45 / 332
44話 「ギルドのノルマ」
しおりを挟む
森へと続く道を1台の馬車が通る。
御者台に座るのは加賀とうーちゃん。
ギルドのノルマを達成すべく、今回は栗を拾いに来たのだ。
冬に備えて食いだめをする動物が多く、自然と危険な生物と出会う確率も高くなる。
この時期のこの手の依頼は複数回受けたものと同じ扱いとなり、うーちゃんと一緒であれば安全に採取できる加賀にとってはおいしい依頼となっていた。
「栗とれたらー。どうしようね、なにかお菓子作りたいけど」
うっ(お菓子?あまいやつかの。それならさくさくしたのがええの)
「さくさくかー。栗つかったやつでさくさく……なにかあったかな」
もちろん余計にとった分は加賀達の胃袋に収まることになる。むしろそちらが主目的といってもいいだろう。
「とうちゃーっく」
「いっぱい落ちてるわねえ、ごめんなさいね。手伝えなくて……」
いいよいいよーと言いながら馬車を降り、籠を背負う加賀。
今回アンジェはイガが毛に絡むという理由でその場でお留守番となる。
うー(全部とりつくすんじゃー)
「ありすぎても食べきれないよー」
栗を靴で挟み込みひょいひょいと栗を拾っていく加賀。
虫食いがないのを籠にどんどん詰め込んでいく。
栗は拾うのに少し手間がかかるのと一つ一つがそこまで大きくないので籠がいっぱいになるまで時間がかかるようだ。
3つほどいっぱいなったところで、うーちゃんが加賀のそでをぐいぐいと引っ張る。
うっ(加賀ー、そろそろめしにしようぞ)
「ん、そろそろお昼っぽいね、ごはんにしよっか」
籠を抱え馬車へと戻る加賀とうーちゃん。
馬車から敷物と弁当をとりだし地面へと広げる。
「あらあら、ずいぶんとたくさんあるのねえ」
うー(でかしたー加賀)
「いっぱいたべてねー」
さきほどまで使っていた籠より大きな包み、中には加賀が朝から仕込んできてお弁当がはいっている。
3人と考えるとあきらかに多すぎるその量だが、アンジェの存在を考えればむしろ少ないかも知れない。
と、思われたが
「も、もう食べれないわあ……」
うっ(くるちぃ)
「ボクも……あれ、アンジェっていがいと小食……?」
予想以上にあまる弁当。
うーちゃんは最近手乗りサイズから猫並みのサイズへと変わっていたが、それほど量は食べれない。
加賀もうーちゃん並みである。
予想外だったのがアンジェだ。加賀よりはあきらかに食べているが、それでも普通の人並み程度に思える。
加賀がどうしたのかと尋ねるがアンジェ曰く、自分は人と食べる量はさほど変わらないとのこと
その量でどうやってあの巨体を維持しているのか不明だが、現にアンジェはもうおなか一杯でこれ以上食べれそうにない。
あまったものをどうしようかと悩む加賀、ふいにその耳に何者かの声が届く。
(……ケテ…ス………タスケ)
「ん……何かきこえたよう…な」
音がした方向へと振り向く加賀、その視線の先にいたのはうーちゃんであった。だがその姿にどこか違和感を覚える加賀。
よくよくみると頬がぽこりと膨れている。
口の中で何かを転がすように頬のふくらみが動く、そしてごりっと何かをかむ音と同時に先ほどの声が聞こえてくる。タスケテと。
「う、うーちゃん……? な、なにたべてるのかな?」
うっ(なんかおちとった)
「それ食べちゃだめなやつだから! ぺっしなさいぺっ」
加賀にいわれしぶしぶといった様子で口に含んだものをはきだすうーちゃん。
それは一見すると飴玉のような綺麗な赤色をした玉であった。
吐き出された玉はころころと転がり、ふいにふわりと宙に浮かぶ。
(やれやれ、ひどいめにあったわい……)
「玉もしゃべるのね……」
(んんー? ほっほう、神落もとし子かあ久しく見てなかったのう)
球がなぜ喋るのかというのは置いておいて、ひとまずうーちゃんが食べようとしたことを謝罪する加賀。
そういった性格なのか、本当に気にしてないのか。球はよいよいと言って怒った様子はみせない。
そしてそんな事よりも気になることがあるのか、ふわふわとお弁当の上にくるとそこで動きを止める。
(ぬう? なんじゃこれは、何かええ匂いがするのう)
(鼻あるの……?)
どうみてもただの球体。どこに鼻があるのか疑問ではあるが加賀はひとまず置いておくことにしたようだ。
神の加護により自分が作った料理は誰でも食えること、おそらく球も例外ではないことを話す。
(ほー……ためしに食べてみていいかの?)
「あ、どうぞどうぞ。ボクらもうおなか一杯なので」
果たしてそれを食べると言って良いのかどうか難しいところである。
玉が近づいた瞬間、周りにあった料理がかき消えていくのだ。
「お、おぉぉ……?」
不思議な光景に目をしばたたく加賀。
そうこうしている間にも料理は消えていき、消えていく量に比例して玉がどんどん大きくなっていく。
料理が全てなくなったとき飴玉サイズだった玉は一抱えほどもある大きさとなっていた。
(ふいー……こりゃすごい、まさか一気に満腹になるとは思わんかったわい)
「ええっと、お粗末様でした?」
満足げにため息をつくと再びふわりと宙に舞う玉。
加賀の前までゆっくりと進みぴたりと止まる。
(腹もふくれたし戻るとするかの、すっかりごちそうになってしまったのう……神の落とし子よこの礼はいずれ)
そう言うと玉は地面に溶け込むように消えてしまう。
「なんだったんだろね、あれ」
うっ(わしがしるかーい)
「よく分からないもの食べようとしちゃダメだよ……」
その後何事もなく残りの栗をひろった3人?は街へと戻るのであった。
御者台に座るのは加賀とうーちゃん。
ギルドのノルマを達成すべく、今回は栗を拾いに来たのだ。
冬に備えて食いだめをする動物が多く、自然と危険な生物と出会う確率も高くなる。
この時期のこの手の依頼は複数回受けたものと同じ扱いとなり、うーちゃんと一緒であれば安全に採取できる加賀にとってはおいしい依頼となっていた。
「栗とれたらー。どうしようね、なにかお菓子作りたいけど」
うっ(お菓子?あまいやつかの。それならさくさくしたのがええの)
「さくさくかー。栗つかったやつでさくさく……なにかあったかな」
もちろん余計にとった分は加賀達の胃袋に収まることになる。むしろそちらが主目的といってもいいだろう。
「とうちゃーっく」
「いっぱい落ちてるわねえ、ごめんなさいね。手伝えなくて……」
いいよいいよーと言いながら馬車を降り、籠を背負う加賀。
今回アンジェはイガが毛に絡むという理由でその場でお留守番となる。
うー(全部とりつくすんじゃー)
「ありすぎても食べきれないよー」
栗を靴で挟み込みひょいひょいと栗を拾っていく加賀。
虫食いがないのを籠にどんどん詰め込んでいく。
栗は拾うのに少し手間がかかるのと一つ一つがそこまで大きくないので籠がいっぱいになるまで時間がかかるようだ。
3つほどいっぱいなったところで、うーちゃんが加賀のそでをぐいぐいと引っ張る。
うっ(加賀ー、そろそろめしにしようぞ)
「ん、そろそろお昼っぽいね、ごはんにしよっか」
籠を抱え馬車へと戻る加賀とうーちゃん。
馬車から敷物と弁当をとりだし地面へと広げる。
「あらあら、ずいぶんとたくさんあるのねえ」
うー(でかしたー加賀)
「いっぱいたべてねー」
さきほどまで使っていた籠より大きな包み、中には加賀が朝から仕込んできてお弁当がはいっている。
3人と考えるとあきらかに多すぎるその量だが、アンジェの存在を考えればむしろ少ないかも知れない。
と、思われたが
「も、もう食べれないわあ……」
うっ(くるちぃ)
「ボクも……あれ、アンジェっていがいと小食……?」
予想以上にあまる弁当。
うーちゃんは最近手乗りサイズから猫並みのサイズへと変わっていたが、それほど量は食べれない。
加賀もうーちゃん並みである。
予想外だったのがアンジェだ。加賀よりはあきらかに食べているが、それでも普通の人並み程度に思える。
加賀がどうしたのかと尋ねるがアンジェ曰く、自分は人と食べる量はさほど変わらないとのこと
その量でどうやってあの巨体を維持しているのか不明だが、現にアンジェはもうおなか一杯でこれ以上食べれそうにない。
あまったものをどうしようかと悩む加賀、ふいにその耳に何者かの声が届く。
(……ケテ…ス………タスケ)
「ん……何かきこえたよう…な」
音がした方向へと振り向く加賀、その視線の先にいたのはうーちゃんであった。だがその姿にどこか違和感を覚える加賀。
よくよくみると頬がぽこりと膨れている。
口の中で何かを転がすように頬のふくらみが動く、そしてごりっと何かをかむ音と同時に先ほどの声が聞こえてくる。タスケテと。
「う、うーちゃん……? な、なにたべてるのかな?」
うっ(なんかおちとった)
「それ食べちゃだめなやつだから! ぺっしなさいぺっ」
加賀にいわれしぶしぶといった様子で口に含んだものをはきだすうーちゃん。
それは一見すると飴玉のような綺麗な赤色をした玉であった。
吐き出された玉はころころと転がり、ふいにふわりと宙に浮かぶ。
(やれやれ、ひどいめにあったわい……)
「玉もしゃべるのね……」
(んんー? ほっほう、神落もとし子かあ久しく見てなかったのう)
球がなぜ喋るのかというのは置いておいて、ひとまずうーちゃんが食べようとしたことを謝罪する加賀。
そういった性格なのか、本当に気にしてないのか。球はよいよいと言って怒った様子はみせない。
そしてそんな事よりも気になることがあるのか、ふわふわとお弁当の上にくるとそこで動きを止める。
(ぬう? なんじゃこれは、何かええ匂いがするのう)
(鼻あるの……?)
どうみてもただの球体。どこに鼻があるのか疑問ではあるが加賀はひとまず置いておくことにしたようだ。
神の加護により自分が作った料理は誰でも食えること、おそらく球も例外ではないことを話す。
(ほー……ためしに食べてみていいかの?)
「あ、どうぞどうぞ。ボクらもうおなか一杯なので」
果たしてそれを食べると言って良いのかどうか難しいところである。
玉が近づいた瞬間、周りにあった料理がかき消えていくのだ。
「お、おぉぉ……?」
不思議な光景に目をしばたたく加賀。
そうこうしている間にも料理は消えていき、消えていく量に比例して玉がどんどん大きくなっていく。
料理が全てなくなったとき飴玉サイズだった玉は一抱えほどもある大きさとなっていた。
(ふいー……こりゃすごい、まさか一気に満腹になるとは思わんかったわい)
「ええっと、お粗末様でした?」
満足げにため息をつくと再びふわりと宙に舞う玉。
加賀の前までゆっくりと進みぴたりと止まる。
(腹もふくれたし戻るとするかの、すっかりごちそうになってしまったのう……神の落とし子よこの礼はいずれ)
そう言うと玉は地面に溶け込むように消えてしまう。
「なんだったんだろね、あれ」
うっ(わしがしるかーい)
「よく分からないもの食べようとしちゃダメだよ……」
その後何事もなく残りの栗をひろった3人?は街へと戻るのであった。
21
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生小説家の華麗なる円満離婚計画
鈴木かなえ
ファンタジー
キルステン伯爵家の令嬢として生を受けたクラリッサには、日本人だった前世の記憶がある。
両親と弟には疎まれているクラリッサだが、異母妹マリアンネとその兄エルヴィンと三人で仲良く育ち、前世の記憶を利用して小説家として密かに活躍していた。
ある時、夜会に連れ出されたクラリッサは、弟にハメられて見知らぬ男に襲われそうになる。
その男を返り討ちにして、逃げ出そうとしたところで美貌の貴公子ヘンリックと出会った。
逞しく想像力豊かなクラリッサと、その家族三人の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる