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第1話

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婚約者のジャック伯爵令息22歳の家に夕食に招待され宿泊したクロエ子爵令嬢20歳は心が空っぽになり顔色は血の気を失っていた。

「ようこそお越しくださいました」

ジャックの家に行くとクロエと同じ年齢くらいの女性が彼の両親と一緒に満面の笑顔を見せて温かく迎え入れてくれた。

最初クロエは彼の妹だと思っていた。クロエとジャックその女性エリザベスと彼の両親で同じテーブルを囲み愉快な気分で食事をする。

「お母様、こちらでよろしいでしょうか?」

エリザベスは彼の家族のように振る舞いジャックの両親も彼女のことを自分の子供のように接して可愛がっていたのだからクロエが勘違いしても仕方がなかった。

ジャックもエリザベスと身内同士みたいな親しい雰囲気なので本当に仲の良い兄と妹だなとクロエは好意的な気持ちで微笑みをこぼしていた。

「湯浴みして汗を流してきます」

食事が終わるとエリザベスはお湯に浸かりに行くと言い、無邪気な笑顔で習慣化した動作のようにその場を離れた。

「可愛らしい妹さんだね」
「クロエ何言ってるんだ?」
「何って?」
「エリザベスは妹じゃないよ」
「えっ!?」
「幼馴染なんだ。でもクロエの言う通り妹みたいな存在かな」

エリザベスがお風呂に行った後に彼に何気なく言ったらなんと妹ではなく幼馴染でした。エリザベスは男爵家で近所に住んでおり昔から家族同士で気心が知れた関係だと言う。

「家に来るのはいつも通りの出来事なんだけど今回に限っては僕はやんわり断ったんだ。でもエリザベスがどうしても僕の婚約者が見たいって聞かなくて…」
「そうなんだ…もう婚約は無かったことにしたい」
「何か言った?」
「なんでもないよ」

ここに来てからジャックとエリザベスの打ち解けた親密な態度に仲良さそうに元気にはしゃいでいた姿を思い出す。エリザベスのことを妹だと思っていたから笑みを口元に浮かべて見ていたけど幼馴染と知れば言いようのない不快感を覚えてクロエは婚約は考え直したいと切実に思う。
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