溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

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1年後。

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ーーーー








ーーー








署員「リーダー!車両点検終わりました!」

雄大「よしっ!」





無事に出世ができた俺は、署でまとめ役をしていた。

俺がリーダーになったことで前のリーダーは署長に昇格した。




署長「雄大、がんばってるなー。」




現場を良く知ってる署長はよく点検作業を見に来る。

今もどこかで見ていたらしくて俺に声をかけてきてくれた。



雄大「まだまだですよ。署長には負けます。」

署長「ははっ。・・・ところで・・・連絡はついたのか?せっちゃんと。」

雄大「・・・・・・いえ。」

署長「そうか・・・。」

雄大「今日もこれからアパートを見に行ってきます。」

署長「・・・戻ってきてるといいな。」





俺は仕事を終わらせ、雪華のアパートに向かって足を進めた。






雪華と連絡が取れなくなって・・・丸1年が過ぎた。

毎日毎日電話をかけ続けたけど・・・繋がることはなかった。

それどころかある日を境目に音声案内の内容が変わったのだ。




『おかけになった電話番号は現在使われておりません。』



解約されたことを知り、俺は雪華のアドレスを消した。

その日以来、電話をかけるのではなく、アパートを見に行くことにした。

でも・・・雪華は姿を現さない。

仕事の合間だから行く時間はバラバラなハズなのに・・・気配すら感じることができなかったのだ。



もう会えないのか・・・・と思いながら着いた雪華のアパート。

ふと視線を上げると・・・ドアが開いていた。





雄大「・・・雪華!?」



雪華が帰ってきたと思って・・・俺は部屋に飛び入った。




雄大「雪華!!」




でもそこにいたのは雪華じゃなくて・・・業者のような格好をした人たちだった。



雄大「え・・・?なに・・してるんですか・・?」

業者「依頼主に頼まれてこの部屋のものを全て運び出してます。」

雄大「依頼主って・・・雪華!?今、どこにいるんですか!?」

業者「それは個人情報になりますのでお教えすることはできません。」

雄大「あ・・・そうですよね・・・。」




今の時代、個人情報に関しては酷くうるさい。

俺も個人情報を扱う職種だから・・・伝えれないことは身に染みて知っていた。




雄大「あの・・・運び出してどうするんですか?引っ越しですか?」



それくらいは教えてもらえるだろうと思って尋ねると、予想外な言葉が返ってきた。



業者「全て処分するように言われてます。」

雄大「・・・・処分!?」

業者「はい。・・・あ、もしかして『深田さま』・・・でしょうか?」

雄大「え?あ、そうですけど・・・。」




なぜこの業者が俺の名前を知ってるのか気になったけど・・・次の業者の行動でその理由がわかった。



業者「依頼主からの依頼で・・・『合鍵』を渡してもらえますか?」

雄大「!!・・・それって・・・」

業者「次の方が入居された際に・・・困るかもしれないからと言付かってます。鍵は変えると思うので持っていていただいても差し支えありませんが。」

雄大「・・・。」




『合鍵の返却』『次の入居者』



その言葉から・・・雪華はこのアパートを手離したことがわかった。

なら・・・俺が合鍵を持っていたって仕方がない。




雄大「・・・どうぞ。」

業者「ありがとうございます。」




俺は合鍵を業者に手渡した。

その後、作業が再開されて・・・部屋の中の物が運び出されていった。



食器・・・服・・・テーブル・・・化粧品・・・ベッド・・・




雪華のものは全部知ってる。

一緒に寝た布団も・・・無造作にトラックに乗せられ、雪華が集めて作っていた調味料たちも・・・同じトラックに乗せられていった。

もちろん大量にあった『味噌』も。




雄大「もう・・・俺と会わないのか・・・?」





どこにいるのかもわからない。

連絡先も消えて・・・帰ってくるであろう家も・・・なくなる。




雄大「雪華・・・どこにいるんだよ・・・・。」






ーーーーーー





ある日・・・





署長室に呼び出された俺は、署長から封筒を差し出されていた。

受け取るかどうかを悩みながら署長を見る。




雄大「・・・・これは?」

署長「辞令だ。お前に異動の話がきた。」

雄大「異動・・・ですか。」

署長「せっちゃんもいないし・・・どうだ?受けるか?蹴っても構わない。」

雄大「・・・。」




雪華に気を取られてるわけじゃない。

仕事は仕事でちゃんと割り切ってしてるつもりだ。

リーダーになった自覚だってある。



でも・・・心のどこかでは雪華を探してる。

出動の帰りに雪華に似た後姿を見つけると・・・どきっとしてしまうし・・・

休みの日は雪華を探して街の中をぶらぶら歩いてる。

もう帰って来ないってわかってても・・・アパートを見に行ったりもしてる。





署長「気持ちを切り替えるって意味で・・・どうだ?向こうで新しい何かに出会えるかもしれないし。」




署長が俺のことを気にかけてくれてることも知っていた。

あのとき・・・警察に通報してくれたのはほかでもないリーダーだったから・・・。




雄大「・・・このお話、受けさせていただきます。」

署長「・・・わかった。来月からこの署を離れることを命ずる。・・・向こうでもしっかりやれよ?」

雄大「はいっ!!」









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