異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。

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ダリア。

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ニゲラが息を切らしてうちに飛び込んできた。




「さっき病院に運ばれた!・・・アイビー、シャガは!?」

「とうさんは・・・きょうはおしごと・・・・」




最近数時間なら一人で留守番をすることが多くなってきた私。

今日は朝からシャガは山に出かけていた。

イノシシが出るからと討伐の依頼をこなすためだ。




「じゃあ手紙書いとくから・・・!アイビーは俺と来い!」



そう言ってニゲラはうちにある紙を取り、近くに置いてあったペンでぱぱっと書いた。

それを机の上に置いて、私を抱え上げる。



「行くぞ!」



ニゲラは私を抱きながらすごいスピードで走り始めた。

この町にはが無い。

荷物を乗せるような台車みたいなのはあるけど、自転車や車なんかはない。

『急ぐ』と言われたら『走る』しか方法がないのだ。




「ダリアももう結構な歳だからな・・・。アイビーにはわかんないかもしれないけど。」

「・・・・。」




前世の記憶があることは誰にも言ってない。

ニゲラはもちろんのこと、シャガにも・・・。

いつかは言ったほうがいいのかもしれないけど、5歳の私が『前世の記憶がある』と言っても笑われて終わるに決まってる。




(この町の医療がどこまで進んでるのかはわからないけど・・・歳には勝てないし・・・。)



どうなるのか不安に思いながらもニゲラの走るスピードが速すぎて、あっという間に私たちは病院に着いた。






ーーーーー





「ダリア!大丈夫か!?」




ニゲラはダリアのいる病室のドアを豪快にあけて中に入った。

部屋にはベッドが一つと、棚、椅子に机があるくらいのシンプルなものだった。



(病院ってどこも同じ感じなのかな。)



ベッドにいるダリアは身体を起こしていた。

どうやらベッドの背もたれが上がる仕組みのようで、背中にクッションを挟んで座るように身体を起こしていた。




「おやニゲラ。どうしたんだい?」




ダリアの声にニゲラはきょとんとした顔をしながら、抱いてた私の身体を床に下ろした。




「え・・・?だってさっき倒れて・・・」

「あぁ、なんともないよ。みんな大げさなんだから。」



元気に笑って見せるダリアの姿に、ニゲラはほっとしたのか大きく息を吐き出した。



「はぁー・・・なんだよ、大事だと思ってアイビーまで連れて来たのに・・・。」

「それはそれはご苦労なことで。・・・ところでニゲラ、おまえさん仕事は?」



ニゲラは思い出したかのように慌て始めた。



「やばっ・・!ちょ・・!アイビー、あとでシャガが迎えに来るだろうからここにいとけ!俺、仕事行ってくる!!」

「あー・・・いってらっしゃい?」

「じゃーな!ダリア、全身医者に診てもらえよ!?」




そう言ってニゲラは猛スピードで病室から出て行った。



「なんだい?ニゲラはほんとに騒がしいんだから・・・」



ぶつぶつ文句を言ってるダリアだけど、顔が笑っていた。

慌ててきてくれたのが嬉しかったんだろう。



「・・・ふふ、ダリアおばーちゃん?」

「なんだい?アイビー。」

「なんかいる?いるものあったらとりにいくよ?」



そう聞きながら私はベッドの近くにあった椅子に座った。

丸椅子のような椅子は私の背では高く、跳び箱を飛ぶようにして私はひょいと乗った。



「そうだねぇ・・・、いるものはないんだけど・・・」

「?・・・『けど』?」

「アイビーに教えてもらいたいことがあるんだよ。」

「わたし?」




この世界で5年しか生きてない私に何を教えれることがあるんだろう。

そんなことを思ってるとダリアはじっと私を見つめた。




「・・・アイビー、赤ちゃんのころから見てるけど・・・あんたは手のかからない子だった。」

「?・・・うん。」

「泣きもせず、こっちの言うことがまるでわかるかのように・・・」




この世界に来たときから大人たちの会話は理解できていた。

日本語とは違うような気もしたけど、最初から理解できていたことは事実だった。




「うーん・・そう?」



ごまかすようにして言うと、ダリアはすっ・・と手を出してきた。



「おいで?アイビー。」

「うんっ。」




私は椅子から下り、ダリアのベッドに上った。

隣に座るようにして寝ると、ダリアは私の身体をぎゅっと引き寄せた。




「時々・・・アイビーはどこか遠いところから来たんじゃないかと思う時があったよ。そんなことないのに・・・。」




空いてる手でよしよしと頭を撫でてくるダリア。

しわしわの手は大きくて・・・どこか『母』を思い出させる。



「・・・ダリアおばーちゃんは・・・うまれるまえのこと、おぼえてる?」

「産まれる前?そんな昔のことは覚えてないねぇ・・・。」

「・・・そっか。」




ダリアは私の頭を撫でながら、私の事を話してくれた。

教えてもいない言葉を使ったり、一人で留守番をしても泣いたりしなかったこと。

おむつなんて一瞬で取れたし、同年代の子と比べても家の手伝いをよくすることを。




「なんだか5歳とは思えない子だったよ。」




その言葉が引っかかった私は、頭を撫でてるダリアの手を取った。



「・・・『だった』って・・・どういうこと?」

「え?」

「まるで・・・私の6歳を知ることができないみたいな・・・そんな言い方・・・。」

「・・・・。」




私の予感は当たっていたようだった。

ダリアの表情が曇り、じっと自分の手を見詰め始めた。

その手をそっと握ると、ダリアは柔らかい笑顔を浮かべて私に言った。




「私ももう90歳に近いからね・・・そろそろお迎えが来るかな?」

「!!・・・そんなこと言わないで!倒れた原因は何!?お医者さんはなんて言ってた!?」



私のあまりの剣幕に、ダリアは驚いた表情を浮かべた。



「・・アイビー・・?」

「私、医療はそんなに詳しくないけど、それでもこの世界では役に立つことがあるかもしれない!だから教えて!」

「・・・『この世界』って・・・」



私はダリアから目線をずらし、しわしわの手を見つめた。




「・・・私、前世の記憶があるの。」

「・・・前世?」

「産まれる前の記憶・・・。そこで乗り物みたいなやつに引かれて死んだ・・・。」




私はこの世界に来る前のことと、シャガに出会った頃のことをダリアに話した。

赤ちゃんになってることに驚いたこと、目が覚めてすぐにシャガに拾われたこと。

ダリアに預けられたことも全部覚えてるし、何を言ってたのかもわかってたことを・・・。




「まさかほんとに・・・?」

「かわいい服を縫ってくれて、着せてくれたのも知ってるよ?ダリアおばーちゃんの腕の中はほんとに気持ちよかった。」

「・・・・そうかい、それはよかったよ。」




ダリアはまた笑顔を浮かべ、私の腰の辺りを優しく撫でた。

時々とんとんっと叩かれ、それが心地よくて睡魔が襲ってくる。

中身は大人でも体は子供。

体力はそんなにない。




「ふぁ・・・」



大きなあくびをすると、ダリアは優しく囁いた。



「おやすみ、アイビー。いい夢を見るんだよ。」




その言葉を聞いて、私の瞼が重くなっていく。

シャガが迎えに来るまで起きてようとがんばるけど、空しく私は夢の世界に旅立っていった。



「・・・zzz。」

「寝てる顔は5歳なのにねぇ・・・。」




アイビーが起きないように身体を擦りながら、ダリアは廊下に向かって声を出した。



「もう寝たよ、お入り。」



その声で病室に入ってきたのは・・・シャガだ。



「今の話・・・本当なのか・・・?」












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