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49話 「胃に穴があきそう」
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翌朝おそるおそると言った様子でパソコンを見詰める二人と何時も通りな一匹。
パソコン内置かれたメモには一言まかせておきなさいとだけあった。
それをみてほっとする二人、とりあえずは対応してくれるようである。
「そうか……とりあえずは一安心といったところか」
メモの内容をバクスに伝える二人。バクスもかなり気を揉んでいたようでほっと胸をなで下ろす。
「とりあえず一番の懸念はなんとかなりそうだ。とは言え前みたいにあほが暴走する可能性もある、二人は十分に気をつけてくれ。加賀はうーちゃんから離れるなよ? 八木も宿を離れないように。どこか出かけるときは俺に声をかけてくれ」
バクスの言いつけを守り過ごすこと数日。
二人の生活にはこれと言った変化は見られない、たまに変なのが来るがいずれもダンジョンの噂を聞いてやってきた者たちだ。
一方のバクスはまずは従業員確保しないと話にならないということですさっそく商業ギルドへ行き、従業員募集の案内を掲示して貰う。
「その、実はもうすでにいろんな方々が人員の募集掛けてまして……なかなか集まらないと思いますがよろしいでしょうか?」
「ああ、かまわん」
やはり既に募集を始めるところは始めていたらしい。
今から集めるのは大変だろうがそれでもやらない訳には行かない、バクスは手数料を払うとギルドを後にするのであった。
それから数日し商業ギルドをたずねたバクス。応募者の集まり具合はどんなもんかと確認するが、なんと100を超える応募者があったとの話を聞かされる。
本来であれば喜ばしい話しだがバクスの顔は苦り切っている。
受け取った応募用紙をぺらぺらと眺めるバクスだが、ある程度眺めたところで机に用紙を放り出し、椅子にもたれかかり天を仰ぎ見る。
「ほとんどが最近越してきた奴じゃねえか……いくらなんでもあからさますぎるだろ、おい」
応募してきたのはほとんどが元々この街に住んでいたものではない、そしてなぜか他にも募集が大量にあったにもかかわらずバクスの応募にのみ殺到している。
これに関しては八木と加賀目当てだろうなと当たりをつけるバクス。
「この中から本当の応募者見つけろってか……一人じゃ絶対無理だわな」
中には以前からこの街に住んでいた他国の者もいるだろう、そういった人と本当に働きたくて応募した人とをみわけるのは非常に手間だし、どう探していけば良いのかも検討が付かない。
バクスは職員にギルマスへの面会を願い出るのであった。
「良い報告があるぞ」
ギルマスを巻き込んでから数日後。
ギルドの部屋を間借りし、いくつか応募者の面談を済ませ書類とにらめっこしていたバクスにギルマスが声を掛ける。
「本当か!?」
良い報告と聞いてがばっと顔を向けるバクス、その勢いに押されつつもギルマスは口を開く。
「ダンジョンの話しだが……そうがっかりするな。先日各国に向けて神からお告げがあった」
ギルマスから聞いた神からお告げは以下のような内容であった。
神の落とし子にはダンジョンを復活させる力はない、ダンジョン復活とは無関係である。
ここまでは特筆するような話しではないが、いつものお告げと異なる点が一つあった。
それは一柱の神からだけではなく、現在存在する神々のほとんどが連名でお告げを出したと言うことだろう。
よその神様が出したお告げであればその内容を疑うものも少なからず存在する。だが自分たちの神からもとなれば話は別だ。
「そんなわけだ……まあ、ひとまずは何とかなったと思っていいぞ?」
「そうか……報告ありがとう。本当に良かった……」
礼を言うバクスに向けいやいやと手を振るギルマス。
そして思い出したようそうそう、と口を開く。
「ほれ、依頼されてた身辺調査の結果だ」
「む、すまんな」
報告書を受け取り中を内容を確認していくバクス、次第に表情が顔から消えていく。
そして一通り報告書に目を通し、テーブルにぱさりと置くとぽつりと呟く。
「……全滅じゃねえか」
面談しいくつかに絞った候補者その全てが身辺調査の結果NGであったのだ。
落ち込むバクスに気を遣うかのように話を続けるギルマス。
「彼らに特別な力が無いことが分かった以上残るはその技術。みんな神の落とし子の技術を独占したいのさ。この国の畜産や農業が優秀なのはその技術によるものだ」
知っているだろう?と話すギルマスに肯くバクス。
「危険な長旅は無理という事で一国にとどまっても良いという話しにはなったが……まあ、それも優秀な護衛が大量につけるとか説得すれば気が変わるかも知れん。無理矢理連れてくのは無理でも仲良くなってあわよくば……と考える連中がそれなりに居るんだろうな」
そんな連中にとってはチャンスな訳だ。
そう言ってちらりと報告書を見やるギルマス。
「まぁ、そうだろうな……」
ため息を吐き出し、椅子に深くもたれ掛かり天を仰ぎ見るバクス。
「夏に入る前に国際会議、そこでどうするか各国できっちり話し合うだろう、そこで方針が決まれば以降はこう言ったのは収まるだろうが……それまで募集するの無理かもな」
ギルマスの言葉を聞いてずりずりと椅子からすべり落ちるバクス。
その様子を見て思わずといった様子で笑ってしまうギルマス。
そんなギルマスを非難がましい目で見るバクス。椅子に腰かけ直すとまたため息をつく。
「お前がそんな困ってるのは初めて見たかも知れんな。ま、気長に募集するしかないだろうよ、下手に焦って変なの雇ったらそっちのが大変だぞ?」
「分かってる……」
ギルマスとの話も終わり重い足取りでギルドを後にするバクス。
とりあえず二人と相談しようと心に決め家路に付くのであった。
パソコン内置かれたメモには一言まかせておきなさいとだけあった。
それをみてほっとする二人、とりあえずは対応してくれるようである。
「そうか……とりあえずは一安心といったところか」
メモの内容をバクスに伝える二人。バクスもかなり気を揉んでいたようでほっと胸をなで下ろす。
「とりあえず一番の懸念はなんとかなりそうだ。とは言え前みたいにあほが暴走する可能性もある、二人は十分に気をつけてくれ。加賀はうーちゃんから離れるなよ? 八木も宿を離れないように。どこか出かけるときは俺に声をかけてくれ」
バクスの言いつけを守り過ごすこと数日。
二人の生活にはこれと言った変化は見られない、たまに変なのが来るがいずれもダンジョンの噂を聞いてやってきた者たちだ。
一方のバクスはまずは従業員確保しないと話にならないということですさっそく商業ギルドへ行き、従業員募集の案内を掲示して貰う。
「その、実はもうすでにいろんな方々が人員の募集掛けてまして……なかなか集まらないと思いますがよろしいでしょうか?」
「ああ、かまわん」
やはり既に募集を始めるところは始めていたらしい。
今から集めるのは大変だろうがそれでもやらない訳には行かない、バクスは手数料を払うとギルドを後にするのであった。
それから数日し商業ギルドをたずねたバクス。応募者の集まり具合はどんなもんかと確認するが、なんと100を超える応募者があったとの話を聞かされる。
本来であれば喜ばしい話しだがバクスの顔は苦り切っている。
受け取った応募用紙をぺらぺらと眺めるバクスだが、ある程度眺めたところで机に用紙を放り出し、椅子にもたれかかり天を仰ぎ見る。
「ほとんどが最近越してきた奴じゃねえか……いくらなんでもあからさますぎるだろ、おい」
応募してきたのはほとんどが元々この街に住んでいたものではない、そしてなぜか他にも募集が大量にあったにもかかわらずバクスの応募にのみ殺到している。
これに関しては八木と加賀目当てだろうなと当たりをつけるバクス。
「この中から本当の応募者見つけろってか……一人じゃ絶対無理だわな」
中には以前からこの街に住んでいた他国の者もいるだろう、そういった人と本当に働きたくて応募した人とをみわけるのは非常に手間だし、どう探していけば良いのかも検討が付かない。
バクスは職員にギルマスへの面会を願い出るのであった。
「良い報告があるぞ」
ギルマスを巻き込んでから数日後。
ギルドの部屋を間借りし、いくつか応募者の面談を済ませ書類とにらめっこしていたバクスにギルマスが声を掛ける。
「本当か!?」
良い報告と聞いてがばっと顔を向けるバクス、その勢いに押されつつもギルマスは口を開く。
「ダンジョンの話しだが……そうがっかりするな。先日各国に向けて神からお告げがあった」
ギルマスから聞いた神からお告げは以下のような内容であった。
神の落とし子にはダンジョンを復活させる力はない、ダンジョン復活とは無関係である。
ここまでは特筆するような話しではないが、いつものお告げと異なる点が一つあった。
それは一柱の神からだけではなく、現在存在する神々のほとんどが連名でお告げを出したと言うことだろう。
よその神様が出したお告げであればその内容を疑うものも少なからず存在する。だが自分たちの神からもとなれば話は別だ。
「そんなわけだ……まあ、ひとまずは何とかなったと思っていいぞ?」
「そうか……報告ありがとう。本当に良かった……」
礼を言うバクスに向けいやいやと手を振るギルマス。
そして思い出したようそうそう、と口を開く。
「ほれ、依頼されてた身辺調査の結果だ」
「む、すまんな」
報告書を受け取り中を内容を確認していくバクス、次第に表情が顔から消えていく。
そして一通り報告書に目を通し、テーブルにぱさりと置くとぽつりと呟く。
「……全滅じゃねえか」
面談しいくつかに絞った候補者その全てが身辺調査の結果NGであったのだ。
落ち込むバクスに気を遣うかのように話を続けるギルマス。
「彼らに特別な力が無いことが分かった以上残るはその技術。みんな神の落とし子の技術を独占したいのさ。この国の畜産や農業が優秀なのはその技術によるものだ」
知っているだろう?と話すギルマスに肯くバクス。
「危険な長旅は無理という事で一国にとどまっても良いという話しにはなったが……まあ、それも優秀な護衛が大量につけるとか説得すれば気が変わるかも知れん。無理矢理連れてくのは無理でも仲良くなってあわよくば……と考える連中がそれなりに居るんだろうな」
そんな連中にとってはチャンスな訳だ。
そう言ってちらりと報告書を見やるギルマス。
「まぁ、そうだろうな……」
ため息を吐き出し、椅子に深くもたれ掛かり天を仰ぎ見るバクス。
「夏に入る前に国際会議、そこでどうするか各国できっちり話し合うだろう、そこで方針が決まれば以降はこう言ったのは収まるだろうが……それまで募集するの無理かもな」
ギルマスの言葉を聞いてずりずりと椅子からすべり落ちるバクス。
その様子を見て思わずといった様子で笑ってしまうギルマス。
そんなギルマスを非難がましい目で見るバクス。椅子に腰かけ直すとまたため息をつく。
「お前がそんな困ってるのは初めて見たかも知れんな。ま、気長に募集するしかないだろうよ、下手に焦って変なの雇ったらそっちのが大変だぞ?」
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