幼馴染同士が両想いらしいので応援することにしたのに、なぜか彼の様子がおかしい

今川幸乃

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ダンス

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 昼休みが終わると、次はダンスの授業だった。
 普段は授業は教室で行われるが、私たちは学園内に作られた大きなホールに移動する。学園の式典でも使われるホールは、下手な貴族の屋敷にあるホールよりも立派だ。

 そんな私たちの前にダンス講師の先生が現れる。何でも、有名な貴族家で何人もの子女にダンスレッスンをしてきたとか。

「えー、それではまず男女二人ペアになってください。このクラスは女子の方が多いので、一組だけは女子同士のペアになるように」

 一年生の時も似たような授業があったが、その時は私とキャシーが何となくかわりばんこにブライアンとペアになっていた。

「なあカーラ、ペアに」

 先生の言葉が終わってすぐにブライアンがこちらにやってくる。
 確か順番的には次は私だった気もするけど、付き合っているキャシーを差し置いて私と踊るのはいくら何でも酷くないだろうか。

「ううん、私は大丈夫だから」
「そうじゃなくて俺は……」
「はいはい、実は私カーラさんと踊る約束していたの」

 ブライアンはさらに何かを言いかけたが、そこへ強引にルーシーが割って入ってくる。
 私は彼女のタイミングの良さに感謝する。
 一方のブライアンはそれを見て慌てた様子になる。

「え、いや、それは」
「カーラさん、ダンス上手だから是非とも教えて欲しくて」
「だけど」

 ルーシーがすかさず言い返す。ブライアンはなおも言い返そうとしたが、

「ブライアン、カーラもああ言っているし、私と踊りませんか?」

 そんなブライアンの元へキャシーが駆け寄っていく。ブライアンはそれでも逡巡していたが、ルーシーがやや強引に私の腕を引いていき、キャシーが強引に彼の腕をとると諦めたようにキャシーの手をとった。



 二人から十分に離れたところまで移動すると、改めて私はルーシーにお礼を言う。

「ありがとう、助かったよ」
「大丈夫、手伝うって言ったでしょ? 任せといて」

 そう言って彼女は片目をつぶってみせる。
 が、すぐに首をかしげた。

「それにしても二人で付き合っているのにカーラさんと踊ろうなんて、彼少し変じゃない?」
「それは多分前から決まっていた順番を守ろうとしただけだと思う」

 私はルーシーに、これまで私とキャシーが交代でブライアンの相手を務めていたことを説明する。

「ふうん? まあそういうものかしら?」

 ルーシーは一応頷いたものの、納得はいっていないようでちらちらとブライアンとキャシーのペアを眺めている。
 ブライアンとキャシーの二人は付き合ったばかりで緊張しているせいか、いまいちダンスはうまくいっていなかった。とはいえそれも初々しく見える。

「それよりもルーシーはダンスうまいの?」
「ええ、さっきはああいったけど、実は結構自信があるわ」

 そう言ってルーシーは私の手をとって踊り始める。
 私はダンスは可もなく不可もなくというぐらいだったが、確かにルーシーはうまかった。曲が流れると、彼女は流れるようにステップを踏み、私の手を引く。
 これまでそこまでうまくなかった私も、ルーシーに身を預けるようにして踊ると自然とうまく体が動いた。
 これでは私が教えるどころか逆に教わってしまっている。

「わあ、すごい」
「ありがとう」

 私が褒めると、ルーシーは嬉しそうに胸を張った。
 こうしてダンスの授業は楽しく過ぎていったのだった。
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