婚約者の家に行ったら幼馴染がいた。彼と親密すぎて婚約破棄したい。

第2話

彼から妹ではなく幼馴染と教えられた時にクロエの表情は今にも泣き出しそうに歪み泊まらずに早々に帰りたかった。でも彼も反省してくれて申し訳ない顔になり弱々しい声で謝罪してくれたので予定通り泊まる。

次の日、朝ご飯を済ませて彼と二人でデートの約束だったのだが、何故か一緒に出かけるつもりなのか準備を整えたエリザベスが待っていた。

「ジャック私も行きたい」
「クロエと約束してたから…」
「お願い連れてって」
「しょうがないな。クロエもいいだろ？」
「えっ……？」
「クロエも嬉しすぎて喜びを隠せない感じだな」
「クロエさんありがとう」
「エリザベスと並んで歩くの楽しみだな」
「私もジャックと出かけられて嬉しい」

エリザベスは子供のように甘えて彼の腕を掴み引っ張り離れない。クロエは彼がきっぱり断ると思っていたが意外なほどあっさり受け入れてしまう。

彼がエリザベスとの同行を唐突に頼み込んできた。突然過ぎて戸惑い困った顔のクロエに彼は返事を聞くこともなく自分勝手にクロエの気持ちを汲み取る。

そしてクロエを無視するようにジャックとエリザベスは自分達だけの世界に入り込み手をたたいて喜び盛り上がっている。そんな二人を見ながらクロエは寂しげに愛想笑いを浮かべた。

「そう言えばエリザベスさんも昨日泊まったんだね」
「はい、ジャックのお父様とお母様と一緒の部屋で寝ました」

エリザベスは彼の両親の部屋で親子のように川の字になって寝たらしい。どんだけ緊張を欠いた馴れ合いの関係なのかと口を開けて呆れたような表情になる。

デートの最中もどういうわけかエリザベスが彼とクロエの間に入り、婚約者のクロエのことは放っておいてジャックとエリザベスだけで語り合ったり笑ったりしていて完全に空振りに終わったデートでした。