溺愛モードな警察官彼氏はチョコレートより甘い!?

すずなり。

文字の大きさ
16 / 35

思ってもみなかったプレゼント。

しおりを挟む
ーーーーー



ーーーーー



三橋さんに相談をした翌日、私は兄と会うことになり電車に乗っていた。
4時間ほどガタゴトと揺られて待ち合わせ場所である駅に辿り着き、喫茶店に入る。

「いらっしゃいませ、おひとり様でしょうか?」
「いえ、待ち合わせなんですけど・・・」
「左様でございますか。では入り口がよく見えるお席にご案内致しますね。」

長い髪の毛を一つに束ねたきれいな女の人に4人掛けの席に案内され、私は席に着いた。

「ご注文はどうされますか?お連れ様が来店されてからにします?」
「あー・・いえ、ホットティーをお願いします。」
「かしこまりました。」

注文を済ませた私は鞄を隣の席に置いた。
兄が入って来るであろう喫茶店の扉を見つめる。

(いつも時間はきっちりしてるからもう来るかな?)

そんなことを考えながら腕につけてる時計を見た時、喫茶店の扉が開く音が聞こえてきた。

「いらっしゃませ。お一人様でしょうか。」
「いえ、待ち合わせしてまして・・・あ、あそこです。」

兄が入ってきたのに気がついた私は手を振って合図を送っていた。
兄は気づいてくれたようで、店員さんに説明をしてる。
そして私が座ってる席までやってきて、向かいに座った。

「待った?」
「ううん?今着いたとこ。」
「悪いな。俺が行けたらよかったんだけど・・・。」
「いいよ、私の方が動きやすいんだし。」

兄は人気な弁護士だからか、クライアントさんとの打ち合わせがびっしり入ってる人だ。
だから遠出があまりできず、会うときはこうして私が出向く形を取ってる。

「凜華から『空き巣に入られた』ってメール来た時、ゾッとしたぞ?」
「ごめんごめん。」
「で?進捗は?」
「それが・・・」

私はまだそんなに進捗がないことを兄に伝えた。
警察の方からの連絡は無いし、正直、捕まえれるのかどうかも怪しいところだ。

「転売されてたんだろ?それなら誰が転売してるのかはわかるから捕まえれるとは思うけどな。」
「そうなの?」
「あぁ。ネット世界は匿名で活動できるけど実は匿名じゃない。だから下手打つと全部調べ上げることができるんだ。」
「へぇー・・・。」

私にとっては難しいことでも、兄にとっては容易いこと。
よくわからないけど、兄が『捕まえれる』というのなら間違いは無さそうだ。

「『窃盗』は罪だからな。犯人が捕まったら取れるだけ取ってやるよ。」
「ふふ。その辺はお任せしますよ。敏腕弁護士さん?」
「任されよ。・・・じゃあお前の進捗を聞かせてもらおうかな。」
「!!・・『任されよ』?ふふっ。」

私と兄は時間の許す限り、お互いの近況を話していった。
最近始めたことや、大変だったこと、それに・・・恋の話なんかを。

「え、お前、気になってるやついんの?」
「気になってるというか・・・告白?みたいなのをされて・・・」
「へぇー?どんなやつ?」

兄の言葉に、近衛さんの職業を伝えるか迷った。
相容れない職業なのは、向こうもこっちも同じなのだから・・・。

「えっと・・・」

言い渋るようにして視線を反らすと、兄は私の顔を両手で包み込み、ぐぃっと視線を合わせさせられた。

「なに?俺に言えない職業?まさか検察官とか?」
「う・・・近いものが・・・?」
「近いもの?なら・・・警察官?」
「えと・・・そう・・です・・・。」

しっかり合わせられた視線に逆らうことができずに答えると、兄は笑みをこぼしたのだ。

「お前のことだから俺の職業も伝えたんだろ?」
「!?・・・なんでそれ・・・」
「妹のことなんか手に取るようにわかるさ。・・で?その後に告白されたのか?」
「う・・うん・・・。」
「なるほど。」

少し考えるようなそぶりを見せた兄だったけど、私の手をガシッと掴んで今度は真剣な顔になった。

「お前が『いい』と思うなら兄ちゃんは反対しない。」
「『反対しない』って・・・え、だって警察官だよ?」
「『お前が』いいって思うならな。お前の言い方だったら向こうも嫌悪感ださなかったんだろ?」
「!!」

確かに兄の言う通り、近衛さんは何も言わなかった。
それどころか兄を褒めてさえいたのだ。

「・・・いいやつに好かれたな。」
「----っ。」
「ま、付き合うようになったら一度会わせてくれよ?兄ちゃんが品定めしてやる(笑)」
「えー?近衛さんが驚いちゃうよ。」

そう言うと私の言葉に驚いたのか、兄の動きが一瞬止まった。

「『近衛』?そいつ、近衛っていうのか?」
「え?うん、そうだよ?近衛さんがどうかした?」
「あ・・・いや・・・。」

また何か考え事をするような仕草を見せてる兄。
気になりながらも紅茶を一口飲むと兄が口を開いた。

「お前さ・・テレビとか見てる?」
「テレビ?見てないよ?家に無いもん。」
「だよな・・。じゃあ音楽とか・・・」
「?・・聞く媒体がないよ。」
「だよな・・・。」
「?」

一体何が聞きたいのかと思ったけど、ふと腕時計の時間を見るともうタイムリミットが近づいてきていた。

「あ、お兄ちゃん。もうそろそろ行かないと・・・。」

兄は兄でこのあと仕事がある為、戻らないといけない。
私はホテルに一泊する余裕なんてないからこのまま帰るのだ。

「もうこんな時間か。このまま帰るんだろ?」
「もちろん。」
「ならこれ持って帰れ。」
「?」

兄は持っていた鞄から小さな紙袋を取り出し、私に渡してきた。
何が入ってるのかと思いながら中を見てみると、そこに・・・スマホがあったのだ。

「え!?」
「月々は俺が払ってやる。一応全部使い放題にしてあるから自由に使ったらいい。」
「え!?ちょ・・・自分で払うよ!?」
「ばーか。お前は借金返すことだけ考えろ。早くペイしないと生活が苦しいままだぞ?それに連絡が仕事場のPCのメールだけとか使い辛いんだよ。」
「う・・・。」
「しっかり稼げるようになったら、兄ちゃんにプリンでも買ってくれ。じゃな。」

そう言って兄は喫茶店の伝票を持ち、お会計をしに行ってしまった。

「ありがとう・・・っ!お兄ちゃん!」

そう叫ぶと同時に会計が終わり、兄は手を振って喫茶店から出て行ってしまったのだ。
残された私も電車の時間があることから鞄を持ち、喫茶店を後にする。

「初めてのスマホだ・・・。」

早く触ってみたい気持ちを押さえながら、私は駅の改札をくぐった。
そしてやって来た電車に乗り込み、席に座って紙袋からスマホを取り出す。

「すごい・・・。」

普段からパソコンを触ってる私は操作方法がなんとなくわかるようで、無事電源を入れることができた。
そして出てきた画面を、説明書を見ながら触っていく。

(えっと・・・電話帳がこれで・・・って、お兄ちゃんの電話番号が入ってるじゃん。)

1件だけ入っていた連絡先。
それはもう覚えてしまってる兄の携帯番号だった。

(あとはメール・・・あ、LINEがあるのか!)

よく聞く『LINE交換』という単語。
メールのツールであることは知っていたけど、自分が使うのは初めてのことだ。

(わぁ・・・楽しい・・・!)

いろいろ考えながら見てると、ピコンっ・・!と通知の音が鳴った。
画面を見るとLINEのところに『1』という数字が出てる。

(?)

何が起こったのかわからずにタップしてみると、『兄』と書かれたところにメッセージが来ていたのだ。

(なんだろう。)

気になってタップすると『もう電源入れたか?』というメッセージが。

(ふぁ・・・!どうやって返事するのかな。)

画面の隅々まで目をやると、キーボードらしきマークを見つけた。
そこをタップするとキーボードが現れ、文字を打てるような表示が現れたのだ。

(えっと・・・『今、頑張ってる』・・・と。)

送信マークのようなものを押すと、私が打った文字がLINEの画面に表示された。
そしてすぐに兄から返事が来たのだ。

『家での充電器とモバイル・・・持ち運びできる充電器は中に入ってる。家に帰るまでに電池が無くなるだろうから使え。あとイヤホンも使えるようにしてあるから好きに使えよ。』

(えー・・・なんかいっぱい言われたけど・・何がどうって・・・?)

兄の言ってる意味が分からず、私は電車の中で使い方を覚えながら帰路についたのだった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

仮面夫婦のはずが執着溺愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
仮面夫婦のはずが執着溺愛されちゃいました

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

処理中です...