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13. 見舞い
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次の日。
私は昨日のように窓際のソファで本を読みながら、ライナス様に言われた事を考えていた。
正確には、本を読みたくてもライナス様に言われた言葉が頭をよぎり、なかなか本の内容が入ってこないのだ。
「…アさま。オリーフィア様?お見舞いに来られた方がいらっしゃいますが…その…お帰り願いましょうか?」
「え!?」
考え込んでいたみたいで、オルガが言った事に驚いてしまった。もしかして、ライナス様かしら!?
「ですから…王太子様がいらっしゃいましたが、どうされますか?」
「ゲオルク様が…?」
ライナス様が、と考えてしまった自分が恥ずかしいわ。でも、何故ゲオルク様がいらっしゃったのかしら。ま、まさか不敬罪だとか言いに来たわけではないわよね!?
「お、お通しして。」
ダメね。まだ一応公爵令嬢なのだから、どんな事にも動じないようにしないと。
「おい。怪我をしたそうだな。どうだ。」
開口一番そう言われました。
まぁ、ゲオルク様は王太子ですからそう簡単には謝らないとは思います。
けれど、ここは別に公の場ではないのですから、普通に謝っていただいても良いと思うのですけれど…彼は私の事をきっと口うるさい奴だと思っておりますから、謝るのはプライドが許さないのでしょう。
「えぇ、ご心配をおかけしまして申し訳ありませんでした。それで来て下さったのですか。」
「ん?あ、や…まぁな。す、済まなかったな。どんな理由があるにせよ、手を出したのはまずかった。それだけを言いに来た。元気そうで良かった。」
「傷み入ります。」
「お前の周りには、お前の味方が多いのだな。お前の家族には、一人ずつに抗議されたし、なぜがライナスにもだ。それから、昨日学院に行ったらお前の友達三人からお前の行いについて、こんこんと説明されて煩かったわ。」
「も、申し訳ありません…。え、説明?」
「オレが思っている事は勘違いだと。お前が、ジャネットに口うるさく言っているのはジャネットが貴族の振る舞いが出来ていないからだとかいろいろとな。」
「そ、そうでしたか…。」
お友達が言って下さったなんて驚いた。私、大勢の前で悪い意味で注目を浴びたのですもの。もう皆私の事なんて嫌悪感を抱いているのではないかと思ってしまっていたわ。
いつも一緒にいる、侯爵令嬢のアニータ=スミスと、伯爵令嬢のイメルダ=トムソンと、コレット=フランクリンかしら?
でも、そんな事言ってゲオルク様の反感を買わないのかが心配だわ。
「なんだ?いつもなら言い返して来るのに今日は覇気がないな。」
「そんな…いえ、ゲオルク様に申し訳なく思っていたところですわ。」
「そうか。まぁいいが…。」
「それから今まで良くして頂いてありがとうございました。」
「…今日は本当にどうした?」
「だって、もう婚約者ではないのでしょう?二度とお会いにならないかもと思いましたから。」
「いや、そんな事はない。お互いの立場から言って会わなくなるわけじゃないだろうが…。それに…」
「それでもです。このように気軽に話す事も出来なくなるでしょうから。」
「ま、まぁそうか?オレは全く構わないぞ。それでだな、」
「恐れ多いですわ。…そろそろ、帰られますか?お忙しいのに来て下さってありがとうございました。」
「ん?あぁ…。そ、そうだな。大事にな。」
私は昨日のように窓際のソファで本を読みながら、ライナス様に言われた事を考えていた。
正確には、本を読みたくてもライナス様に言われた言葉が頭をよぎり、なかなか本の内容が入ってこないのだ。
「…アさま。オリーフィア様?お見舞いに来られた方がいらっしゃいますが…その…お帰り願いましょうか?」
「え!?」
考え込んでいたみたいで、オルガが言った事に驚いてしまった。もしかして、ライナス様かしら!?
「ですから…王太子様がいらっしゃいましたが、どうされますか?」
「ゲオルク様が…?」
ライナス様が、と考えてしまった自分が恥ずかしいわ。でも、何故ゲオルク様がいらっしゃったのかしら。ま、まさか不敬罪だとか言いに来たわけではないわよね!?
「お、お通しして。」
ダメね。まだ一応公爵令嬢なのだから、どんな事にも動じないようにしないと。
「おい。怪我をしたそうだな。どうだ。」
開口一番そう言われました。
まぁ、ゲオルク様は王太子ですからそう簡単には謝らないとは思います。
けれど、ここは別に公の場ではないのですから、普通に謝っていただいても良いと思うのですけれど…彼は私の事をきっと口うるさい奴だと思っておりますから、謝るのはプライドが許さないのでしょう。
「えぇ、ご心配をおかけしまして申し訳ありませんでした。それで来て下さったのですか。」
「ん?あ、や…まぁな。す、済まなかったな。どんな理由があるにせよ、手を出したのはまずかった。それだけを言いに来た。元気そうで良かった。」
「傷み入ります。」
「お前の周りには、お前の味方が多いのだな。お前の家族には、一人ずつに抗議されたし、なぜがライナスにもだ。それから、昨日学院に行ったらお前の友達三人からお前の行いについて、こんこんと説明されて煩かったわ。」
「も、申し訳ありません…。え、説明?」
「オレが思っている事は勘違いだと。お前が、ジャネットに口うるさく言っているのはジャネットが貴族の振る舞いが出来ていないからだとかいろいろとな。」
「そ、そうでしたか…。」
お友達が言って下さったなんて驚いた。私、大勢の前で悪い意味で注目を浴びたのですもの。もう皆私の事なんて嫌悪感を抱いているのではないかと思ってしまっていたわ。
いつも一緒にいる、侯爵令嬢のアニータ=スミスと、伯爵令嬢のイメルダ=トムソンと、コレット=フランクリンかしら?
でも、そんな事言ってゲオルク様の反感を買わないのかが心配だわ。
「なんだ?いつもなら言い返して来るのに今日は覇気がないな。」
「そんな…いえ、ゲオルク様に申し訳なく思っていたところですわ。」
「そうか。まぁいいが…。」
「それから今まで良くして頂いてありがとうございました。」
「…今日は本当にどうした?」
「だって、もう婚約者ではないのでしょう?二度とお会いにならないかもと思いましたから。」
「いや、そんな事はない。お互いの立場から言って会わなくなるわけじゃないだろうが…。それに…」
「それでもです。このように気軽に話す事も出来なくなるでしょうから。」
「ま、まぁそうか?オレは全く構わないぞ。それでだな、」
「恐れ多いですわ。…そろそろ、帰られますか?お忙しいのに来て下さってありがとうございました。」
「ん?あぁ…。そ、そうだな。大事にな。」
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