溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

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ケガ。

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雪華「!!・・・雄大さん・・。」



振り返るとそこにいた雄大さん。

無言で私の側まで歩いてきて・・・私の足を見た。




雄大「俺に言うことは?」

雪華「えっ・・と・・・」

雄大「ケガしたんだろ?」

雪華「・・・知ってたの?」



雄大さんはしゃがみ込み、私の足をじっくりと見始めた。

足首を持ち上げられ、痛みが襲ってくる。



雪華「いぃぃっ・・!」

雄大「捻った?」

雪華「さっき石で滑った・・・。」

雄大「救護室で湿布貼るから・・・行くよ。」



そう言って私の身体を姫抱きに抱え上げた。



雪華「!?・・歩く・・・!」

雄大「悪化するから。」



私のバスケットも一緒に持ってスタスタと歩いて行く。

その道中はずっと無言で・・・明らかに怒っていた。




雪華「・・・怒ってる?」

雄大「俺が雪華に?まさか。」

雪華「でも・・・」

雄大「自分自身に呆れてる。好きな女のケガすら気づけなかった。」

雪華「みんな楽しそうだったから・・・言えなかったの。・・・ごめんなさい。」




謝るけども、雄大さんは無言のまま。

結局そのあとは一言も話すことなく、私は救護室に連れて行かれた。






ーーーーー






雄大「湿布貼るから。ちょっと冷たいよ。」



そう言って私の足首に湿布が貼られていった。

熱をもってしまってる私の足首にはかなり冷たく感じてしまい・・・思わず声を漏らしてしまう。



雪華「ひぁっ・・!」

雄大「終わり。送ってくから・・・ちょっと待ってな。」



そう言って雄大さんは救護室から出て行った。

その後姿を見えなくなるまで見続けた。




雪華「絶対怒ってる・・・。でも楽しそうにバーベキューしてるのに『ケガした』なんて言えないよ・・。」



私はバスケットを手に持ち、痛みを堪えながら立ち上がった。

『送る』と言われていたけど・・・これ以上迷惑はかけれない。



雪華「帰ろ・・・。」




私は救護室を出た。








ーーーーー





雄大side・・・






救護室を出た後、俺は一人考えごとをしていた。

バーベキューの後半ぐらいから雪華の様子がおかしいことはわかっていた。

でも何も言わない雪華の気持ちを汲んで何も聞かなかった。



雄大(まさかケガしてたなんて・・・。)




すぐに気づけなかった自分を責める。




雄大(仕事はもう終わってるし・・・家まで送って行って夜に湿布を貼り変えるか。)



そう思いながら帰る旨を他の署員たちに伝えた。

荷物を持って、雪華を迎えに行く。




コンコン・・・




雄大「雪華、送ってくけど立てそう・・・・って、いない・・・。」




救護室の中はもぬけの殻。

俺が怒ってると思って・・・一人で帰ったのかもしれない。



雄大「待てよ・・・あの足で歩いてバランス崩したりしたら・・・」




コケるくらいなら全然いい。

問題はこけた時の方向だ。

間違って車道側にでもこけて・・・そのとき偶然にも車が来てたりしたら・・・・




雄大「!!・・まずい!雪華!!」




俺は救護室を飛び出た。

雪華がこけてないことを祈りながら署を出て名前を呼ぶ。



雄大「雪華ーーっ!!」

雪華「?・・・はい?」

雄大「!?」





叫んだ時、消防署の前に置いてある椅子に雪華は座っていた。

俺の声が聞こえて、ひょこっと顔を出しながら返事をしたみたいだ。



雄大「雪華・・・。」

雪華「足が痛くて・・・歩けなかったの。」

雄大「はー・・・寿命が縮まった・・・。」

雪華「?」





俺は雪華の隣に腰かけ、彼女の肩を抱いた。

そのまま引き寄せる。



雪華「あの・・ね、ごめんなさい・・・。」

雄大「俺こそ大人げなくてごめん。・・・送ってく。」



俺は立ちあがり、雪華のバスケットを手に取った。

背中側を雪華に向けて、しゃがみ込む。




雄大「ほら乗って。」

雪華「・・・お願いします。」




素直に乗ってきた雪華の膝裏に手を回し、立ち上がる。

そのままゆっくり歩き出して・・・雪華のアパートに向かった。



雄大「あのさ、俺、人を助けたくてこの仕事に就いたんだよ。」

雪華「うん。」

雄大「一番近くにいる人を助けられないとか・・・情けなく思う。」

雪華「・・・・・・。」

雄大「だから、これから何かあったらすぐに俺に言って。わかった?」

雪華「・・・・はい。」





雪華に約束事を求めた時、ちょうどアパートについた。

玄関先で雪華を下ろして身体を支える。

雪華はポケットから家に鍵を取り出して、がちゃっと開けた。



雪華「雄大さん、これから帰るの?」

雄大「もう仕事は終わってるから帰るけど・・・雪華の湿布を貼り変えてから帰りたいかな。」

雪華「さっき貼ったとこだよ?」

雄大「そうなんだよ。でも朝まで貼るにはちょっと時間が・・・」




効果が切れてしまった湿布を貼り続けても意味はない。

早く治るように・・・夜に貼り換えたいのだ。




雪華「じゃあ・・・上がってく?」

雄大「え・・・いいの?」

雪華「そんなにおもてなしはできないけど・・・喋るくらいなら。」

雄大「しばらく喋ってから・・・湿布を貼り変えて帰るよ。お邪魔します。」




俺は初めて・・・初めて雪華の家に足を踏み入れた。












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