溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

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デート。

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制限時間いっぱい店にいた俺たちは席を立ち、会計に向かった。




店員「お会計、7000円になります。」




店員に支払おうと財布を取り出したとき、雪華がひょこっと顔を出した。



雪華「割り勘でお願いします。」

雄大「俺が払うからいいよ。一緒でお願いします。」



そう言って万札を出した。

雪華は困ったような顔をしながら俺と財布を交互に見てる。



雪華「あの、今日私、大きいのしか持ってなくて・・・」

雄大「付き合い始めたんだから払わせて。」




雪華に財布をしまわせて、俺たちは店をあとにした。









ーーーーー





会計が終わり、店の外に出た俺たちは夜風を感じながら歩き始めた。

もちろん手を繋いで。


雪華は支払いが納得いかないのか浮かない顔をしながら俺を見てる。




雪華「私、ちょっとコンビニで崩してきます・・。」



そう口走った雪華の手を引いて止める。




雄大「いや、行かなくていいから。」

雪華「でも・・・・」

雄大「じゃあ今度ご飯いったとき払ってくれる?」



払わせる気はないけれども、こういわないと雪華は納得しなさそうな気がした。



雪華「・・・わかりました。」

雄大「一応年上の彼氏として格好つけさせてよ。」

雪華「・・・ごちそうさまです。」





ーーーーー





雪華side・・・




お店を出た私たちは手を繋いで歩いていた。





雪(・・・ふふ、幸せかも・・。)




春樹とは感じなかった感覚を感じた。

それは雄大さんが年上で・・・余裕を持ってるからかもしれない。





雪華「あの・・雄大さん?」

雄大「うん?」

雪華「その・・・好き・・ですよ?雄大さんのこと・・・。」

雄大「---っ。・・俺も好きだよ?いっぱい出かけたりしような?」

雪華「はいっ。」








その日から雄大さんとのカレカノ生活が始まった。

休みの日はどこかに出かけたり、時には私が消防署に遊びにいったり・・・。



3カ月も経てば消防署の人たちとも仲良くなって、みんなが私を『せっちゃん』って呼んでくれるようになった。

雄大さんはその度にムッとした顔をしていたけど・・・私は雄大さんの仕事の時の顔とか知れて嬉しかった。



そんなある日・・






雪華「・・・・イベントですか?」






お互いの仕事が20時に終わり、前に連れて行ってもらった居酒屋さんでご飯を一緒に食べていた。

雄大さんは思い出したかのようにポケットから広告を出してきて、テーブルの上に置いたのだ。




雄大「大きい公園で食フェスがあるんだってさ。」




私は置かれた広告を手に取って眺めた。





雄大「まだ1カ月くらい先だけど・・・休み取れるなら合わせない?地ビールとかもあるって書いてあるし・・・ここから遠くも無いからバスか・・・歩いて行けば二人で飲み歩きできるよ?」

雪華「!!・・・行きます行きます!!」

雄大「言うと思った。朝から行こうなー。」





私は雄大さんが見せてくれた広告を上から下まで全部読んでいった。

その中で一つ、私の目の引くものがあることに気がついた。




雪華「・・・『ドイツブースあります!』って書いてある!」





雑貨集めが好きな私はドイツ雑貨に目が無い。

アパートだから大きいものは置けないけど、ポストカードを部屋に飾ったり、お菓子の缶を飾ったりしてる。

今、集めたいのは・・・『キャンドルホルダー』だ。





雄大「『ドイツ』?好きなの?」

雪華「雑貨が好きで・・・クリスマスとかによく出て来るキャンドルホルダーを集めたくて・・・季節が違うから無いかもしれないけど探したいっ。」

雄大「へぇー・・・あるといいね。」

雪華「へへっ。」




私は当日を楽しみにしながら雄大さんとの食事を楽しんだ。






ーーーーー






イベント当日。




雄大「雪華、あれ半分こしない?」

雪華「どれどれ?ソーセージですか?」

雄大「うん。デカいし・・・半分なら他にもいっぱい食べれるだろ?」

雪華「へへ、ありがとうっ。」





私と雄大さんはお店に出されていた食べ物を端から順番に買って食べ歩いていた。

買ったものは二人で半分こするとたくさん食べれる。

甘い物から辛いものまで・・・私たちは手当たりしだいに買って食べた。




雪華「雄大さんっ、あれ半分しません?」

雄大「どれ?ジョッキのビール?」

雪華「そうっ。ピンクですよ?どんな味だろー。」

雄大「甘そうな予感しかないな・・・。」




『食べたい』と言い出した方が財布を出す。

それが暗黙のルールみたいな感じになっていって私は財布を取り出した。





雪華「おじさんっ、これくださいっ。」

店主「はいよっ。850円だよっ。」

雪華「千円でお願いしますっ。」




私が支払ってる間に雄大さんがビールのジョッキを受け取る。

雄大さんは先に一口くちをつけたのが見えた。



雄大「お、なかなか美味いな。」

雪華「私も飲むっ。」

雄大「ほら。」



店主さんからお釣りをもらってると、雄大さんは私の口に直接ジョッキをつけてくれた。

そのままジョッキが傾けられて・・・私の口にピンク色したビールが入ってくる。



雪華「!!・・・おいしい!」

雄大「あとでもっかい買いに来よっか。」

雪華「うんっ。」




飲んでは食べ・・・食べては飲んで・・・。

そんなことを朝からずっと繰り返してお昼を回った時に私はギブアップをした。




雪華「もー食べれない・・・。」




ベンチに座ってお腹をさする。

雄大さんはそんな私の前に立ちながらたこ焼きを口に放り込んでいた。




雄大「もうほとんどの店、食べたんじゃない?」

雪華「どれも美味しかったですねー・・・ふふっ。・・・あ、雑貨は見つけれなかったけど。」




一軒ずつ丁寧に見て回ったはずなのに、ドイツブースは見つけることができなかった。




雄大「まぁ、小さな店もあるし、設営がけっこう入り組んでるからなぁ。」

雪華「まぁ、またの機会に探します。」

雄大「うん。・・・あ、コーヒーでも探してくるよ。そこで休んどきな?」




そう言って駆けていく雄大さんを私は見送った。




雪華「もうすぐ夕方になるのにたくさんの人で溢れてるなー・・・。」




私が座ってるベンチの前をたくさんの人が行き来する。

親子連れや、カップル、友達同士・・・。

みんな楽しそうに飲んだり食べたりするのが見えていた。




雪華「私も楽しんでる一人かー。」




雄大さんも私と一緒で食べるのが好きな人だ。

私の考えてることが分かるのか・・・『あれしない?』『これしよ?』とかいろいろ言ってくれる。



雪華「こんな笑いながらデートするとか・・・初めてだなー・・。」





そんなことを考えてる時、私の前で足を止めた人がいた。





春樹「・・・・せつ?」














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