異世界宿屋の住み込み従業員

熊ごろう

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147話 「フラグは回収するもの」

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大勢の人が行き交う街の大通りを一際目立つ集団が歩いて行く。
先頭を行く二人も整った顔立ちをしている為それなりに人目は引くが、問題は後ろの5人だろう。巨大な兎に3人のリザートマン達、それに外套をすっぽりとかぶった怪しげな人物。
正直めちゃくちゃ目立っている。

「じゃーまず服ですね。とにかく人前にでられる格好にしないと……」

ちらちらと視線を集めながらもそれに気が付いていないのか、気にしないことにしたのか加賀は周りの目を気にしたような様子は見せずすたすたと大通りを歩いて行く。

「ここです……店員さーん、ちょっといいですか」

割と宿の近くにある服屋に入るなり店員に声を掛ける加賀。
呼ばれて近寄ってきた店員をみるとドラゴンの背を押し口を開いた。

「この人にあいそうな服を見繕ってください、全身」

「はぁ……かしこまりました、ではこちらにどうぞ」

ドラゴンを店の奥へと連れて行くドラゴンそ見送りつつもついて行こうとはしない一同。
とりあえず店員に押しつけよう、それが皆の共通した思いだったのかも知れない。

「それじゃー次はリザートマンさん達のお買いものですねー。今日はどこに行きます?」

加賀の言葉を聞いて3人でヒソヒソと何やら話し合う様子のリザートマン達、やがてどうするか決まったのか1人が代表して前に出る。

「この街では黒鉄と呼ばれる木材を扱ってると聞いてます、それを入手したいのですが」

「んー…」

黒鉄、確かにこの街では扱っているのは確かである。だがどこで入手できるかとなると加賀には思い当たる店がない。
少しの間顔に指当て考えていた加賀であるが諦めたように指を降ろすとリザートマン達に向かい口を開く。

「それちょっと分からないかな、八木なら分かると思うけど……確か今日は現場って言ってたし、場所近いから聞きに行こっか」

そう言って八木の元へと向かう一同、程なくして八木の働く現場へと到着するがどうも様子がおかしいようだ。
武装した連中がしきりに誰かへと話しかけているように遠目から確認できる。

「わーなにかありそう」

「あれ、八木だね」

「あらまあ……まさか八木が回収するとは」

バクスによって立てられたフラグであったが、回収したのはなぜか加賀でなく八木であったらしい。

「険悪な感じではなさそうだけどー……あ、でも八木すっごい苛ついてそう」

「そうなの?」

「うん、多分だけどね」

遠目から見る限り言い争ってる様子はなく、八木の態度も普段とそう変わらないように見えるが、加賀には何となく八木が苛ついているのを感じ取ったらしい。

「対処する?」

「もめ事になりそうだったらお願いしてもいいいでしょうか……げっ」

八木の方を見ながらアイネと会話していた加賀であったが急に顔をしかめ声を漏らす。
加賀の視線の先では八木を囲んでいた内の一人がふと何気なくあたりを見渡し加賀達へ向け視線をピタリと合わせるところであった。

「うっわ、見られたー」

「こっち来るねあれ」

「どうしよっかな」

こちらをみたその男は仲間の肩を叩くとこちらに指先を向けなにかを言っているようだ。十中八九リザートマン達の事だろう。

「今日はラヴィいないんだよね」

探索者達の対応はラヴィがいればかなりスムーズにいく。だが今日はあいにくとラヴィはダンジョンに行っているため不在である。
加賀が悩んでいる打ちにも探索者達は加賀達に向かい近寄り始めている。
加賀は後ろに居たうーぎゃんをじっと見つめ口を開く。

「うーちゃん、騒ぎにならないようにあの連中こっちに来ないようにって出来るかな?」

うー(よゆーよゆー)

加賀の返事を待たずぱっと飛び出すうーちゃん、瞬時に探索者達の前に現れたかと思うと普段のつぶらな瞳からはとても想像出来ない様な殺気混じりの視線を彼らに向けた。

「おー……」

たったそれだけでお終いである、そこには器用にも立ったまま気絶する探索者達の姿と、なぜかとばっちりでこちらも立ったまま気絶するドラゴンの姿があった。
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