妹に幼馴染の彼をとられて父に家を追放された「この家の真の当主は私です!」

佐藤 美奈

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12話 追放された父、継母、ローラ

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公爵家を追放された父、継母、そしてローラは、かつての栄華とは程遠い惨めな生活を送ることになった。不正に得た財産は全て没収され、彼らが住む場所は王都から離れた粗末な借家だけだった。

「こんなところに住むなんて、信じられない!」

ローラは、狭く薄暗い部屋を見回しわめき散らした。公爵令嬢として、豪華な邸宅で何不自由なく暮らしてきた彼女にとって、この生活は耐え難いものだった。

「お父様、何とかしてください! 私はこんなところで暮らせません!」

ローラは父に泣きついたが、かつての権力を失った父には何もできなかった。彼は、ただ茫然と窓の外を眺め自分の愚かさを噛み締めるばかりだった。


「うるさい! 黙れ! お前たちのせいで、こんなことになったんだ!」

父は、ローラと継母に怒鳴り散らすようになった。かつての威厳は見る影もなくただの落ちぶれた男だった。

継母も状況の変化に戸惑い常に不機嫌だった。豪華な食事や美しいドレスはもう手に入らない。使用人に囲まれていた生活から一転、全てを自分でやらなければならなくなった。

「一体、どうなるのかしら…こんな生活、もう耐えられないわ……」

継母は、毎日ため息をつき先の見えない不安に苛まれていた。ローラは、相変わらずわがまま放題だった。粗末な食事に文句を言い、少しでも気に入らないことがあるとすぐに癇癪かんしゃくを起こした。

「こんな硬いパン、食べられるわけないでしょう! もっと美味しいものを買ってきて!」
「お父様、この服、汚れてるわ! 新しいのを買ってちょうだい!」

ローラは、自分が置かれている状況を理解しようとせず、かつての生活を当たり前のように要求した。しかし、そんなわがままを聞いてくれる者はもう誰もいなかった。

父は、かつての部下や取り巻きたちに見捨てられ完全に孤立していた。誰一人として、彼に手を差し伸べる者はいなかった。彼は、自分の犯した罪の重さをようやく理解し始めた。しかし、後悔してももう遅かった。

三人は、互いに憎しみ合い罵り合いながら、どうしようもない現実を生きていた。かつての栄華は夢幻のように消え去り、残されたのは惨めさと後悔だけだった。アリシアが、彼らに手を差し伸べることはなかった。彼らが犯した罪はあまりにも重すぎたのだ。
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