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156話 「緑色の悪魔」
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「たっだいまー! ……あれ、ヒューゴは?」
ヒューゴが風呂に行くといって食堂をでて数分後、他の探索者メンバーが宿へと到着したようだ。
食堂に入るなり大きな声で挨拶するシェイラ。突然の大きな声に少し驚いた表情を見せつつ加賀が答える。
「おかえりなさい。さっきお風呂行くって言ってましたよー」
「あーなるほど。じゃ私も行ってくるー……あっ、夜の話はもう聞いた?」
「聞きましたよー。だいじょぶなのでごゆっくりー」
話はもう聞いていると知って駆け足で部屋へと戻るシェイラ、やはり散々歩いた上で風呂に入っていないとなると毎日風呂に入る事になれた身にはかなり辛いのであろう。
「それじゃー……そろそろ仕込み始めないとね。うーちゃん行くよー、今日はちょっと多めに仕込まないとだ」
うっ(みんないっぱい食うんでないかの)
うーちゃんに言われ新人達の分を増やせば良いという考えを改める加賀。探索者達も一日だけとは言え簡易的な食事で済ませていたのだ、何時もよりきっと食う事だろう。
加賀はうーちゃんの頭を撫で繰り回し、どうしたものかと頭を悩ます。
単純に量を増やしても良いがそれだと少し寂しい、ならば品数でも増やすかと冷蔵庫のストックを思い浮かべつつ厨房へと向かうのであった。
「わー、やっぱいっぱい食べるね……」
「あ、加賀っちー。お代わり頂戴!」
「はいはーい」
予想通りその日の食堂は大忙しであった。新人らもそれなりに食うがなにより探索者達の食べる量がおかしい。普段であればもう食事を切り上げているだけの量を食べたにも関わらず。まだお代わりしようというのだ。
新たな注文を受けた加賀は咲耶と変わり厨房へと戻って行く。
「どうした? ぼーっとして、隣に食われて知らんぞい」
「あ、いえ……ちょ、まじで食うなやっ」
加賀が厨房に向かう姿をぼーっと眺めていた新人にアントンが声をかける。
その声に我に返った新人であるが、隣におかずを一品奪われており、残りを必死になってガードする。
「何、加賀ちゃんが気になるのか?」
「いや、まあ……かわいい子だなと、てかここの従業員皆可愛くないすか?」
「まあ、確かになー……そうだ、ちょっと耳かせ」
加賀の後姿にちらちらと視線を向ける新人をにやにやと眺めるヒューゴ。
ふと、何か思いついたようで新人に何やら耳打ちをする。
「え、まじっすか……」
「おうよ、次きたら声かけてみ」
にやにや顔のまま新人の肩を叩くヒューゴ。
お酒がかなり回っているのか実に楽しそうである。
そして程なくして咲耶と入れ替わった加賀が注文を取りにくる。
「注文はなんでしょー?」
「えっと、加賀ちゃんですよね?」
「え……はい、そうですけど?」
注文を取りに来た加賀に緊張した面持ちで話し掛ける新人、その顔は酔っているのかそれとも別の理由か、なかなかに真っ赤である。
「そ、その今付き合っている人いないって聞いて……あの俺でよければなんて……」
「…………」
加賀顔から表情が、そして目からハイライトが消えうせる。
無表情のままの顔をヒューゴに向け、新人に話しかける。
「それ、聞いたのってヒューゴさんからかな?」
「あ、はいそうっす」
「へー……とりあえず、返事としては付き合ってはいないけど気になる人はいるので無理です、ごめんね?」
新人のアタックをあっさり断る加賀。
そのまま厨房へと向かうべく歩き出し、ふと足を止める。
「あとボク男だから」
きっちり新人に止めを刺しつつ、ちらりと視線をヒューゴに向ける。
良い感じで酔っぱらっているのが周りの新人達と実に楽しそうに笑い転げていた。
「あー……笑った。……悪かったって、ほら早めに知っておいてよかったろ? 色々こじらせてから知ったらそれこそ血涙もんだぞ」
「他の従業員は女性だから安心してー……手を出したら多分死ぬけど。てかヒューゴ、あんた加賀ちゃんに謝っておきなよー?」
「うん? おうおう、あとで謝ってくよー」
ヒューゴの言葉に返す元気もないほどへこむ新人。
それを見てさすがに可哀想になったのかシェイラが声を掛ける。そして釘を刺しておくのも忘れない。
ヒューゴは謝っておくとは言うもののこの感じだと明日には忘れていそうである。
そしてそんな会話する彼らのもとにふらりと加賀が現れ、声を掛ける。
「別に構いませんよ?」
びくりとして振り返るヒューゴに口だけで笑いかける加賀。その手には何やら緑色の物体がのった皿があった。
「はい、どうぞヒューゴさん。ピーマンお好きでしたよね?」
「えっ……はい、大好きでし」
緑色の正体はピーマンである。それもびっちりと中にピーマンのみじん切りを付込め込んだものだ。
口は弧の字であるが目が一切笑っていない加賀の表情を見て、大人しく皿を受け取るヒューゴ。
酔いは一気にさめていた。
その日、皆が食い終わっても一人泣きながらピーマンと格闘するヒューゴの姿があったとか何とか。
ヒューゴが風呂に行くといって食堂をでて数分後、他の探索者メンバーが宿へと到着したようだ。
食堂に入るなり大きな声で挨拶するシェイラ。突然の大きな声に少し驚いた表情を見せつつ加賀が答える。
「おかえりなさい。さっきお風呂行くって言ってましたよー」
「あーなるほど。じゃ私も行ってくるー……あっ、夜の話はもう聞いた?」
「聞きましたよー。だいじょぶなのでごゆっくりー」
話はもう聞いていると知って駆け足で部屋へと戻るシェイラ、やはり散々歩いた上で風呂に入っていないとなると毎日風呂に入る事になれた身にはかなり辛いのであろう。
「それじゃー……そろそろ仕込み始めないとね。うーちゃん行くよー、今日はちょっと多めに仕込まないとだ」
うっ(みんないっぱい食うんでないかの)
うーちゃんに言われ新人達の分を増やせば良いという考えを改める加賀。探索者達も一日だけとは言え簡易的な食事で済ませていたのだ、何時もよりきっと食う事だろう。
加賀はうーちゃんの頭を撫で繰り回し、どうしたものかと頭を悩ます。
単純に量を増やしても良いがそれだと少し寂しい、ならば品数でも増やすかと冷蔵庫のストックを思い浮かべつつ厨房へと向かうのであった。
「わー、やっぱいっぱい食べるね……」
「あ、加賀っちー。お代わり頂戴!」
「はいはーい」
予想通りその日の食堂は大忙しであった。新人らもそれなりに食うがなにより探索者達の食べる量がおかしい。普段であればもう食事を切り上げているだけの量を食べたにも関わらず。まだお代わりしようというのだ。
新たな注文を受けた加賀は咲耶と変わり厨房へと戻って行く。
「どうした? ぼーっとして、隣に食われて知らんぞい」
「あ、いえ……ちょ、まじで食うなやっ」
加賀が厨房に向かう姿をぼーっと眺めていた新人にアントンが声をかける。
その声に我に返った新人であるが、隣におかずを一品奪われており、残りを必死になってガードする。
「何、加賀ちゃんが気になるのか?」
「いや、まあ……かわいい子だなと、てかここの従業員皆可愛くないすか?」
「まあ、確かになー……そうだ、ちょっと耳かせ」
加賀の後姿にちらちらと視線を向ける新人をにやにやと眺めるヒューゴ。
ふと、何か思いついたようで新人に何やら耳打ちをする。
「え、まじっすか……」
「おうよ、次きたら声かけてみ」
にやにや顔のまま新人の肩を叩くヒューゴ。
お酒がかなり回っているのか実に楽しそうである。
そして程なくして咲耶と入れ替わった加賀が注文を取りにくる。
「注文はなんでしょー?」
「えっと、加賀ちゃんですよね?」
「え……はい、そうですけど?」
注文を取りに来た加賀に緊張した面持ちで話し掛ける新人、その顔は酔っているのかそれとも別の理由か、なかなかに真っ赤である。
「そ、その今付き合っている人いないって聞いて……あの俺でよければなんて……」
「…………」
加賀顔から表情が、そして目からハイライトが消えうせる。
無表情のままの顔をヒューゴに向け、新人に話しかける。
「それ、聞いたのってヒューゴさんからかな?」
「あ、はいそうっす」
「へー……とりあえず、返事としては付き合ってはいないけど気になる人はいるので無理です、ごめんね?」
新人のアタックをあっさり断る加賀。
そのまま厨房へと向かうべく歩き出し、ふと足を止める。
「あとボク男だから」
きっちり新人に止めを刺しつつ、ちらりと視線をヒューゴに向ける。
良い感じで酔っぱらっているのが周りの新人達と実に楽しそうに笑い転げていた。
「あー……笑った。……悪かったって、ほら早めに知っておいてよかったろ? 色々こじらせてから知ったらそれこそ血涙もんだぞ」
「他の従業員は女性だから安心してー……手を出したら多分死ぬけど。てかヒューゴ、あんた加賀ちゃんに謝っておきなよー?」
「うん? おうおう、あとで謝ってくよー」
ヒューゴの言葉に返す元気もないほどへこむ新人。
それを見てさすがに可哀想になったのかシェイラが声を掛ける。そして釘を刺しておくのも忘れない。
ヒューゴは謝っておくとは言うもののこの感じだと明日には忘れていそうである。
そしてそんな会話する彼らのもとにふらりと加賀が現れ、声を掛ける。
「別に構いませんよ?」
びくりとして振り返るヒューゴに口だけで笑いかける加賀。その手には何やら緑色の物体がのった皿があった。
「はい、どうぞヒューゴさん。ピーマンお好きでしたよね?」
「えっ……はい、大好きでし」
緑色の正体はピーマンである。それもびっちりと中にピーマンのみじん切りを付込め込んだものだ。
口は弧の字であるが目が一切笑っていない加賀の表情を見て、大人しく皿を受け取るヒューゴ。
酔いは一気にさめていた。
その日、皆が食い終わっても一人泣きながらピーマンと格闘するヒューゴの姿があったとか何とか。
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