・・私、雄大さんと付き合ってるときに一度、行方不明になったことがあるのよ。」
「・・・はい?」
「それもたぶんきっかけなんだろうと思うよ?あの人が私と子供たちを気にかけるのは。」
「え?え?・・・え?」
意味がわからずに困っていると、雪華さんは笑いながら説明を始めた。
「今から・・・そうね、何年前だったかな?私と雄大さんはこの町からだいぶ離れたところに住んでたの。そこでミヤと飲んだくれた帰りに出会ってーーーー」
雪華さんがいう『ミヤ』は、いつもいる従業員の女性で、彼女とは友達であることを話してくれた。
雪華さんは当時、別の男性と付き合っていたそうで、こっぴどく振られたのだとか。
そのあとミヤさんと飲みに行き、帰りに酔い覚ましをしていると深田さんが声をかけてくれたそうな。
「消防署の前のベンチで寝てたところを起こされちゃってー。」
「えぇ!?寝てたんですか!?」
「で、その翌日にね、元カレからもらった指輪を捨てようとしたんだけど・・・むくんじゃって取れなかったの。」
「あー・・・あるあるですね。」
「ふふ。」
お酒の影響でむくんでしまった雪華さんは消防署で指輪を取れることを思い出し、深田さんに頼んだそうだ。
深田さんはそのときに雪華さんを誘ったらしく・・・
「その日に!?」
「もう、超早いでしょ?『別れたんだったら俺と付き合わない?』って言ったんだから、あの人。」
「知り合いだったとか・・・?」
「まさか!前日に初対面よ!」
「えー・・・すごい・・・。」
とりあえずは友達から始めることになった雪華さんと深田さんは、二人ともお酒が好きということでよく食べ歩きや飲み歩きをしていたそうだ。
そして付き合うようになったそうだけど・・・
「・・・私ね、元カレに襲われたの。」
「え・・・?」
「正確には『襲われかけた』っていうほうが正しいんだけど、風邪をひいて、体が動かないときに家に押し入られて・・・ね。」
寸でのところで深田さんがかけつけ、大事にはいたらなかったそうだけど、雪華さんは自分を責めて姿を消したそうだ。
住んでいた家を引き払い、家のものは全て処分するように業者に伝えたのだとか。
「弟がね、海外に住んでたからそこに居候させてもらったの。で、飲食店で働いてお金を貯めたんだけど・・・私、英語とかがさっぱりだめでー・・・」
「あー・・・。」
「弟がこの店の物件を見つけてくれてね?それで帰国したら・・・」
そこまで雪華さんが話したとき、雪華さんの後ろから深田さんが現れた。
そして彼女を背中側からそっと抱きしめたのだ。
「俺がここに転勤してきたってわけ。」
「雄大さん!?いつ来たの!?」
「んー、ちょっと前?」
「嘘・・・音、鳴らなかったんだけど・・・あ!裏口から入ってきたのね?」
「あたり。」
深田さんは椅子を引っ張ってきて、雪華さんの隣に座った。
そして・・・
「俺は雪華が消えたあと、ずっと探してたんだよ。でも何の情報もなくて諦めるべきなのかと思ってたときにここに転勤してきた。まさか雪華がいるなんて思いもしなかったけど。」
「じゃあお二人はここで再会されて、結婚・・・?」
そう聞くと二人はお互いに顔を見合い、笑い始めた。
「もー、圭吾さんたちにわがまま言わないでよね、真那。」
消防署まで迎えに行った帰り、真那の手を繋いで歩きながらそう言った私、那智。
消防車に乗せてもらったとのことで、真那は満足げに歩いてる。
「・・・ママ、まなのパパ、どこ?」
上機嫌で歩いていると思ったら突然聞かれ、私は困った。
今まで真那に父親のことを聞かれたことがなかったからだ。
「えっと・・・真那のパパは遠いところにいるの。」
「とおい?」
「うん。もうちょっと真那が大きくなったら、パパが遠いところに行った理由を話すから・・・それまで待っててね?」
「うん・・・。」
納得できたのか納得できていないのかわからないけど、真那はそれ以上聞いてくることはなかった。
3歳児がどこまで理解できるのかはわからないけど、嘘は言いたくない。
嘘を言ってしまうと、どこかで辻褄が合わなくなってしまうから・・・。
(ごめんね、真那・・・。)
自分の選択が間違っていたのかもしれないと思いながら、私と真那は帰宅したのだった。
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その翌週。
幼稚園からもらってきた書類を持って、私と真那は二回目の体験入園にやってきていた。
先週と同じで夫婦で参加されてるところが多く、真那が少ししゅんとしてるのがわかる。
「・・・真那、今日は帰りにカフェに寄る?スクールバスじゃなくて普通のバスに乗ればカフェに寄れるよ?」
そう聞くと真那の顔が急に明るくなり、うれしそうに頷いた。
「いくっ!!」
「ふふ。じゃあ楽しんでおいで。」
「はぁい!」
真那を教室に預け、私は説明会の部屋に向かう。
そこで書類を提出し、今度は入園に必要なものを細かく説明されたのだ。
『水筒はコップタイプのものをご用意下さい。かばんはリュックタイプ以外でお願いします。ハンカチはループリボンが付いているものでーーーー』
もらった資料に細かく書き込みながら、私は説明会を必死に聞いていた。
用意しなくてはいけないものは、あの町では手に入らない。
大きな街に買いにいかないといけないのだ。
(できれば一回で買い物は終わらせたい。買い忘れをしないように、ちゃんとメモしないと・・・。)
真那を連れて何度も買い物に行くのは大変だ。
車があれば話は変わってくるかもしれないけど、ないものはない。
寒くなる前に用意をすべて終わらせてしまおうと思ったのだった。
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「そらくーん!」
体験入園を無事に終えた私と真那は、約束通り雪華さんのカフェにやってきた。
大喜びで三つ子ちゃんのいる部屋に向かった真那を見て、雪華さんが驚いた顔をしている。
「あれ・・・!?今日、スクールバスじゃなかった!?」
「あー・・・真那が『空くんに会いたい』っていうので、帰りの便はキャンセルしたんです。で、普通のバスに乗って帰ってきました。」
「!!」
私の言葉に、雪華さんは慌ててスマホを取り出して電話をかけ始めた。
(?)
一体どこにかけているのかと思ったそのとき・・・
「あ、雄大さん?那智さんと真那ちゃん、うちに寄ってくれたからバスは行かないから。・・・うん、わかった。ありがとう。」
その言葉に、私は気づいた。
前回同様、深田さんと圭吾さんが消防署の前で立っているかもしれないことを。
「すっ・・・すみません!勝手な行動をしてしまって・・・・!」
思わず謝ると、雪華さんはきょとんとした顔で私を見ていた。
「あっ・・!違うの!あの人たちが勝手にしてることだから気にしないで?バスが消防署に行かなかった時点でこっちに電話をくれただろうし。」
「すみません・・・。」
「ただ心配してるだけなのよ、那智さん、いい人だし・・・真那ちゃんもかわいいしね。」
「・・・。」
そう言っていただけるのはありがたいことだけど、申し訳ない気持ちがあった。
かといって、すべてを連絡してどこかにいくのもどうかと思い、頭を悩ませる。
「ふふ、飲み物は紅茶でいい?私も休憩するし。」
「あっ・・・、お願いします。」
「はーい、座っててねー。」
私は子供たちが見えるように、三つ子ちゃんたちの部屋の近くに座った。
そのとき、いつもいる従業員の人の姿が見えないことに気がついたのだ。
「あれ?雪華さん、いつものお団子の女性は今日お休みなんですか?」
少し大きめの声で聞くと、雪華さんは嬉しそうに笑いながら・・・
「今日は弟のユキが帰ってきるから、二人で出かけたの。」
「弟さんがいらしてたんですか!・・・え、でも二人で出かけるって・・・?」
「ふふ、なかなかくっついてくれないんだけどね、今日はいい報告を聞けるかなーって?」
「!!」
その言葉に、私は二人がどんな関係なのかがわかった。
『くっついてくれない』ということは、お互いに想ってはいるけどまだ付き合っていない段階のようだ。
「・・・いいですね、好きな人のことを考える時間があるって。」
そう呟いたとき、雪華さんは紅茶が入ったマグカップをテーブルに置いた。
ティーカップじゃない入れ物で出てきたときは、お代はいらないという証なのだ。
「あ、いつもすみません・・・。ありがとうございます。」
「いいのよー?それより・・・前も聞いたけど再婚する気はないの?那智さん。まだ若いんだし・・・一人で育てるのは大変なときもあるでしょう?」
「それは・・・そうなんですけど・・・。」
たしかに、一人では大変なときもある。
それは主にどっちかの体調不良のときだ。
真那が風邪を引いたりすると、どうして抱っこして連れて行かなければならない。
そうなると荷物を持つことが困難になってしまうのだ。
そして、私の体調が悪くなったときは真那の世話ができない。
食事なんかもちゃんと作れないし、外に食べに行くこともできないのだ。
うつしてしまうかもしれないという心配事もある。
「でも、前の夫は真那のことを見向きもしませんでした。真那ができたきっかけが悪かったのかもしれないですけど、それでもあの人とでは上手くやっていけないと思います。」
「そうね。」
「あの人が・・・雪華さんの旦那さんみたいな人だったら話は違ったかもしれません。もっと真那に関心がある人だったら・・・。」
雪華さんの旦那さんの深田さんは、本当に子煩悩だ。
子供たちのことを大切に想っていて、それでいて雪華さんのことも気にかけてる。
優しくて頼れて・・・二人は理想の夫婦なのだろう。
「あー・・・私、雄大さんと付き合ってるときに一度、行方不明になったことがあるのよ。」
「・・・はい?」
「それもたぶんきっかけなんだろうと思うよ?あの人が私と子供たちを気にかけるのは。」
「え?え?・・・え?」
意味がわからずに困っていると、雪華さんは笑いながら説明を始めた。
「今から・・・そうね、何年前だったかな?私と雄大さんはこの町からだいぶ離れたところに住んでたの。そこでミヤと飲んだくれた帰りに出会ってーーーー」
雪華さんがいう『ミヤ』は、いつもいる従業員の女性で、彼女とは友達であることを話してくれた。
雪華さんは当時、別の男性と付き合っていたそうで、こっぴどく振られたのだとか。
そのあとミヤさんと飲みに行き、帰りに酔い覚ましをしていると深田さんが声をかけてくれたそうな。
「消防署の前のベンチで寝てたところを起こされちゃってー。」
「えぇ!?寝てたんですか!?」
「で、その翌日にね、元カレからもらった指輪を捨てようとしたんだけど・・・むくんじゃって取れなかったの。」
「あー・・・あるあるですね。」
「ふふ。」
お酒の影響でむくんでしまった雪華さんは消防署で指輪を取れることを思い出し、深田さんに頼んだそうだ。
深田さんはそのときに雪華さんを誘ったらしく・・・
「その日に!?」
「もう、超早いでしょ?『別れたんだったら俺と付き合わない?』って言ったんだから、あの人。」
「知り合いだったとか・・・?」
「まさか!前日に初対面よ!」
「えー・・・すごい・・・。」
とりあえずは友達から始めることになった雪華さんと深田さんは、二人ともお酒が好きということでよく食べ歩きや飲み歩きをしていたそうだ。
そして付き合うようになったそうだけど・・・
「・・・私ね、元カレに襲われたの。」
「え・・・?」
「正確には『襲われかけた』っていうほうが正しいんだけど、風邪をひいて、体が動かないときに家に押し入られて・・・ね。」
寸でのところで深田さんがかけつけ、大事にはいたらなかったそうだけど、雪華さんは自分を責めて姿を消したそうだ。
住んでいた家を引き払い、家のものは全て処分するように業者に伝えたのだとか。
「弟がね、海外に住んでたからそこに居候させてもらったの。で、飲食店で働いてお金を貯めたんだけど・・・私、英語とかがさっぱりだめでー・・・」
「あー・・・。」
「弟がこの店の物件を見つけてくれてね?それで帰国したら・・・」
そこまで雪華さんが話したとき、雪華さんの後ろから深田さんが現れた。
そして彼女を背中側からそっと抱きしめたのだ。
「俺がここに転勤してきたってわけ。」
「雄大さん!?いつ来たの!?」
「んー、ちょっと前?」
「嘘・・・音、鳴らなかったんだけど・・・あ!裏口から入ってきたのね?」
「あたり。」
深田さんは椅子を引っ張ってきて、雪華さんの隣に座った。
そして・・・
「俺は雪華が消えたあと、ずっと探してたんだよ。でも何の情報もなくて諦めるべきなのかと思ってたときにここに転勤してきた。まさか雪華がいるなんて思いもしなかったけど。」
「じゃあお二人はここで再会されて、結婚・・・?」
そう聞くと二人はお互いに顔を見合い、笑い始めた。
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