【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。

まりぃべる

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2. 感謝の会へ

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 学院へは、毎日馬車で通っている。

 この公爵家は、王都の北東隣の領地で、王都の端にある学院に馬車でも一時間もかからない為そうしている。

 学院には、通えない生徒の為に寮もあるが私は使っていなかった。
寮は、馬車でも一時間以上かかる生徒か、馬車を使えないいわゆる収入が少ない家の生徒が使う。貴族でも、先祖は裕福だったけれど今は没落寸前の家なんて少なくないもの。
ごく稀に、共同生活がしたいからと志願する生徒もいるらしい。

 私は、屋敷からもそれなりに通える距離である事と、高位の身分である公爵令嬢が共同生活なんてという慣例があり、屋敷から通っている。
ジャネットはというと、侍女見習いをしながら学院にも通っている。お父様のお慈悲ね。
馬車はさすがに、公爵家の紋章が入っているもので乗り降りさせるのは不味いからと、私が乗る馬車とジャネットが乗る馬車は分けている。
ジャネット用は、紋章も何もない外見は簡素な馬車。簡素といってもお忍びで使ったり、お客様に使う用であるから乗り心地は私が乗っているものと変わらない。これもまた、お慈悲よね。
御者も別に必要だから面倒ではあるけれど、階級の違いにはしっかりと従ってもらわないとね。


 私も、腰まで伸ばした淡い金色の髪を緩くセットしてもらい玄関へと急いだ。すると、馬車は一台しか残っていなかった。

「もうジャネットは行ったの?」

「はい。オリーフィア様の部屋から退出してすぐに向かわれました。」

 なんとまぁ…。じゃあドレスアップせずに、制服で行ったのね。

 学院は、制服がある。

 紺色のブレザーで、左の胸元にポケットがあり、国の紋章が入っている。
中は白いシャツに青いネクタイと男子はスラックスのズボン。女子もブレザーで白いシャツと同じだけれどネクタイではなく赤いリボンと、ロングスカート。

 普段は制服で通っているが、今日のような行事では制服でもいいし、ドレスアップも許可されている。

 だから私は、ジャネットに一ヶ月ほど前に声を掛けた。

「ジャネット。感謝の会では、着ていくドレスが無いでしょう?私の衣装部屋に来て。あなたに似合うのがあると思うの。気に入ったのがあったら下げ渡すわ。」

 それなのにジャネットったら、

「大丈夫です。要りません。」

 って言ったのよ。まぁ、男爵家が準備されてるかもしれないし、私があまり強く言うのもよくないかと思ってそれ以上は言わなかったけれど。
只単に、私の物が着たくなかったのかしら?そんな訳ないわよね。うちが準備する物は全て最高級品なんだから。
私から下げ渡される物なんて、喉から手が出るほど欲しがるでしょうに。
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