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圭吾の決意と那智の危機。
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俺、圭吾が那智にそう話しかけたとき、那智のスマホが鳴った。
「あ・・・ちょっとすみません・・・。」
そう言って那智は電話に出た。
「はい、三井です。・・・はい、はい。・・・え!?それは願ってもない話ですが・・・。あ!じゃあ秋にお願いします!すこし肌寒くなったくらいに・・・。はい!お願いします!失礼いたします。」
何やら上機嫌で電話を切った那智。
いったい何の電話だったのかを聞こうとしたとき、那智が先に口を開いた。
「圭吾さん!聞いてください!」
「お・・おぉ・・・。どした?」
「さっきの電話、デザイナーさんと私を繋いでくれてる会社の人からだったんですけど、今度、デザイナーさんと会いませんか?って声をかけてくださったんです!」
「!!」
「デザイナーさんも私に会いたいとおっしゃっててくださったみたいで・・・その橋渡しを考えてると言ってくれたんです!」
嬉しそうに話す那智を見てると、こっちまで嬉しくなってくる。
この気持ちをずっと感じていたいところだ。
「秋にって言ってたけど・・・あ、もしかして町の入り口にあるコキアが赤くなるから?」
「そうなんです!絶対きれいだと思うので・・・見ていただきたいと思います!」
那智が興奮しすぎたせいか、気がつけば真那が布団から起き上がっていた。
「ふぇ・・・?」
「あ、真那ごめん・・・起こしちゃった?」
俺のほうが真那に近かったことから、真那の傍に行く。
そして抱き上げると、寝ぼけた真那が俺に抱きついてきて・・・
「ぱぱ・・・?」
「---っ!」
この瞬間、俺は考えた。
那智を好きになるということは、真那を受け入れなければならない。
いや、どちらかというと真那が俺を受け入れてくれるかどうかってところだ。
(嬉しいことに、真那は俺に懐いてる。それが救いだな・・・。)
問題は二人に俺を受け入れてもらえなければ、何の意味もないところだ。
(那智は?もう結婚はいいみたいなこと言ってたけど・・・)
そう思って那智を見ると、さっきの電話が忘れられないようでまだスマホを握りしめていた。
それでも視線は真那にあるところが、母親だと思った。
(もっと・・・那智を知りたい。)
俺は那智を見た。
そして・・・
「今、真那が俺を見て『パパ』って呼んだんだけど・・・那智は真那に父親が必要だと思う?」
そう聞いてみた。
すると那智は一瞬驚いた顔をしたあと、困った顔をしたのだ。
「それは・・・わかりません。でも、前の夫には父親になってほしくないですね。」
「再婚を考えたりとかは?」
「いやー・・・前の結婚が散々でしたし、もういいと思ってますよ。」
「そうか。」
那智の考えをしっかりと聞いた俺は、那智に俺を意識させないといけないところから始めようと思ったのだった。
でも、まさかこのあとあんなことになるなんて、このときの俺は思ってもみない。
ーーーーー
真那が俺を『パパ』と呼んだ翌日。
署に一本の電話が入った。
電話の相手は・・・那智だ。
「三井さん、どうされましたかー?お電話、聞こえてますかー?」
那智からかかってきた電話を受け取った通信担当の人がそう言ってるのを、俺と雄大さんが聞いていた。
「三井さん?真那ちゃんが発作かな?」
「昨日は元気そうでしたけど・・・疲れとかからですかね。医師に連絡します。」
俺がその場から離れようとしたとき、雄大さんが俺の肩を掴んだ。
「?」
「ちょっと待て。三井さんなら真那ちゃんの様子をきっちり伝えてくると思うんだけど・・・」
言われてみるとそうだ。
那智なら『熱があるんです!』や『咳が酷くて』の症状をきっちり言うだろう。
「え・・・まさか・・・。」
嫌な予感がしたとき、通信室に大きな声が響き渡った。
『ママぁ!!』
「!!」
俺は通信担当の人のところに行き、マイクを借りた。
さっきの声の主は、真那だ。
「真那!?どうした!?」
『けーたん・・・?』
「そうだ!ママは!?」
『ママ・・・おきない・・ねんねしてる・・。』
「!?」
そのとき、俺の手にあるマイクを雄大さんが取った。
「長谷川!三井さんちまでダッシュ!救急車向かわせるから急げ!!」
「はい!!」
真那との通話を雄大さんに任せ、俺は通信機を手に那智の家に走った。
何もなければそれでいい。
そう思いながら走った。
そして数分の後に那智の家に着いた俺は、玄関の鍵が開いてることを願ってドアノブに手をかけた。
すると、ラッキーなことに扉が開いたのだ。
「那智!?真那!?」
家の中に飛び込むと、ダイニングの床に那智が倒れてるのが見えた。
その横で真那が泣きそうな表情で那智をゆすってる。
「けーたん・・・!」
「真那!ママはどうなった!?」
「うわぁぁぁん・・・!」
「まだ説明できないか・・・。」
俺は那智の傍にいき、呼吸を確認した。
幸いにも息はしてるものの、体から湯気が出そうなくらい周りの空気が熱い。
「雄大さん!雄大さん!!」
俺は通信機を使って署に連絡を入れた。
すると、那智の近くに落ちてあったスマホから雄大さんの声が聞こえてきたのだ。
「長谷川!!様子は!?」
「那智が倒れてます!意識なし!呼吸あり!熱が高いと思います!」
「すぐ救急車向かわせる!真那ちゃん連れて一緒に乗ってくれ!あとで病院に向かうから!」
「はい!」
そのあとすぐに救急車のサイレンが聞こえてきて、那智を乗せた。
俺は真那を抱き、背中をさすりながら一緒に乗り込む。
「熱が高いですね。予測検温ですでに39度回ってますよ。」
「そんなに!?」
「このままだと40度に乗りそうです。持病とかは?」
「ありません。アレルギーも・・・。」
「わかりました。」
病院に向かうまでの道のりで、真那は涙をぼろぼろこぼしながら俺に抱かれていた。
その背中を何度もさすり、少しでも安心できるように声をかける。
「大丈夫だから、大丈夫だからな?真那。」
その言葉を自分にも言い聞かせながら、俺たちは病院に向かったのだった。
「あ・・・ちょっとすみません・・・。」
そう言って那智は電話に出た。
「はい、三井です。・・・はい、はい。・・・え!?それは願ってもない話ですが・・・。あ!じゃあ秋にお願いします!すこし肌寒くなったくらいに・・・。はい!お願いします!失礼いたします。」
何やら上機嫌で電話を切った那智。
いったい何の電話だったのかを聞こうとしたとき、那智が先に口を開いた。
「圭吾さん!聞いてください!」
「お・・おぉ・・・。どした?」
「さっきの電話、デザイナーさんと私を繋いでくれてる会社の人からだったんですけど、今度、デザイナーさんと会いませんか?って声をかけてくださったんです!」
「!!」
「デザイナーさんも私に会いたいとおっしゃっててくださったみたいで・・・その橋渡しを考えてると言ってくれたんです!」
嬉しそうに話す那智を見てると、こっちまで嬉しくなってくる。
この気持ちをずっと感じていたいところだ。
「秋にって言ってたけど・・・あ、もしかして町の入り口にあるコキアが赤くなるから?」
「そうなんです!絶対きれいだと思うので・・・見ていただきたいと思います!」
那智が興奮しすぎたせいか、気がつけば真那が布団から起き上がっていた。
「ふぇ・・・?」
「あ、真那ごめん・・・起こしちゃった?」
俺のほうが真那に近かったことから、真那の傍に行く。
そして抱き上げると、寝ぼけた真那が俺に抱きついてきて・・・
「ぱぱ・・・?」
「---っ!」
この瞬間、俺は考えた。
那智を好きになるということは、真那を受け入れなければならない。
いや、どちらかというと真那が俺を受け入れてくれるかどうかってところだ。
(嬉しいことに、真那は俺に懐いてる。それが救いだな・・・。)
問題は二人に俺を受け入れてもらえなければ、何の意味もないところだ。
(那智は?もう結婚はいいみたいなこと言ってたけど・・・)
そう思って那智を見ると、さっきの電話が忘れられないようでまだスマホを握りしめていた。
それでも視線は真那にあるところが、母親だと思った。
(もっと・・・那智を知りたい。)
俺は那智を見た。
そして・・・
「今、真那が俺を見て『パパ』って呼んだんだけど・・・那智は真那に父親が必要だと思う?」
そう聞いてみた。
すると那智は一瞬驚いた顔をしたあと、困った顔をしたのだ。
「それは・・・わかりません。でも、前の夫には父親になってほしくないですね。」
「再婚を考えたりとかは?」
「いやー・・・前の結婚が散々でしたし、もういいと思ってますよ。」
「そうか。」
那智の考えをしっかりと聞いた俺は、那智に俺を意識させないといけないところから始めようと思ったのだった。
でも、まさかこのあとあんなことになるなんて、このときの俺は思ってもみない。
ーーーーー
真那が俺を『パパ』と呼んだ翌日。
署に一本の電話が入った。
電話の相手は・・・那智だ。
「三井さん、どうされましたかー?お電話、聞こえてますかー?」
那智からかかってきた電話を受け取った通信担当の人がそう言ってるのを、俺と雄大さんが聞いていた。
「三井さん?真那ちゃんが発作かな?」
「昨日は元気そうでしたけど・・・疲れとかからですかね。医師に連絡します。」
俺がその場から離れようとしたとき、雄大さんが俺の肩を掴んだ。
「?」
「ちょっと待て。三井さんなら真那ちゃんの様子をきっちり伝えてくると思うんだけど・・・」
言われてみるとそうだ。
那智なら『熱があるんです!』や『咳が酷くて』の症状をきっちり言うだろう。
「え・・・まさか・・・。」
嫌な予感がしたとき、通信室に大きな声が響き渡った。
『ママぁ!!』
「!!」
俺は通信担当の人のところに行き、マイクを借りた。
さっきの声の主は、真那だ。
「真那!?どうした!?」
『けーたん・・・?』
「そうだ!ママは!?」
『ママ・・・おきない・・ねんねしてる・・。』
「!?」
そのとき、俺の手にあるマイクを雄大さんが取った。
「長谷川!三井さんちまでダッシュ!救急車向かわせるから急げ!!」
「はい!!」
真那との通話を雄大さんに任せ、俺は通信機を手に那智の家に走った。
何もなければそれでいい。
そう思いながら走った。
そして数分の後に那智の家に着いた俺は、玄関の鍵が開いてることを願ってドアノブに手をかけた。
すると、ラッキーなことに扉が開いたのだ。
「那智!?真那!?」
家の中に飛び込むと、ダイニングの床に那智が倒れてるのが見えた。
その横で真那が泣きそうな表情で那智をゆすってる。
「けーたん・・・!」
「真那!ママはどうなった!?」
「うわぁぁぁん・・・!」
「まだ説明できないか・・・。」
俺は那智の傍にいき、呼吸を確認した。
幸いにも息はしてるものの、体から湯気が出そうなくらい周りの空気が熱い。
「雄大さん!雄大さん!!」
俺は通信機を使って署に連絡を入れた。
すると、那智の近くに落ちてあったスマホから雄大さんの声が聞こえてきたのだ。
「長谷川!!様子は!?」
「那智が倒れてます!意識なし!呼吸あり!熱が高いと思います!」
「すぐ救急車向かわせる!真那ちゃん連れて一緒に乗ってくれ!あとで病院に向かうから!」
「はい!」
そのあとすぐに救急車のサイレンが聞こえてきて、那智を乗せた。
俺は真那を抱き、背中をさすりながら一緒に乗り込む。
「熱が高いですね。予測検温ですでに39度回ってますよ。」
「そんなに!?」
「このままだと40度に乗りそうです。持病とかは?」
「ありません。アレルギーも・・・。」
「わかりました。」
病院に向かうまでの道のりで、真那は涙をぼろぼろこぼしながら俺に抱かれていた。
その背中を何度もさすり、少しでも安心できるように声をかける。
「大丈夫だから、大丈夫だからな?真那。」
その言葉を自分にも言い聞かせながら、俺たちは病院に向かったのだった。
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