婚約破棄した元婚約者が土下座してきますが、もう遅いですわ

高く澄んだシャンデリアの光が、夜会場を優雅に照らしている。

グラスの触れ合う音、控えめな笑い声、そして――そのすべてを切り裂くように響いたのは、ひとりの男の焦った声だった。

「アリア……頼む、話を聞いてくれ……!」

静まり返った会場の中心で、ひときわ目立つその姿。

かつて第一王子として誰もが頭を垂れた男――エドワードが、今まさに床に額を擦りつけるようにして跪いている。

その前に立つのは、薄く微笑む令嬢。

アリア・フォン・ルーベル。

かつて彼の婚約者であり――そして、あの日、一方的に婚約を破棄された女。

「……あら」

扇を優雅に開き、アリアはほんのわずかに首を傾げる。
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