婚約者が選んだのは私から魔力を盗んだ妹でした

今川幸乃

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奪還した力

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「ずっとリリーの元にいたけど大丈夫だった?」
「はい、リリーは猜疑心が強い方で、私の存在を極力他人に知られないようにしていました。そのため私は魔法を使う必要があるときだけあの箱から取り出され、用が終わるとすぐに戻されるという感じでした」

 そんな、それではまるで便利な道具か何かのように思っているではないですか。
 自分の精霊がそんな扱われ方をしていたことに私は怒りがわきます。

「それは辛かったね……」
「いえ……精霊は人間と時間の感覚が違うので長い時間じっとしているのはそこまでは辛くなかったのですが……どちらかというと、狭いところに閉じ込められているのが」

 そこは人間も精霊も同じようです。

「早速だけど、魔法を使ってみたい。それとも少し休んだ方がいい?」
「いえ、むしろ力を使いたいです」
「ありがとう。じゃあまずは昔使ってたやつからにしようかな」

 とはいえ、最後に魔法が使えたのは5歳のころ。
 そのころに使っていた魔法は今思えば子供騙しのようなものです。
 それでも、ほぼ魔法を使えない今と比べれば当時の方がまだましでしたが。

「ライト」

 私が唱えると、目の前にぽっと光の球が現れます。

「わああ」

 初歩の初歩のような魔法ですが、私は魔法が使えたという感動で思わず声をあげてしまいます。しかも目の前に出てきた光の球は、記憶にあるよりも大きくなっています。

「すごい、ちゃんと魔法が使える! しかも昔より大きくなってる!?」
「それは使い手の知識や魔法へのイメージが深まったからだと思います。多分光の球の大きさや移動も操ることが出来ますよ」
「本当!?」

 試しに念じてみると、球は部屋いっぱいに広がる大きさから、指先ぐらいの小ささにまで自在に伸縮します。
 また、ある程度小さくした状態でなら自由自在に動き回らせることも可能です。

「すごい……まさかこんなことが出来るなんて」
「良かったですね」

 それを見て精霊も喜んでくれます。
 ライトが使えたなら他の魔法も試してみたくなります。

「ウィンド」

 すると今度は室内であるのに目の前に風が吹きます。
 しかも風の向きや強さも先ほどと同じように自由自在に調節できます。一瞬強くしすぎて室内の物が巻き上がりかけましたが、慌てて鎮めることが出来ました。

 また、慣れてくると特定の物を浮かせたり動かしたりすることも出来るようになります。

「すごい……」
「この調子なら、昔使えなかった魔法も使えるようになるかもしれません」
「ありがとう、それなら練習してみたい!」

 それを聞いて私はすぐに部屋の本棚から魔術の本を引っ張り出します。
 これまでは読んでもどうせ使えない、と思って敬遠していましたがこうなれば別です。私は精霊と一緒にページをめくり、様々な魔法を試してみるのでした。
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