彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。

佐藤 美奈

文字の大きさ
13 / 39

13

しおりを挟む
「その子達は?」
「私の友人です」
「なぜ友人を呼んだ?」
「ホークの真の姿が見たいと言われたので」
「僕の真の姿?それはどういう意味なのか見当がつかないけど……同じテーブルを囲むくらい影響ないか」
「ありがとうございます」

イブリンの友人を同席しての彼との話し合いが幕開けとなる。最初彼は友人達がやって来たことに戸惑いを感じていましたが仕方ないなと納得した。

彼の化けの皮を剥がして晒し者になってもらおうとイブリンと友人達も気を引き締める。

会話の中で本当にイブリンに謝罪したいのか?喧嘩を仕掛けられているのか?理解に苦しむ彼の口ぶりに友人達の顔色も徐々に険しくなっていく。

「この間のこと覚えていますか?」
「イブリンの家にお邪魔したことかい?」
「そうです」

彼が連絡もなく突然家にやって来たことから話始める。彼が尋ね返すとイブリンも同意するように頷く。

「あれは悲しかったです。私が愛情を込めてホークのためにケーキを作っていたのに……完成して持って行けばいらないと言われて」
「それは君がいきなりヒステリックに叫ぶからだろ?」

イブリンはあの出来事の記憶がよみがえると辛くて苦しくてたまらない。

しかし彼は居直りイブリンが悪いと意外なほど落ち着いた声で言い放つのです。

「何言ってるの?」
「まともな思考じゃない!」
「ホークはひどい!」

もう我慢できないと見るに見かねたイブリンの友人達が、不満を募らせて口出しをする。彼に対して敵意を向けた目でギロリとにらむ。

「何だ君達は?イブリンの友人なのかもしれないけど、これは僕と彼女の問題だ。関係ない人間は黙っていてくれ!」

即座に脳が反応して声を荒げるホーク。オーシャンブルーの瞳を輝かせて警戒するように、当事者以外の人間は話に割り込むなと反論した。

「ホークは何一つ悪いと思ってないの?」
「それはないよ。反省してる」

彼女から指摘されると、彼は先ほど怒声を張り上げたことを恥じるように視線を落として、自らの愚かな振る舞いを見つめ直し深く頭を下げる。

「ホークとフランソワの親密ぶりを見せられて私は必要ないと感じました」
「いや、僕にはイブリンが必要だ。君を失うなんて考えられない!この間のことは後悔している!」
「その割にはたった今、私がヒステリーを起こしたとおっしゃいましたよね?ちっとも反省してるとは思えません。私はホークと終わりにしたい」

互いに兄と妹が愛情を注ぎ合う異常な溺愛に、自分はホークの彼女でいる意味はないと思い本心を告白する。

彼には妹という癒してくれる存在がいるので、これ以上自分に思わせぶりな態度はとってもらいたくないので別れようと切り出す。

「この前も言ったと思うけど……僕は別れる気はない。それが正直な気持ちだよ」
「一時しのぎの言い訳をしないで!どうしてそんなに別れたくないの?」
「僕は逆にイブリンがどうしてそんなに別れたいのか理解できない。他に気になる男がいるのか?」

自己弁護する彼に弱りきった表情でほとほとあきれ果てる彼女。

ところが彼はイブリンに好きな人ができたのか?と予想の斜め上すぎる仰天発言で文句をつけてきました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。 しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。 そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。 このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。 しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。 妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。 それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。 それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。 彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。 だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。 そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。

【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて
恋愛
【本編完結】私の婚約者は、妹に会うために家に訪れる。 【楽しい旅行】続きです。

妹ばかりを贔屓し溺愛する婚約者にウンザリなので、わたしも辺境の大公様と婚約しちゃいます

新世界のウサギさん
恋愛
わたし、リエナは今日婚約者であるローウェンとデートをする予定だった。 ところが、いつになっても彼が現れる気配は無く、待ちぼうけを喰らう羽目になる。 「私はレイナが好きなんだ!」 それなりの誠実さが売りだった彼は突如としてわたしを捨て、妹のレイナにぞっこんになっていく。 こうなったら仕方ないので、わたしも前から繋がりがあった大公様と付き合うことにします!

婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました

青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。 しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。 「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」 そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。 実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。 落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。 一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。 ※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております

妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。 それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。 リオーラは、姉である私のことを侮っていた。 彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。 ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。 そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

妹の婚約者自慢がウザいので、私の婚約者を紹介したいと思います~妹はただ私から大切な人を奪っただけ~

マルローネ
恋愛
侯爵令嬢のアメリア・リンバークは妹のカリファに婚約者のラニッツ・ポドールイ公爵を奪われた。 だが、アメリアはその後に第一王子殿下のゼラスト・ファーブセンと婚約することになる。 しかし、その事実を知らなかったカリファはアメリアに対して、ラニッツを自慢するようになり──。

処理中です...