【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。

まりぃべる

文字の大きさ
3 / 21

3. 感謝の会で

しおりを挟む
 学院に着くと、早速大ホールに向かった。

 その途中、声を掛けて下さる仲の良かった学友と少し話しながら。

 すると、大ホールに入ろうとしたまさにその時、中から大きな声が聞こえた。

「オリーフィア=ホーキンス!待ちくたびれたぞ!!」

 私は、いきなり大きな声が掛かったので体を一瞬震わせて、立ち止まってしまった。

「まぁ。大きな声で。どうなさったのかしら。」

 隣にいた、侯爵家のアニータ=スミスが怪訝そうに言った。

「ええと、あの声はゲオルク様ですわね。」

「それにしても、何故そんな大きな声で…。」

 続いて言ったのは、同じく一緒にいつも一緒にいたお友達の伯爵家の二人、イメルダ=トムソンと、コレット=フランクリン。

 私も声のする方を見ると、私の婚約者であり、このサンダイズ王国の王太子であるゲオルク様が、一番奥のテラスへと続く場所に置かれたソファに座っていた。…隣には、なぜかジャネットがいて、肩を抱いている。
ジャネット、ドレスを着ているわ。いつの間に…?ニューマン男爵様が用意されたにしてはずいぶん高級そうですが、まさかゲオルクが…?

 それに、よくあんな遠くから声が届いたわね。

 そう思っていると、ゲオルク様は立ち上がりジャネットと一緒にこちらへ歩いて来た。

「オリーフィア=ホーキンス!お前は、またもジャネットを口汚く罵ったのか!国母となる身で、なんたる体たらく!今日という今日は許しておけん!前々からいつもそうだ!人を見下しおって!そんなお前は、国母となる資格はない!婚約破棄だ婚約破棄!」

 そう言ったゲオルク様は、ジャネットの肩を未だ抱いて強く引き寄せ、なぜかジャネットと見つめ合いだした。

 はぁ…。

 私はため息をつき、言い返そうか迷った。言われっぱなしでは、公爵家の名に傷が付かないかしら?
けれど言い返しても、いつもゲオルク様は私の言う事なんて聞かない。ジャネットの言う事を鵜呑みにして、私が悪い事をしているからと何度も恫喝してくる。

 ゲオルク様は、いつの間にかジャネットと接点を持ち、事ある毎にジャネットがゲオルク様に助けを求めているようだった。
そして、学院で顔を合わせるとゲオルク様は、そう言って私を正そうとしてくる。
『ジャネットを虐めるな』『ジャネットを罵るな』『ジャネットに口うるさく言うな』何度言われたでしょうか。そちらの方が口うるさいと思うのですけれど。

 けれど、仕方ないじゃない!?

 何度言っても、聞かないのはジャネットの方なんだもの。男爵令嬢とはいっても、公爵家である私の家にいるのだからもっと礼儀作法をしっかりしてくれないと困るわ。
どう言い返そうか迷っていると。

「おい、聞いておるのか!?」

 ドンッ!!!

 私がすぐに答えなかったのが癪に触ったのか、いつの間にか私に触れられる位近づいて来ていて、私の肩をドンッと押した。

 私は、高い靴を履いていた為に急に押されて体のバランスを崩し、その場に倒れてしまった。

「キャーッ!」
「イヤー!」
「なんてひどい!!」

 私が倒れた事で、アニータやイメルダとコレットも、そして入場しようと入り口にいた人達も驚き、叫び声を上げた。
しおりを挟む
感想 130

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません

すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」 他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。 今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。 「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」 貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。 王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。 あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!

その支払い、どこから出ていると思ってまして?

ばぅ
恋愛
「真実の愛を見つけた!婚約破棄だ!」と騒ぐ王太子。 でもその真実の愛の相手に贈ったドレスも宝石も、出所は全部うちの金なんですけど!? 国の財政の半分を支える公爵家の娘であるセレスティアに見限られた途端、 王家に課せられた融資は 即時全額返済へと切り替わる。 「愛で国は救えませんわ。 救えるのは――責任と実務能力です。」 金の力で国を支える公爵令嬢の、 爽快ザマァ逆転ストーリー! ⚫︎カクヨム、なろうにも投稿中

【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?

しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。 王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。 恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!! ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。 この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。 孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。 なんちゃって異世界のお話です。 時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。 HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24) 数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。 *国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。

皆様ごきげんよう。悪役令嬢はこれにて退場させていただきます。

しあ
恋愛
「クラリス=ミクランジェ、君を国宝窃盗容疑でこの国から追放する」 卒業パーティで、私の婚約者のヒルデガルト=クライス、この国の皇太子殿下に追放を言い渡される。 その婚約者の隣には可愛い女の子がーー。 損得重視の両親は私を庇う様子はないーーー。 オマケに私専属の執事まで私と一緒に国外追放に。 どうしてこんなことに……。 なんて言うつもりはなくて、国外追放? 計画通りです!国外で楽しく暮らしちゃいますね! では、皆様ごきげんよう!

【完結】離婚しましょうね。だって貴方は貴族ですから

すだもみぢ
恋愛
伯爵のトーマスは「貴族なのだから」が口癖の夫。 伯爵家に嫁いできた、子爵家の娘のローデリアは結婚してから彼から貴族の心得なるものをみっちりと教わった。 「貴族の妻として夫を支えて、家のために働きなさい」 「貴族の妻として慎みある行動をとりなさい」 しかし俺は男だから何をしても許されると、彼自身は趣味に明け暮れ、いつしか滅多に帰ってこなくなる。 微笑んで、全てを受け入れて従ってきたローデリア。 ある日帰ってきた夫に、貞淑な妻はいつもの笑顔で切りだした。 「貴族ですから離婚しましょう。貴族ですから受け入れますよね?」 彼の望み通りに動いているはずの妻の無意識で無邪気な逆襲が始まる。 ※意図的なスカッはありません。あくまでも本人は無意識でやってます。

誤解なんですが。~とある婚約破棄の場で~

舘野寧依
恋愛
「王太子デニス・ハイランダーは、罪人メリッサ・モスカートとの婚約を破棄し、新たにキャロルと婚約する!」 わたくしはメリッサ、ここマーベリン王国の未来の王妃と目されている者です。 ところが、この国の貴族どころか、各国のお偉方が招待された立太式にて、馬鹿四人と見たこともない少女がとんでもないことをやらかしてくれました。 驚きすぎて声も出ないか? はい、本当にびっくりしました。あなた達が馬鹿すぎて。 ※話自体は三人称で進みます。

とある令嬢の勘違いに巻き込まれて、想いを寄せていた子息と婚約を解消することになったのですが、そこにも勘違いが潜んでいたようです

珠宮さくら
恋愛
ジュリア・レオミュールは、想いを寄せている子息と婚約したことを両親に聞いたはずが、その子息と婚約したと触れ回っている令嬢がいて混乱することになった。 令嬢の勘違いだと誰もが思っていたが、その勘違いの始まりが最近ではなかったことに気づいたのは、ジュリアだけだった。

何でもするって言うと思いました?

糸雨つむぎ
恋愛
ここ(牢屋)を出たければ、何でもするって言うと思いました? 王立学園の卒業式で、第1王子クリストフに婚約破棄を告げられた、'完璧な淑女’と謳われる公爵令嬢レティシア。王子の愛する男爵令嬢ミシェルを虐げたという身に覚えのない罪を突き付けられ、当然否定するも平民用の牢屋に押し込められる。突然起きた断罪の夜から3日後、随分ぼろぼろになった様子の殿下がやってきて…? ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...