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218話 「実食」
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フライパンで焼き、焦げ目の付いた肉に予め合わせておいた調味料をかけまわす。
途端にフライパンから上がる食欲を誘う香ばしい匂い。この匂いに抗える者は居ないのではないだろうか。特に数年振りに嗅いだとなればなおさらだ。
「うぉぉおお……匂いやべえ、懐かしすぎて俺泣きそう」
「あぁー……確かに久しぶりに嗅ぐとやばい。唾液出てくるね」
その数年振りに嗅いだ八木と加賀の二人はすんすんと鼻を鳴らしてはぁとため息をつく。
八木は懐かしさのあまり涙ぐみ、加賀は沸いた唾液に慌てて口元を押さえる。
「……香ばしいけど変わった匂いね」
が、それは日常的に食べ嗅いでいた者の反応である。
初めて嗅いだ匂いにアイネは変わった匂いであると口にする。
これでもかなりオブラートに包んだ表現だろう、現に醤油や味噌を見たときのアイネの反応はと言うと――
「アイネさん、これ醤油だよー」
「そう、これが……すごい色ね」
醤油が入った容器の蓋を開け、まるで自慢するの様にアイネに中身を見せる加賀。
一方醤油を見たアイネはと言うと、その予想以上に個性的な色合いにどう感想を述べたらよいか困っている様に見える。
「アンデッドの体液みたいな」
「アイネさんっ!?」
困った結果がこの感想である。
そのあんまりな感想に思わず八木から悲鳴があがる。
「出来ればもっと美味しそうな物に例えて貰えると……」
醤油の見た目は初めてみる人にとってあまりよろしくはない、醤油を海外に展開した際にバグジュース呼ばわりされた事もあったぐらいである。
その事を加賀は知っていたがまさかアンデッドの体液に例えられるとは思っていなかった様だ、少し顔が引きつっている。
「ごめんなさい。他に例え様がなくて……」
一応アイネには悪気はなかったようだ、なにせ自身がアンデッドなのである。
とは言えよろしくない例えであったとは気が付いたらしく申し訳なさそうに頭を下げる。
「あーいやいや。まあ、無理して例えなくても……」
「醤油は真っ黒だしねえ、しょうがないよ」
頭を下げるアイネを見て慌てて手をぱたぱたと振る八木。
加賀も見た目が悪いのだからしょうがないとフォローを入れる。
「あ、じゃあ味噌はどーっす?」
「……えっと」
そして誤魔化すように今度は味噌をアイネに見せる八木であったが、ここでもアイネはどう感想を述べたらよいか困っている様に見える。
「あれに似てるね……その」
「それ以上はいけない」
――といった具合に見た目に関してはかなりあれな言われようであった。
「なれると良い匂いかも」
だが、人は段々慣れてくるものである。
アイネの評価も生姜焼きを作っていく内に変わった匂いから良い匂いへと格上げされていた。
「それに色も薄まると黒じゃなくなるんだね。食べるの楽しみ……でもお味噌? は色変わらないね」
さらに酒などの調味料と合わせた事もあって醤油の色は薄まりあまり気にならなくなってきたようだ。
ただ、味噌に関しては水に溶いても色はあまり変わらないが……もっとも液体になるだけで大分見た目は緩和されている。
「味噌は基本こんな感じすなあ」
「おっしゃ出来た。あと盛り付けるだけだから席座っててよー」
肉を焼き始めれば完成まではさほど時間は掛からない。
雑談している間にも肉は美味しそうに焼き上がりあとは盛り付けを残すのみだ。
「それじゃいただきますっと」
食事の挨拶をして久しぶりの和食と呼べるものを口にする加賀と八木、それに咲耶。
生姜焼きのお肉は柔らかく焼き上がり、ショウガのアクセントが効いた甘辛いタレが絡み合い非常にご飯が進む。
「ん、生姜焼きだ。やっぱご飯に合うなあ……ご飯はちょっとパサつき気味かな、次は水増やすか」
ゴートン特製の鉄釡で炊かれたご飯は良く炊けていたが米の品種の差だろうか、若干固めに炊きあがっていたらしい。それでも加賀の顔には笑みが浮かんでいるあたり久しぶりの和食は美味しかった様である。
「八木はー……そのまま喋ったらひっぱたくよ」
「んぐっ…………っぷは、喉詰まるとこだった!」
他の人にも感想を聞こうとまず八木へと視線を向けた加賀であったが、八木はがっついて食べたせいでリスの様に口をぱんぱんに膨らませていた。
「美味いよ! 生姜焼きも味噌汁も美味い。ご飯はどうなるかと思ったけど、炊き立てだし十分美味しいと思う」
八木もご飯は少し気になるようではあるが十分美味しとの評価である。
その食べっぷりからいって決してお世辞などでは無いだろう。
「んで母ちゃんは……うん、美味しいと。アイネさんとバクスさんはどーです?」
そして咲耶へと視線を向けた加賀であったが、こちらも八木と同じように頬を膨らませる咲耶の姿があった。無言でこくこくと頷く様子から美味しかったのだろうと判断した加賀は次いでアイネとバクスにも声をかける。
なお、うーちゃんは既に自分でお代わりを取りに行っていたりするので気にいっているのは確かである。
「生姜焼きも味噌汁も単体だとちょっとしょっぱい。でもご飯と一緒だと丁度いい。……うん、甘辛で美味しい」
「概ね同意見だな。この甘辛い味付けはパンにも合うんじゃないか?」
「ん、それは良かった。パンには照り焼きって料理があって、それはすごく合うねー」
アイネとバクスの反応も悪くない、パンにも合うと聞いて今度作ってみようかなーと話す加賀。照り焼きであればパンとの相性も良く宿の皆にも受け入れやすいだろう。
途端にフライパンから上がる食欲を誘う香ばしい匂い。この匂いに抗える者は居ないのではないだろうか。特に数年振りに嗅いだとなればなおさらだ。
「うぉぉおお……匂いやべえ、懐かしすぎて俺泣きそう」
「あぁー……確かに久しぶりに嗅ぐとやばい。唾液出てくるね」
その数年振りに嗅いだ八木と加賀の二人はすんすんと鼻を鳴らしてはぁとため息をつく。
八木は懐かしさのあまり涙ぐみ、加賀は沸いた唾液に慌てて口元を押さえる。
「……香ばしいけど変わった匂いね」
が、それは日常的に食べ嗅いでいた者の反応である。
初めて嗅いだ匂いにアイネは変わった匂いであると口にする。
これでもかなりオブラートに包んだ表現だろう、現に醤油や味噌を見たときのアイネの反応はと言うと――
「アイネさん、これ醤油だよー」
「そう、これが……すごい色ね」
醤油が入った容器の蓋を開け、まるで自慢するの様にアイネに中身を見せる加賀。
一方醤油を見たアイネはと言うと、その予想以上に個性的な色合いにどう感想を述べたらよいか困っている様に見える。
「アンデッドの体液みたいな」
「アイネさんっ!?」
困った結果がこの感想である。
そのあんまりな感想に思わず八木から悲鳴があがる。
「出来ればもっと美味しそうな物に例えて貰えると……」
醤油の見た目は初めてみる人にとってあまりよろしくはない、醤油を海外に展開した際にバグジュース呼ばわりされた事もあったぐらいである。
その事を加賀は知っていたがまさかアンデッドの体液に例えられるとは思っていなかった様だ、少し顔が引きつっている。
「ごめんなさい。他に例え様がなくて……」
一応アイネには悪気はなかったようだ、なにせ自身がアンデッドなのである。
とは言えよろしくない例えであったとは気が付いたらしく申し訳なさそうに頭を下げる。
「あーいやいや。まあ、無理して例えなくても……」
「醤油は真っ黒だしねえ、しょうがないよ」
頭を下げるアイネを見て慌てて手をぱたぱたと振る八木。
加賀も見た目が悪いのだからしょうがないとフォローを入れる。
「あ、じゃあ味噌はどーっす?」
「……えっと」
そして誤魔化すように今度は味噌をアイネに見せる八木であったが、ここでもアイネはどう感想を述べたらよいか困っている様に見える。
「あれに似てるね……その」
「それ以上はいけない」
――といった具合に見た目に関してはかなりあれな言われようであった。
「なれると良い匂いかも」
だが、人は段々慣れてくるものである。
アイネの評価も生姜焼きを作っていく内に変わった匂いから良い匂いへと格上げされていた。
「それに色も薄まると黒じゃなくなるんだね。食べるの楽しみ……でもお味噌? は色変わらないね」
さらに酒などの調味料と合わせた事もあって醤油の色は薄まりあまり気にならなくなってきたようだ。
ただ、味噌に関しては水に溶いても色はあまり変わらないが……もっとも液体になるだけで大分見た目は緩和されている。
「味噌は基本こんな感じすなあ」
「おっしゃ出来た。あと盛り付けるだけだから席座っててよー」
肉を焼き始めれば完成まではさほど時間は掛からない。
雑談している間にも肉は美味しそうに焼き上がりあとは盛り付けを残すのみだ。
「それじゃいただきますっと」
食事の挨拶をして久しぶりの和食と呼べるものを口にする加賀と八木、それに咲耶。
生姜焼きのお肉は柔らかく焼き上がり、ショウガのアクセントが効いた甘辛いタレが絡み合い非常にご飯が進む。
「ん、生姜焼きだ。やっぱご飯に合うなあ……ご飯はちょっとパサつき気味かな、次は水増やすか」
ゴートン特製の鉄釡で炊かれたご飯は良く炊けていたが米の品種の差だろうか、若干固めに炊きあがっていたらしい。それでも加賀の顔には笑みが浮かんでいるあたり久しぶりの和食は美味しかった様である。
「八木はー……そのまま喋ったらひっぱたくよ」
「んぐっ…………っぷは、喉詰まるとこだった!」
他の人にも感想を聞こうとまず八木へと視線を向けた加賀であったが、八木はがっついて食べたせいでリスの様に口をぱんぱんに膨らませていた。
「美味いよ! 生姜焼きも味噌汁も美味い。ご飯はどうなるかと思ったけど、炊き立てだし十分美味しいと思う」
八木もご飯は少し気になるようではあるが十分美味しとの評価である。
その食べっぷりからいって決してお世辞などでは無いだろう。
「んで母ちゃんは……うん、美味しいと。アイネさんとバクスさんはどーです?」
そして咲耶へと視線を向けた加賀であったが、こちらも八木と同じように頬を膨らませる咲耶の姿があった。無言でこくこくと頷く様子から美味しかったのだろうと判断した加賀は次いでアイネとバクスにも声をかける。
なお、うーちゃんは既に自分でお代わりを取りに行っていたりするので気にいっているのは確かである。
「生姜焼きも味噌汁も単体だとちょっとしょっぱい。でもご飯と一緒だと丁度いい。……うん、甘辛で美味しい」
「概ね同意見だな。この甘辛い味付けはパンにも合うんじゃないか?」
「ん、それは良かった。パンには照り焼きって料理があって、それはすごく合うねー」
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