異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。

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出て行く。

ーーーーー




シャガはアイビーが声を荒げたところから病室の外にいた。

アイビーの声に驚いて中に入れないまま、聞き耳を立てていたのだ。



「『前世の記憶がある』・・・?」

「それはどうかわからないけど・・・さっきの話し方は『子供』じゃなかったねぇ・・・。」



『医療』だの『服を縫う』だの・・・大人が使うような言葉を出したアイビー。

そこら辺の5歳児といえば外で石けりをしたり、かくれんぼをしたりしてきゃあきゃあ言いながら遊んでるのに、よくよく思い返せばアイビーは家の手伝いをしていた。



「ちょっと俺・・・あとでアイビーと話するわ。」

「・・・そうだね。」



ダリアの隣ですぅすぅと眠ってるアイビー。

そのアイビーをシャガはそっと抱きかかえた。



「ダリアは?しばらく入院か?」



その言葉にダリアは一瞬驚いたけど、諦めたかのように話し始めた。



「・・・そうだねぇ・・・このままここかな・・・。」



シャガは遠くを見るようにして呟いたダリアの肩をポンポンっと叩いた。



「・・・また明日来る。」

「アイビーと一緒に来ておくれよ?」

「任せろ。」




アイビーを抱いたままダリアの病室をあとにしたシャガ。

アイビーを起こさないようにしながら家までの道のりを歩く。






「起きたら・・・全部喋ってもらうからな?アイビー。」







ーーーーー







シャガの家に着いたとき、ちょうどアイビーは目を覚ました。




「んー・・・・」

「起きたか?ダリアのとこで寝てたから連れて帰ってきたけど・・・。」




シャガに抱っこされたままの私は、目を擦りながら下ろしてもらった。

まだ夢見心地で・・・頭がぼーっとする。



「座ってろ。白い実の飲み物作ってやるから。」



シャガに言われ、私は目を擦りながら椅子に向かって行った。

4歳の時にシャガが市場で見つけてきてくれた椅子。

木でできていて、小さくて・・・この椅子に座ったら机の高さがちょうどよかったのだ。

ご飯を食べるのも高さが合って食べやすくなった。




「・・・あ、ダリアおばーちゃんは?」

「ダリアは入院だな。明日、花でも買って見舞いに行こう。」

「そっか・・・。」



シャガは温めた白い実をマグカップのような入れ物に淹れた。

それを持って私のところに来て、机の上にことんっと置いた。



「ほら。」

「いただきます。」



ほかほかと湯気が立つのをふぅふぅと冷ましながら一口飲んだ。

砂糖が少し入ってるからか甘みがあり、寝起きに飲むと体が温まってくる。



「ぷはっ・・・。おいしぃっ。」




白い実が少し冷めたところでごくごくと飲んでると、シャガが私の前に座った。

机に肘をついて、手を頬にあててる。



「?」

「なぁ、アイビー?お前・・・いくつだ?」

「え?5歳だよ?」



そう答えると、シャガは頬にあてていた手を外した。

じっと私を見て・・・真剣な顔をしてる。



「ダリアとの会話・・・部屋の外で聞いてた。お前、俺に言ってないことがあるだろう?」

「---っ!」

「『言えない』んならいいんだけど・・・俺はお前の父親だ。『知る権利』はあると思う。」




私は手に持っていたカップを机に置いた。

もう空っぽになってるカップの底をじっと見つめる。



(まさか聞かれてたなんて・・・。)



ダリアでさえ、信じてくれたのかどうかわからない。

もしかしたら気味悪がられて追い出されるかもしれない。



(それでも5年、育ててくれたし・・・恩を返すって意味もあるか・・・。)



ここで追い出されてもなんとか一人で生きていけそうな気がした。

狩りはできないにしても、山菜の取り方は教えてもらった。

料理は前世でもしていたし、食べることは大丈夫だと思った。



「・・・ここで5年経ったけど・・・21歳のままかな。子供の生活だったし。」

「!!」

「ダリアおばーちゃんのとこで聞いてたなら・・・要約して話すね。」



私はゆっくりと・・順を追って話した。

ダリアに話したよりもっと詳しく。

お世話になったお礼だと思えば口も軽くなり、私は前世のことを細かく話した。

前の名前や、どうして死んだか、付き合ってた男の人のことまで・・・。




「・・・・・で、シャガに拾われて・・・声が聞こえたの。『やり直しますか?』って。」

「『やり直す』・・・。」

「『はい』って答えたら体が光って・・・多分これが新しい人生なんだと思う。」




『何』に対してのやり直しなのかわからないままだけど、ここでシャガと暮らしていくのがすごく平和で楽しくて・・・このままがいいと思っていた。

いずれシャガが年を取れば私が働けるようになる。

そうして二人でずっと一緒にいればいいと思っていた。



「そっか・・・。」




向かいに座っていたシャガは立ち上がり、キッチンに向かって歩いて行った。

カチャカチャと食器の音を立てながら何かをしてるようだ。



「信じてもらえたかどうかわかんないけど・・・ごめんね、ずっと黙ってて・・・。」

「・・・。」




シャガは何か思うところがあるのか、無言だった。

私は出て行く準備を始めるため、椅子から下りた。

私用の服が置いてあるカゴに向かって足を進めると、シャガが口を開いた。




「?・・・何してんだ?」




シャガを見ると、手にカップを二つ持ってる。

それを机の上にコトンっと置いた。



「え・・・?」

「ほら、座れ。」

「う・・うん・・・。」



さっき座っていた椅子に戻ると、シャガはカップを私の前に置いた。

そのカップには黒い液体が入っていて、鼻を抜ける匂いに覚えがあった。



「これ・・・・」

「貴重だから滅多に淹れないけどな。・・・飲んだことあるか?」

「ある・・けど・・・。」

「なら一緒に飲もう。」


シャガはカップを取り、自分の口につけた。

私もカップを手に取り、口に運ぶ。



「・・・にっが!」

「!・・・ははっ、口は子供か?」



くすくす笑うシャガ。

私はカップを机に置いた。



「・・・今までお世話になりました。助けていただいたことは・・・一生忘れません。」



そう言って椅子から下りようとしたとき、シャガが私の手を掴んだ。



「待て。どこに行く?」

「・・・わかんないけど・・・とりあえず山・・かな?」



食べ物を探すには山が一番だった。

自生してる芋や果物を取れば、食うに困らない。




「出て行く気か?」











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