「役立たず」と婚約破棄されたけれど、私の価値に気づいたのは国中であなた一人だけでしたね?

「――リリアーヌ、お前との婚約は今日限りで破棄する」

 王城の謁見の間。高い天井に声が響いた。

 そう告げたのは、私の婚約者である第二王子アレクシス殿下だった。

 周囲の貴族たちがくすくすと笑うのが聞こえる。彼らは、殿下の隣に寄り添う美しい茶髪の令嬢――伯爵令嬢ミリアが勝ち誇ったように微笑んでいるのを見て、もうすべてを察していた。

「理由は……何でしょうか?」

 私は静かに問う。
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