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162話 「お嬢様ぽい」
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「えと、もう売り切れて屋台片付けてまして……よければお一つお譲りしましょうか?」
「よろしいのですかっ?」
売り切れたと聞いて暗くなった表情であったが、すぐにぱっと明るくなる。
せっかくのお祭りですし、と一つ譲ることにした加賀。取っておいたフォダンショコラは一人二つ分、加賀は普段からちょくちょく食べる機会もあるのでと言う事で自分の分を女性に渡したようだ。
「この香りがずっと気になっていたのです……いざっ」
勢いよくかぶりついた為中の溶けたチョコがあふれ零れそうになる。
口に着いたチョコをぺろりと舐め、一口二口と食べ進めていく。
「……もうなくなってしまいました」
悲し気に手元を見つめる女性だがそこにあったお菓子は既に胃の中である。
ちらりと視線をアイネとうーちゃんへと向けるが二人共すでに2個目に突入している状態である。
(どこかのお嬢様なのかなー?)
女性が美味しそうに頬張る姿を笑みを浮かべ眺めていた加賀であるが、その女性の来ている衣服がかなり上等なものである事に気が付く。
よくよく見れば髪も荒れておらず、手も綺麗である。おそらくはどこかのお嬢様といったところだろうと当たりを付ける。
「ありがとうございました。ここを一度通ったときからずっと匂いが気になって気になって……」
「なるほど。お口にあったようで良かったです」
「ええ、とっても美味しかったです!」
その後は雑談しながら時を過ごしていた加賀達だが女性がふいに立ち上がると慌てた様子でもう戻らないといけない事を加賀達に告げる。
女婿に手を振り見送る一行。姿が見えなくったところで加賀がぽつりと呟く。
「どっかのお嬢様だよねーあれ」
「そうね、護衛も付いていたし」
「ありゃ、そうなんだ? ……うーちゃん、素振りしないの」
シュッシュッと素振りするうーちゃんの頭をぺちりと叩く加賀。大げさに痛がるうーちゃんの頬をもみほぐし満足したところで椅子から立ち上がる。
「お忍びか何かだったのかなっと。そんじゃー屋台めぐりにいこかー?」
うっ(はよはよ)
屋台めぐりと聞いて俄然やる気を出すうーちゃん。さきほどのお菓子2個だけじゃ到底満腹になるにはほど遠い。
「そうね……屋台を戻してから行くから先に行って貰ってても良い? 匂いでどこに居るかは分かるから安心して」
「匂い……確かに服に甘い匂いが……えと、じゃあ美味しそうな屋台探しておくからお願いしちゃおっかな」
アイネは少し考えた後、加賀に屋台を片付けてから合流するむねを伝える。
匂いと言われくんくんと服の匂いをかいでいた加賀であるが確かに甘い匂いがしみついているようだ。
それなら合流できるかなとアイネの提案を受けることにする。
「それじゃまたあとでー」
「ん、すぐ行くね」
アイネに手を振りうーちゃんと二人で人混みの中へと消えていく加賀。
二人が見えなくなったところでアイネはさてと、と呟く。
「これ片付けといて」
「…………ハイ」
そう言い残しさきほどの女性が向かった方向へと歩いて行くアイネ。
ちなみにアイネの言葉に反応したのはデーモンである。姿は見えないがきっとしょんぼりした顔をしていることだろう。
「お嬢様、そろそろ戻る時間ですぜ」
大通りを歩く先ほどの女性の後ろ、少し距離を取り歩く男が女性に話しかける。
「分かっているよ……もう少し自由な時間が欲しいね、本当。目当ての屋台もうしまっちゃってたんだよ」
そちらを振り返る事無く男の言葉に答える女性。
おそらくこの男は女性の護衛なのであろう。
「それじゃ買えなかった……あれ、でも何か食ってやしたよね?」
目当の屋台がしまっていたと聞いて肩をすくめる男だが、ふとお嬢様と呼ばれる女性が何かしら食べていたことを思い出す。
「親切な人に分けて貰ったの……と言うよりお店の人が自分用のを分けてくれたんでしょうね」
そう話す女性の顔は味を思い出しているのか頬が緩みがちだ。
「へぇ……って事は会えたんですね。どうでした?」
「普通に可愛い子だったよ……あ。でも服は普通じゃなかった。すごく可愛いの着てたなー」
どうでしたと聞かれ店員の姿を思い出す女性。アイネか加賀のどちらを思い浮かべたかは分からないが確かにどちらも見た目は可愛い子ではある、それに二人共咲耶特製の服を着ていた為そちらも印象に残っているようだ。
「せっかくこの街に着たのだから神の落とし子が作った料理もっと食べてみたかったのだけど……そうだ!」
「はい?」
いい事を思いついたとばかりに笑顔で振り向くお嬢様に呆気にとられた様子の護衛の男。
「帰るのは明後日、今日はもう無理でも……明日なら例の宿に泊まる事も出来るんじゃない? ちょっと宿に空きがあるか確認してきてくれない?」
「まあ、確認するのはかまいやせんが……許可が出るかは俺からは何とも、旦那様と相談してくだせえ。っと、この先に馬車用意してありますんでお嬢様は乗ってください。俺は宿の空きを確認してから戻りまさ」
そういうとお嬢様を馬車に押し込み馬車から離れる男。
護衛は馬車の中に待機しているので問題はない。男は馬車が居なくなるのを見送った後軽くため息をつくと宿の方へと向かおうとするが。
「……ちょっとお話聞きたいのだけど」
壁からにゅっと伸びてきた腕が男の体を拘束する。
男が驚き視線を壁に向けるとそこには黒くどろりとした霞の中に赤い光を放つ瞳が二つ浮かんでいた。
「よろしいのですかっ?」
売り切れたと聞いて暗くなった表情であったが、すぐにぱっと明るくなる。
せっかくのお祭りですし、と一つ譲ることにした加賀。取っておいたフォダンショコラは一人二つ分、加賀は普段からちょくちょく食べる機会もあるのでと言う事で自分の分を女性に渡したようだ。
「この香りがずっと気になっていたのです……いざっ」
勢いよくかぶりついた為中の溶けたチョコがあふれ零れそうになる。
口に着いたチョコをぺろりと舐め、一口二口と食べ進めていく。
「……もうなくなってしまいました」
悲し気に手元を見つめる女性だがそこにあったお菓子は既に胃の中である。
ちらりと視線をアイネとうーちゃんへと向けるが二人共すでに2個目に突入している状態である。
(どこかのお嬢様なのかなー?)
女性が美味しそうに頬張る姿を笑みを浮かべ眺めていた加賀であるが、その女性の来ている衣服がかなり上等なものである事に気が付く。
よくよく見れば髪も荒れておらず、手も綺麗である。おそらくはどこかのお嬢様といったところだろうと当たりを付ける。
「ありがとうございました。ここを一度通ったときからずっと匂いが気になって気になって……」
「なるほど。お口にあったようで良かったです」
「ええ、とっても美味しかったです!」
その後は雑談しながら時を過ごしていた加賀達だが女性がふいに立ち上がると慌てた様子でもう戻らないといけない事を加賀達に告げる。
女婿に手を振り見送る一行。姿が見えなくったところで加賀がぽつりと呟く。
「どっかのお嬢様だよねーあれ」
「そうね、護衛も付いていたし」
「ありゃ、そうなんだ? ……うーちゃん、素振りしないの」
シュッシュッと素振りするうーちゃんの頭をぺちりと叩く加賀。大げさに痛がるうーちゃんの頬をもみほぐし満足したところで椅子から立ち上がる。
「お忍びか何かだったのかなっと。そんじゃー屋台めぐりにいこかー?」
うっ(はよはよ)
屋台めぐりと聞いて俄然やる気を出すうーちゃん。さきほどのお菓子2個だけじゃ到底満腹になるにはほど遠い。
「そうね……屋台を戻してから行くから先に行って貰ってても良い? 匂いでどこに居るかは分かるから安心して」
「匂い……確かに服に甘い匂いが……えと、じゃあ美味しそうな屋台探しておくからお願いしちゃおっかな」
アイネは少し考えた後、加賀に屋台を片付けてから合流するむねを伝える。
匂いと言われくんくんと服の匂いをかいでいた加賀であるが確かに甘い匂いがしみついているようだ。
それなら合流できるかなとアイネの提案を受けることにする。
「それじゃまたあとでー」
「ん、すぐ行くね」
アイネに手を振りうーちゃんと二人で人混みの中へと消えていく加賀。
二人が見えなくなったところでアイネはさてと、と呟く。
「これ片付けといて」
「…………ハイ」
そう言い残しさきほどの女性が向かった方向へと歩いて行くアイネ。
ちなみにアイネの言葉に反応したのはデーモンである。姿は見えないがきっとしょんぼりした顔をしていることだろう。
「お嬢様、そろそろ戻る時間ですぜ」
大通りを歩く先ほどの女性の後ろ、少し距離を取り歩く男が女性に話しかける。
「分かっているよ……もう少し自由な時間が欲しいね、本当。目当ての屋台もうしまっちゃってたんだよ」
そちらを振り返る事無く男の言葉に答える女性。
おそらくこの男は女性の護衛なのであろう。
「それじゃ買えなかった……あれ、でも何か食ってやしたよね?」
目当の屋台がしまっていたと聞いて肩をすくめる男だが、ふとお嬢様と呼ばれる女性が何かしら食べていたことを思い出す。
「親切な人に分けて貰ったの……と言うよりお店の人が自分用のを分けてくれたんでしょうね」
そう話す女性の顔は味を思い出しているのか頬が緩みがちだ。
「へぇ……って事は会えたんですね。どうでした?」
「普通に可愛い子だったよ……あ。でも服は普通じゃなかった。すごく可愛いの着てたなー」
どうでしたと聞かれ店員の姿を思い出す女性。アイネか加賀のどちらを思い浮かべたかは分からないが確かにどちらも見た目は可愛い子ではある、それに二人共咲耶特製の服を着ていた為そちらも印象に残っているようだ。
「せっかくこの街に着たのだから神の落とし子が作った料理もっと食べてみたかったのだけど……そうだ!」
「はい?」
いい事を思いついたとばかりに笑顔で振り向くお嬢様に呆気にとられた様子の護衛の男。
「帰るのは明後日、今日はもう無理でも……明日なら例の宿に泊まる事も出来るんじゃない? ちょっと宿に空きがあるか確認してきてくれない?」
「まあ、確認するのはかまいやせんが……許可が出るかは俺からは何とも、旦那様と相談してくだせえ。っと、この先に馬車用意してありますんでお嬢様は乗ってください。俺は宿の空きを確認してから戻りまさ」
そういうとお嬢様を馬車に押し込み馬車から離れる男。
護衛は馬車の中に待機しているので問題はない。男は馬車が居なくなるのを見送った後軽くため息をつくと宿の方へと向かおうとするが。
「……ちょっとお話聞きたいのだけど」
壁からにゅっと伸びてきた腕が男の体を拘束する。
男が驚き視線を壁に向けるとそこには黒くどろりとした霞の中に赤い光を放つ瞳が二つ浮かんでいた。
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