49 / 332
48話 「困ったときの神頼み」
しおりを挟む
探索者ギルド内の一室で椅子に腰掛けるバクス。
さきほどのいやな予感がまだ尾を引いてるのだろう、しかめっ面のまま目をつむります腕を組んだまま動かない。
どれくらい立っただろうか、ノックの音と共に一人の男性が室内へと入ってくる。
男性はバクスをみると軽く手をあげ口を開く。
「待たせたな」
「何、忙しいとこ悪いな」
バクスの対面に座り置いてあったお茶を口にするギルマス。
ぬるいなとばそりと呟きことりとコップを置く。
「それで、何の用事だ? まあ予想は付くが」
「そうかなら話は早い。街で何が起きてる? うちの連中がちょっかいかけられたらしくてな……」
予想通りの質問だったのだろう、ギルマスは特にためらうでもなくバクスの質問へと答える。
「まあざっくり言うとだ、ダンジョンが復活した」
「…………」
何言ってるんだこいつと言わんばかりのバクスの顔を見て思わず両手を挙げ、おどけた様子を見せるギルマス。
「おいおい、そんな顔でみんでくれよ。俺だって信じられないんだからよ」
「俺たち攻略してからまだ15年だぞ、復活するまであと50年は掛かるはずだろう……よそのダンジョンコアが家出でもしたか? 確か隣国のダンジョンが攻略してから結構時間たつだろう?」
どうやらダンジョンと言うものは一度攻略して復活するようだ。そして攻略してから復活までの期間は相当に長いらしい。またダンジョンコアが家出することもある……が今回は違うようだ。ギルマスはいや、と言って軽く頭を振る。
「俺も最初はそう考えた、だが時期が合わなくてな隣国のはあと5~10年はかかる」
「だったらなぜ……」
「さっぱり分からん」
あっさり言い切るギルマスに思わず顔をしかめるバクス。
ギルマスはそんなバクスをスルーすると残っていたコップの中身を飲み干し口を開く。
「だがダンジョンが復活したのだけは確かだ」
「……まだ情報は公開してないよな?」
その言葉に公開してないと答え、だが漏れるのは時間の問題だろうと付け加えるギルマス。
「例の二人はどうすんだ?」
「……神はあいつらにそんな力は与えてないと」
「俺もそうだと思うがな、ほかの連中……他国の連中がどう思うかだな、戦う力は確かにない、でもダンジョンを復活できますってな」
ギルマスの言葉にますます苦虫をかみつぶしたような顔になるバクス。
「まずは本人たちに聞いてみたらどうだ? 本当にそんな力がないのならそれこそ神頼みでまたどうにかして貰うしかないだろう」
「……それしかないだろうな」
そう言ってがしがしと頭をかきながら起ち上がるバクス。
聞くなら早いほうが良い、すぐに戻り二人へと話しを聞くつもりなのだろう。
「まったく、本来なら嬉しい話なんだけどな」
「……まったくだ、そっちは大丈夫なのか?」
とりあえず考えがまとまり落ち着いたのだろう、ギルマスへの心配を見せるバクス。
それに対し疲れたような笑みを浮かべで答えるギルマス。
「とりあえず出来るだけ情報の拡散は防ぐ、あとはどれだけ早く衣食住を確保するかだな。今情報公開しても集まってくる連中に対応できん」
「まあ、そうだろうな」
「おいおい、そこは人ごとじゃないだろう」
食料が不足するのは確かに困るが……最悪どこかでとってくるという手段が取れるバクス、ギルマスの言葉に軽く首をかしげる。
「……お前さんの宿リニューアルオープンするんだろ? 従業員確保もうしてあるのか? 耳の早い連中はとうの昔に人手集めてるぞ」
「あっ」
思わず素になるバクス。
宿の従業員は現在加賀とバクスの二人のみ、昔のつてを頼って従業員確保する予定だったバクスであるが、人の流入……特に商人と探索者の流入が予測され、宿は間違いなく人手不足となるだろう。
不足した宿を補うため一度閉めた宿を再開……なんてところもあるかも知れない。
ギルマスの指摘に今度こそ青くなるバクスは慌てて家へと戻るのであった。
「バクスさんお帰りなさい」
「おう」
家に戻ったバクスだが、急いで帰って来たため軽く肩で息をしている。
そんなバクスの様子に気がついた八木がそっとバクスに話しかける。
「……バクスさん、何か不味いことになったんですか?」
「不味いかどうかはまだ分からん……本来なら嬉しい話しなんだがな」
そう言うと椅子に腰かけ、奥で作業している加賀の声を掛ける。
二人も席に着いたのを見て早速だがと話を切り出した。
「どうも最近変なのが多い理由だが、ダンジョンが復活してそれ目当てでも余所から人が入ってきてるらしい」
「おー?」
「へぇ、ダンジョンって復活するんすねえ」
バクスの言葉に自然な反応を返す二人、バクスはその様子を見て内心ほっと胸をなで下ろす。二人の仕業ではなさそうだと。
「本来なら復活までみっと時間が掛かるんだがな……念の為聞くが二人とも何か心当たりはないか?」
二人ともそろっていやぁっと首をかしげる、どうやら本当に何もないようだとバクスが考えたとき加賀の袖を低くうーちゃんの姿がバクスの視界に入る。
「ん、なになにどしたの?」
うー(ぬし、なんか忘れとらんかい)
「へ? …………あっ」
「テレビ……」
無言でじとっと見詰めるバクスの視線に軽く冷や汗をかきつつ実は……と以前森で出会った玉について話し始める加賀。
「……というわけです」
「…………」
加賀の話を聞いてこめかみを押さえたまま固まったままのバクス。それを見て申し訳なさそうにする加賀。
やがて考えがまとまったのかよし、と言って手を叩くバクス。視線を向ける二人に向けこう告げる。
「俺は何も聞いてない、お前たちも何も聞いてないし見てもいない。いいな?」
「え、いいんすかそれ……」
「それしかねえ、ほかにどうしろと……後は神になんとかして貰うしかない。二人とも神に連絡は取れるんだったな?」
「あ、はいできますー」
「よしそれなら……」
その後神への連絡内容を考えPCにはりつけた三人。後は神の対応を待つだけ。
文字通り神頼みとなるが、この世界の神様は実際現世に対し何かしらの行動を起こせる。
きっとどうにかしてくれるだろう、と期待と不安の混ざった気持ちで三人は朝を迎えるのであった。
さきほどのいやな予感がまだ尾を引いてるのだろう、しかめっ面のまま目をつむります腕を組んだまま動かない。
どれくらい立っただろうか、ノックの音と共に一人の男性が室内へと入ってくる。
男性はバクスをみると軽く手をあげ口を開く。
「待たせたな」
「何、忙しいとこ悪いな」
バクスの対面に座り置いてあったお茶を口にするギルマス。
ぬるいなとばそりと呟きことりとコップを置く。
「それで、何の用事だ? まあ予想は付くが」
「そうかなら話は早い。街で何が起きてる? うちの連中がちょっかいかけられたらしくてな……」
予想通りの質問だったのだろう、ギルマスは特にためらうでもなくバクスの質問へと答える。
「まあざっくり言うとだ、ダンジョンが復活した」
「…………」
何言ってるんだこいつと言わんばかりのバクスの顔を見て思わず両手を挙げ、おどけた様子を見せるギルマス。
「おいおい、そんな顔でみんでくれよ。俺だって信じられないんだからよ」
「俺たち攻略してからまだ15年だぞ、復活するまであと50年は掛かるはずだろう……よそのダンジョンコアが家出でもしたか? 確か隣国のダンジョンが攻略してから結構時間たつだろう?」
どうやらダンジョンと言うものは一度攻略して復活するようだ。そして攻略してから復活までの期間は相当に長いらしい。またダンジョンコアが家出することもある……が今回は違うようだ。ギルマスはいや、と言って軽く頭を振る。
「俺も最初はそう考えた、だが時期が合わなくてな隣国のはあと5~10年はかかる」
「だったらなぜ……」
「さっぱり分からん」
あっさり言い切るギルマスに思わず顔をしかめるバクス。
ギルマスはそんなバクスをスルーすると残っていたコップの中身を飲み干し口を開く。
「だがダンジョンが復活したのだけは確かだ」
「……まだ情報は公開してないよな?」
その言葉に公開してないと答え、だが漏れるのは時間の問題だろうと付け加えるギルマス。
「例の二人はどうすんだ?」
「……神はあいつらにそんな力は与えてないと」
「俺もそうだと思うがな、ほかの連中……他国の連中がどう思うかだな、戦う力は確かにない、でもダンジョンを復活できますってな」
ギルマスの言葉にますます苦虫をかみつぶしたような顔になるバクス。
「まずは本人たちに聞いてみたらどうだ? 本当にそんな力がないのならそれこそ神頼みでまたどうにかして貰うしかないだろう」
「……それしかないだろうな」
そう言ってがしがしと頭をかきながら起ち上がるバクス。
聞くなら早いほうが良い、すぐに戻り二人へと話しを聞くつもりなのだろう。
「まったく、本来なら嬉しい話なんだけどな」
「……まったくだ、そっちは大丈夫なのか?」
とりあえず考えがまとまり落ち着いたのだろう、ギルマスへの心配を見せるバクス。
それに対し疲れたような笑みを浮かべで答えるギルマス。
「とりあえず出来るだけ情報の拡散は防ぐ、あとはどれだけ早く衣食住を確保するかだな。今情報公開しても集まってくる連中に対応できん」
「まあ、そうだろうな」
「おいおい、そこは人ごとじゃないだろう」
食料が不足するのは確かに困るが……最悪どこかでとってくるという手段が取れるバクス、ギルマスの言葉に軽く首をかしげる。
「……お前さんの宿リニューアルオープンするんだろ? 従業員確保もうしてあるのか? 耳の早い連中はとうの昔に人手集めてるぞ」
「あっ」
思わず素になるバクス。
宿の従業員は現在加賀とバクスの二人のみ、昔のつてを頼って従業員確保する予定だったバクスであるが、人の流入……特に商人と探索者の流入が予測され、宿は間違いなく人手不足となるだろう。
不足した宿を補うため一度閉めた宿を再開……なんてところもあるかも知れない。
ギルマスの指摘に今度こそ青くなるバクスは慌てて家へと戻るのであった。
「バクスさんお帰りなさい」
「おう」
家に戻ったバクスだが、急いで帰って来たため軽く肩で息をしている。
そんなバクスの様子に気がついた八木がそっとバクスに話しかける。
「……バクスさん、何か不味いことになったんですか?」
「不味いかどうかはまだ分からん……本来なら嬉しい話しなんだがな」
そう言うと椅子に腰かけ、奥で作業している加賀の声を掛ける。
二人も席に着いたのを見て早速だがと話を切り出した。
「どうも最近変なのが多い理由だが、ダンジョンが復活してそれ目当てでも余所から人が入ってきてるらしい」
「おー?」
「へぇ、ダンジョンって復活するんすねえ」
バクスの言葉に自然な反応を返す二人、バクスはその様子を見て内心ほっと胸をなで下ろす。二人の仕業ではなさそうだと。
「本来なら復活までみっと時間が掛かるんだがな……念の為聞くが二人とも何か心当たりはないか?」
二人ともそろっていやぁっと首をかしげる、どうやら本当に何もないようだとバクスが考えたとき加賀の袖を低くうーちゃんの姿がバクスの視界に入る。
「ん、なになにどしたの?」
うー(ぬし、なんか忘れとらんかい)
「へ? …………あっ」
「テレビ……」
無言でじとっと見詰めるバクスの視線に軽く冷や汗をかきつつ実は……と以前森で出会った玉について話し始める加賀。
「……というわけです」
「…………」
加賀の話を聞いてこめかみを押さえたまま固まったままのバクス。それを見て申し訳なさそうにする加賀。
やがて考えがまとまったのかよし、と言って手を叩くバクス。視線を向ける二人に向けこう告げる。
「俺は何も聞いてない、お前たちも何も聞いてないし見てもいない。いいな?」
「え、いいんすかそれ……」
「それしかねえ、ほかにどうしろと……後は神になんとかして貰うしかない。二人とも神に連絡は取れるんだったな?」
「あ、はいできますー」
「よしそれなら……」
その後神への連絡内容を考えPCにはりつけた三人。後は神の対応を待つだけ。
文字通り神頼みとなるが、この世界の神様は実際現世に対し何かしらの行動を起こせる。
きっとどうにかしてくれるだろう、と期待と不安の混ざった気持ちで三人は朝を迎えるのであった。
24
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる